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大阪市の神社と狛犬 ⑬港区 ③三先天満宮~皇紀二千六百年記念の狛犬~

大阪市港区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。港区は大阪市の西部に位置する東西に細長い形をした区で、安治川と尻無川にはさまれ、大阪港を擁する海の玄関口に位置しています。
この地域は、かつては淀川の河口に発達した低湿な三角州でしたが、江戸時代に入って河村瑞賢が安治川を開削し、市岡新田をはじめとする大規模な新田開発が進められました。現在も、新田開発者の名前が地名として残っています。
近年は、ウォーターフロント開発により天保山に「海遊館」をはじめとする集客施設が多数建設され、現在も開発が進んでいます。

三先天満宮 ご神紋

港区には、神社が6社あります。そのうちの港住吉神社は、住吉大社の境外社です。港区は、新田開発の成功を祈願して神様を勧請して創建された神社が多いのが印象的でした。今回の三先天満宮もその一つです。

三先天満宮は、大阪メトロ中央線朝潮橋駅から東へ約800m、徒歩10分ほどのところに鎮座します。すぐ隣は、大阪市立港南中学校です。


三先みさき天満宮

■所在地 〒552-0016 大阪市港区三先1-5-40
■主祭神 菅原大神、住吉大神、稲荷大神
■由緒  天保6年(1835)、この地の開発を葦屋勇助という人物から引き継いだ池田屋大吉は、成功を祈願して大神様を勧請してお祀りしたという。開発は無事成功し、開発された土地は「池田新田」と称されるようになった。
正式な社名は「天満宮」だが、通称は地名を冠して「三先天満宮」と呼ばれている。「三先」という地名は、この地が、尻無川から市岡新田に樋で農業用水を取り入れたという「三ッ樋町」の先にあったことに由来するという。

三先天満宮 拝殿

狛犬

■奉献年 昭和十五年(1940)皇紀二千六百年記念
■石工  不明  
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

拝殿前狛犬結合
拝殿前狛犬(阿形)
拝殿前狛犬(吽形)

三先天満宮の拝殿前に安置されている花崗岩製の狛犬は、昭和15年(1940)に奉納されたもので、「皇紀二千六百年記念」と刻まれている。この年は狛犬の奉納がもっとも多い年であった。
阿形は玉持ち、吽形は子持ちだが、左右の狛犬のたてがみや毛並みはほぼ対称的である。

拝殿前狛犬(吽形)


寝牛社

菅原道真公をお祀りする天満宮といえば、神牛がつきものだ。この境内にも神牛と思われる石の塊が祀られている。社殿はなく、寝そべった牛の形に見える霊石がご神体である。

寝牛社
寝牛社ご神体

牛だといわれれば、確かに牛に見えるが・・・。
この石の欠片を煎じて飲むと、眼病、よだれくりに良く効くと言い伝えられている。目の前の霊石は、削り取られたあとの姿なのだろうか。



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