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大阪市の神社と狛犬 ⑯天王寺区 ⑩弥栄神社味原御旅所~渡御する神様を迎える狛犬~

大阪市天王寺区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。天王寺区は大阪市の中南部に位置し、区域の大半は南北にのびる上町台地上にあります。区名は、聖徳太子建立の日本最古の官営寺院である四天王寺に由来します。区内には約200の社寺があるほか、名所旧跡も多く、歴史と伝統の息づく町といえます。
天王寺区には、神社が11社あります。そのうちの1社は、今回の弥栄神社味原御旅所です。本社の弥栄神社は生野区にあります。
弥栄やえ神社味原御旅所は、大阪府立高津高校の南東部に隣接して鎮座します。JR環状線鶴橋駅から北西に700m、近鉄上本町駅から北東に800mほどのところです。


弥栄やえ神社味原御旅所

■所在地 〒543-0016 大阪市天王寺区餌差町10-23
■主祭神 素盞嗚命、仁徳天皇
■由緒  御旅所とは、御祭神が氏地内を渡御する途中で仮に遷座する場所である。弥栄神社味原御旅所があるこの地は、かつては広大な味原池の北岸に位置していた。御旅所の由緒書のようなものはなく、小さな社殿には「彌栄神社」と大書された神額が掲げられている。弥栄神社の御旅所は、もう1ヶ所、生野区勝山に「岡御旅所」がある。

社殿正面の神額「彌栄神社」

弥栄神社味原御旅所は、高津高校の校舎の南東にひっそりと鎮座している。道路際に鳥居がないので、注意して見ないと、通り過ぎてしまいそうな場所だ。

弥栄神社味原御旅所

「奉」「納」と刻まれた石柱の間の参道の奥に、小さな鳥居と社殿が見える。右側に社務所の建物があるが、ふだんは無人のようだ。

御旅所の鳥居と社殿


狛犬

■奉献年 不明
■作者  不明
■材質  花崗岩
■設置  社殿前

御旅所社殿と手前の狛犬
御旅所社殿と手前の狛犬
御旅所社殿と手前の狛犬

宣字型の台座の下の四角い基壇は、全体を高くするために後で付け足されたもののようだ。台座のどこにも奉献年などの文字は見当たらないが、おそらく昭和の狛犬だと思われる。古くても大正時代だろうか。

御旅所社殿前の石造狛犬
御旅所社殿前の石造狛犬(阿形)
御旅所社殿前の石造狛犬(吽形)
御旅所社殿前の石造狛犬(阿形)
御旅所社殿前の石造狛犬(吽形)


年月のせいで少し摩耗しているかもしれないが、全体的に彫りが浅い。しかし、後方に靡くような耳の形を阿吽で変化をつけたり、バランスよく整えられた姿は悪くない。頭頂はやや尖り気味、尻尾はぼってりとしているが、巻毛と流れ毛をうまく配している。


〈境内の石碑〉

境内入口を入った右手に、「味原町碑」と記された石碑があった。


石碑の文字は薄くて読みづらいが、大正11壬戌年(1922)に建てられたものだ。かつては灌漑地で花見の名所であった味原池は、この付近を住宅地にするために大正8年(1919)に埋め立てられてしまった。

「浪花百景」産湯味原池


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