大阪市の神社と狛犬 ⑳西成区 ①津守神社~風格ある2対の狛犬~
大阪市西成区の地図と神社
大阪市には、現在24の行政区があります。西成区は、上町台地の西側から木津川に至る間に位置しています。上町台地の西に生る(成る)地として、かつて西成郡と呼ばれていた地域の一部が、大正14年(1925)に大阪市に編入された際に、現在の西成区になりました。北に浪速区、東に阿倍野区、南に住之江区、木津川を挟んで西に大正区が隣接しています。
明治時代ごろまでは玉出や天下茶屋に集落があったほかは農村地帯でしたが、その後急速な宅地化が進みました。
今回は木津川の近くに鎮座する津守神社に参拝します。最寄り駅は、南海高野線「津守駅」か、次の「西天下茶屋駅」で、いずれも駅から徒歩で約10分ほどの距離です。
津守神社
■所在地 〒557-0062 大阪市西成区津守3-4-1
■主祭神 天照皇大神、稲荷大神、大歳大神、住吉大神、綿津見大神
■由緒 創建の由来は明らかではないが、江戸時代の元禄年間に「津守新田」が開墾された際に、工事の成就とこの地の五穀豊穣を祈願して、新田の最北端に稲荷大明神小社として奉斎されたのが始まりという。その後、明和6年(1769)に社地を新田のほぼ中央にあたる現在地にうつし、五社の大神をお祀りして、五社神社・五社大明神などと称された。現在の津守神社と改称されたのは、明治4年(1871)のことである。
狛犬1
■奉献年 昭和十一年五月吉日(1936)
■作者 不明
■材質 青銅
■設置 拝殿前
拝殿前に安置されているのは、昭和11年奉納の青銅製の狛犬である。頭頂が盛り上がっていて入道頭のようだ。吽形の頭上に角が見当たらないので、正確には「獅子・獅子」の組み合わせとなる。胸の飾り帯には鈴と房のようなものが付いている。たてがみは豊かで、尾は複雑な形状をしているが、阿吽ほぼ対称的な造りである。
第2次大戦時の金属類供出を免れて、よく無事に残ってくれたと思う。
狛犬2
■奉献年 安永八己亥年五月吉日(1779)
■作者 不明
■材質 花崗岩
■設置 産土社前
像高70cm足らずの石造狛犬だが、どっしりとした存在感があり風格を感じさせる。産土社という小さな境内社前でこの狛犬と出会ったときは嬉しかった。よくぞ長生きしてくれたと思った。
台座には「安永八己亥年五月吉日」と記されている。浪速狛犬の中でも古い部類に入る。
顔の周囲を巻毛が取り巻き、目の上の眉も小さな巻毛が左右4つずつ連なっている。山型の貼り付けたような鼻は愛嬌がある。吽形のお椀型の頭上に、はっきりとした角がある。尾は、大きな3つの渦巻きの上に3本の太い毛房が背中に沿って立ち上がる。
サポートありがとうございます。 いただいたサポートは狛犬研究など、クリエイターとしての活動費として使わせていただきます。