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#06 『続けてみます』を読んでみます


いま、
近所の本屋を物色していたときに
たまたま手に取った本を読んでいます。

ファン・ジョンウン著の『続けてみます』
という韓国の小説です。

2014年に原作が出て、
2020年に日本語訳版が出版されています。


この本、近所の本屋でなんとなく手に取って、
少し気になって買ったのですが、
半分と少しを読み終えた今のところでは、
今まで読んだ小説のなかで
いちばん好きです。

まだ5分の3くらいまでしか読んでいないので
この物語がどういう形で一旦終結となるのかが
気になるところですが、
いまのところ、
世界の切り取り方、表現のしかたが
ドストライクです。

ああ、
「好き」とか「ドストライク」とか、
こんな単純な、安い言葉でしか表せないのが
もどかしくて、悔しいくらい。
心に染みるというようなありきたりな言い回しは
私にとってのこの本の印象に
あまりしっくりきません。

なんだろう、この不思議な気持ち
どんな小説を読んだ時も感じたことがない
この感情。

全部読んでから、また
この感情と向き合うつもりです。

有名な作家さんの作品って
ネット上でいろんな意見や評価が
飛び交うのかもしれませんが、
わたしは本に対して、とくに小説に対して
この作品が良いとか悪いとか
星いくつとか、あまりそういうジャッジを
する気分になれません。
ただ、私は、いまの私は、
この作品が好き、と思っている。
それだけ。

同じ作品でも、違う人生を歩んできた人間が読めば、
違う印象をもつものです。
同じ人間でさえ、時が経てば。

すでに、ファン氏のほかの作品を読みたくなっているけど
読み終わってしまうのがもったいない気がして
この世界に長々と居座っています。

わたしは大学は外国語学部を卒業しましたが、
韓国文学、といいますか海外の小説はあまり読んでこなかったので、
この本に出会うまで知らなかったのですが、
ファン・ジョンウン氏は韓国で有名な作家みたいです。

ほかの『誰でもない』という作品の説明のなかで
「いま最も期待される韓国文学の〈新しい顔〉」
と表されています。

こちらの作品も読んでみたい…!


『続けてみます』を買ったときは、
久しぶりに本屋に行ったのですが、
やっぱり、
「なんとなく」という感情に従って
本を選んでみるというのは良いもんだな
と改めて思いました。

目的にあわせて読む本を選択するのも大事ですが、
それよりも私は
偶然の出会い
を、より大事にしたいと思っています。

「偶然の出会い」というのは、
まあ正確に言えば、偶然ではないのですが。
社会に定められた私のなかの偶然とか
偶然でない中での偶然といいましょうか。

定められているにせよ、

もしかしたら違う本を手に取っていたかもしれない
もしかしたら本屋に行っていなかったかもしれない

という意味で、偶然。

一生のなかで読める本の数には
限りがありますから、
目的に合わせた実用的な本や
みんなが絶賛するハッピーエンドの物語
「だけ」読むのは、
つまらない、と個人的に思ってしまいます。

なにも、そういう本を読むのが
悪いと思っているわけではありません。

私は大学院生です。研究のために、目的を持って読む本もたくさんあるし、それだって面白い。

複雑な社会を生きる私たちには、
わかりやすいハッピーエンドの物語が
心の支えになっていることも
なくはないでしょうし。

ただ、いつも目的的に本を読み、
狙い通りの技術や結果を手に入れ、
予想通りの感情にばかりなるのは、
つまりません。

だから、時間に余裕があるときに
定期的に色んな場所にある本屋に入って
いろんなコーナーのいろんな本を
手に取ってみます。

なんとなく気になったタイトルの本を手に取って
帯や目次や著者情報を見て、
少しでも、気になると思ったら
財布の許す限り、買うことにしています。

あとは、人に最近読んだ本を聞いたり
あえて「面白くなかった本」を聞いたり。
(本当に面白くない場合もあるけど…笑)

その偶然の出会いは、
どこかの誰かに仕組まれた偶然
なのかもしれないけれど、
それでも、
アマ○ンの
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
よりかは、
幾分か、ロマンチックじゃありません?

本もそうですが、
人も、場所も、然りです。

たまに、
すべて思い通りに自分の人生や他人を
コントロールしようとして
血の滲むような努力されている方も見ますが、
私は、偶然の積み重なりこそ人生の醍醐味で、
美味しい部分なのかなと思います。

計画通り、目標に向かって
自分で自分の人生を切り開こうとするのは
いろんな意味ですごいなーと思いますが、
コントロールできないことや偶然の出会いを
いかに楽しみ、愛おしむか
を考えられる人は、よりすてきに映ります。

私も、そうなりたいです。

続けてみます、読み続けてみます。


【8/26 追記】
ついに、読み終わってしまいました。
読んでいる間、
静かだけれど
ズキズキするような、チクチクするような
空気が流れていて
それでいて、心地よくて、
みぞおちのあたりから
ググッと、ゆっくり、
まだ言葉にならない「何か」が
押しあがってきます。

切なさとか感動とか喜びとか
そういうものではない何かが。

簡単に言葉にできてしまう気持ち
にならなかったことを、
ありがたく思います。

またもう一度、読んでみます。


ここまで記事を読んでくださり、
ありがとうございます!
オススメの本、あったら是非コメントにください^^

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