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音心 【詩】

ぽかんとあいた外側は
あまりにひどく忙しくて
澄んでは消えるあの声は
どこまで行っても眩しくて

いきおいつけて
引き抜きたくなる
臓の音がして
ああ、ぼくはひとり 

見えた景色はほんの少し
ここから先をどう生きよう
動かぬ足を鼓動が突くの
焦っても仕方がないのにさ

この先の見込みなんか
なにひとつ手にしてなくて
わざとらしい幸せには
一思いに縋り付きたくて

いきおいつけて
引き抜きたくなる
臓の音がして
ああ、ぼくはひとり

ぼくにはちょっと苦しいや
どうしてそんなに光を魅せる?
陽に当てられて 撫でられて
切なく消えてしまうのか

でもぼくがそれを許さないから
ぼくだけがそれを許さないから
生きるしかないんだよな
疲れるしかないんだよな

ああ、見破られるくらいなら
隠れて生きていこうよ
ああ、ただもうぼんやりと
明日も生きていこうよ

いつかの没詞。

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