撮るって世界を読むことで
読む時間に癒やされます。
小説でも詩歌でもエッセイでも
文章をただゆっくりと読む時が
私にとってはかけがえのないものです。
本を読みながら、
今日の午後四時半ごろ。
ふいに私は思いたちました。
なんだか秋らしく涼しいから
水辺のコスモスを撮りに行こう!
調べると品川区にある
立会川駅のほど近くに
「しながわ花街道」という場所があり
なんともよい写真が撮れそうな予感です。
日が暮れるまえに、
休日が終わるまえに行くしかあるまいと
私は電車に飛び乗りました。
何度か電車を乗り継ぎ、乗り換え、
立会川駅に降り立ったのは五時過ぎです。
五分ほど歩くと
川に沿って咲き乱れる
見事なキバナコスモスたち。
風に揺れながら川を眺めるコスモスは
夕陽が咲いたようでした。
係留されている船に乗った
心の結び目はゆるりと解けて、
どこかへ運ばれてゆく気がします。
遠く陸橋を忙しなく
行きかう車とは対照的に
キバナコスモスはゆっくりと
ただ風に身を任せておりました。
日が短くなってきて
上弦を一日過ぎた月は
オールドレンズを通して見ると
朧気な満月のように見えます。
対岸にぎらつく
電光掲示板の明かりも
川面に光の珠となって
夜を迎えたキバナコスモスを
音もなく彩っておりました。
そろそろ日が落ちてしまったので、
帰りましょうか。
電車に揺られながら、私は思いました。
写真を撮るって
世界をゆっくり読むことなのかも。
いつのまにか過ぎていく時間を
一瞬、一瞬、切りとり、手にとり、
光に透かして確かめること。
刹那に栞を挟んでいくことが
写真を撮ることなのかもしれません。
次は何を読みましょう。
そうして本を探す時間が
どうしようもなく楽しいように、
そうやって世界を探す時間も
どうしようもなく楽しいものです。
みなさまもゆっくりと本を、
世界を読む時間を大切に。
ではまた!
いただいたサポートで牛乳を買って金曜夜に一杯やります。