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アジア紀行~カンボジア・アンコール遺跡の旅①~

世界三大仏教遺跡

インドネシアの「ボルブドゥール」、カンボジアの「アンコールワット」、そしてミャンマーの「バガン」をあわせて、世界三大仏教遺跡と呼ぶらしい。いずれも壮大な規模を誇り、過去の繁栄をしのばせる素晴らしい遺跡群である。
ボロブドゥールには2度訪れる機会があった。ミャンマーを旅したのは2016年のことだった。もちろんバガンにも行った。

カンボジアのアンコール遺跡を訪れたのは、それよりもずっと前、ちょうど2000年の夏のことだ。20世紀最後の年を記念する旅だった。
今回のnoteでは、このアンコール遺跡の旅の記憶を蘇らせてみようと思う。


初めてのカンボジア

これまで、インドネシアやタイは何度か訪れていたが、カンボジアに行くのは今回が初めてだった。日本からの直行便がないので、まず他国に立ち寄ってからカンボジアに入国するという段取りになる。そこで、隣国タイのバンコク経由で、アンコール遺跡のあるシェムリアップに向かうことにした。


カンボジア入国には観光ビザが必要だ。日本で取得しようとすると、けっこう面倒なようだ。同僚からシェムリアップの空港で取得できるという情報を得たので、それに決める。


タイに入国

夏休みに入ってすぐの7月22日、新大阪から関空特急はるかに乗り、関西国際空港へ。搭乗するのはタイ航空のTG623便だ。土曜日のせいか、カウンター前には長蛇の列ができている。
出発は11:45。バンコクまで約5時間の空の旅が始まる。3人掛けの窓側にタイ人の女性、真ん中に国籍不明の金髪の女性、自分の席は出入りしやすい通路側だ。飛行機の座席って、こんなに窮屈だったのかと思う。

現地時間の15時半ごろ、やっとバンコクに到着。時差が2時間あるので、腕時計の針を2周戻す。気温は33℃だ。
この日は、EBINA HOUSE というホテルを予約してあった。翌朝は早くに出発する予定なので、泊まるだけの宿だ。朝食付きで4,200円。空港まで迎えに来てくれたワゴン車に乗り、夕方5時にホテルに落ち着く。ここまではとりあえず順調だ。
夜は近所の食堂で、汁麺と焼き鳥を食べる。


カンボジア・Siem Reapシェムリアップ

翌朝は、5時半にモーニング・コールを頼んでおいたが、夜中に何度も目が覚める。結局5時にベッドから出て出発の用意を調える。窓の外はまだまっ暗だ。朝食付きのはずだが、早すぎて間に合わず、6時にホテルのワゴン車で空港に向かう。空がほんのりと明るくなっていく。

バンコクでは、2006年に現在のスワンナプーム国際空港が開港したが、この頃はまだドンムアン空港だった。
空港ターミナルが二つあり、カンボジアに行くにはターミナル2だと聞いていたので、カウンターで尋ねるとターミナル1だと言う。重い荷物を持ってターミナル1に移動し、こちらで聞くと、今度はターミナル2だと言う。腹立ちと焦り! 「8:00発のPG930便に乗る予定です」と、スタッフにもう一度確かめると、やっぱりターミナル2だった。
ターミナル2では、もう搭乗手続きが始まっていた。500バーツ(1,600円)の空港税を支払い、出国手続きを済ませる。バスで駐機場のプロペラ機に移動する。PGとは、「バンコクエアウェイズ」のことだとこの時知った。飛行機は74人乗りで、すでにほぼ満席だ。驚いたことに、半分は年輩の日本人団体客だった。

飛行機は間もなくドンムアン空港を離陸した。到着まで約1時間。この間に、機内食の軽食を食べ、出入国カードに記入し、さらに税関申告書とビザ申請用紙にも記入するので、かなり忙しい。このビザ申請用紙が重要だ。シェムリアップの空港でのビザ申請には、20ドルが必要である。しかし、ここで大変なことに気がついた。申請時に支払う20ドルが手元にない! 両替したドル札はすべてバッグの中にあり、飛行機に乗る前に預けてしまった。荷物を受け取ることができるのは、ビザを取得したあとだ。

どうしよう、どうすればいいんだろう、と頭を悩ましている間に、飛行機は早くもシェムリアップ空港に着陸してしまった。団体客はもちろん、乗客のほとんどが、すでにビザを取得している様子だ。数人がビザカウンターの方に向かっている。その中に、後ろの座席にいた女子大生らしき2人連れの姿があった。ここは唐突だが、理由を話して20ドルを貸してくださいとお願いするしかない。怪しいおっさんと思われたかも。しかし、何とかビザを発行してもらえた。名前も何も聞かなかったけど、ほんとにありがとう。

個人旅行のせいか、入国審査も厳しかった。荷物もすべて調べられた。タイで買ったランプータン4個をビニール袋に入れて持ち込んだが、取り上げられるんではないかとドキドキした。
それでも、どうにか入国審査も荷物検査も終わり、無事にカンボジアの土を踏むことができた。めでたし、めでたしだ。
さて次の課題は、泊まるところを決めることである。こちらでの滞在予定は1週間。案内所で、ホテルを探していると言うと、FREEDOM HOTEL を紹介してくれる。1泊20ドルだと言う。

空港からタクシーでホテルに向かう。料金は5ドルだった。カンボジアに入国してから気になっていたのは、すべてが米ドルの支払いになっていることだ。カンボジアの現地通貨単位は「リエル(Riel)」だが、実際はドルの力が強いようだ。

窓の外を、椰子の木、田圃、牛など、平和な風景が過ぎていく。道路はかろうじてアスファルト舗装がしてあるが、いたんでデコボコしている。穴には水が溜まり、土はオレンジ色をしている。今は雨季の真っ最中で、時折強い雨が降るそうだ。

FREEDOM HOTEL は町から少し離れた道路沿いにあった。かなり古い建物という印象だ。1泊20ドルという約束だが、20ドルの部屋と25ドルの部屋を見せてもらう。20ドルの部屋はバスタブがなく、廊下側に窓があって安全性に問題がある。
そこで交渉。25ドルの部屋に6泊するからということで、1泊20ドルにまけてもらう。エアコン、バスタブ付きホットシャワー、トイレ、冷蔵庫、そしてゆったりしたベッドと机もある。これで20ドルなら言うことなしか。なお、この当時のドルのレートは、110円だった。

こうしてカンボジア・シェムリアップでの落ち着き先が決まり、いよいよアンコール遺跡への期待が膨らんでいった。さて、午後はどうしようか。

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