大阪髙島屋 「開館25周年記念展 京都 細見美術館の名品 琳派、若冲、ときめきの日本美術」~展覧会#33~
細見美術館開館25周年
京都の岡崎に細見美術館が開館したのは、今から25年前の1998年でした。岡崎には、京都国立近代美術館・京都市京セラ美術館があり、すぐそばには平安神宮があります。京都の歴史と文化の中心地に新しく参入した細見美術館でしたが、もう25年になるのですね。
細見美術館の収蔵品は約1,000点あると言われています。細見家3代(細見良、實、良行)が収集した美術品は、琳派や若冲など江戸時代の絵画をはじめとして、仏画や仏像、仏具などから古墳出土品に至るまで、日本美術のほとんどの分野にわたります。
今回の美術展は、細見美術館開館25周年を記念して、大阪を皮切りに、東京・名古屋・静岡・長野と、各地を巡回します。
大阪での展覧会の会期は4月10日まででした。私はその最終日に、滑り込みで観てきました。
展示作品
展覧会の構成は、次の通りです。
会場は撮影禁止なので、チラシの写真で、その一部を紹介します。
1. 祈りのかたち
いわゆる「天上天下唯我独尊」のスタイルですね。素朴さの中に凜々しさを感じます。
2. 数寄の心
このように橋を描いた図を「住吉手」と呼ぶそうです。住吉大社の反橋ですね。この茶碗の銘は、橋の図を、京の五条の橋に見立てたものです。手に取ってみたくなる茶碗です。
芦屋釜は、南北朝時代頃から筑前国芦屋津金屋(現在の福岡県遠賀郡芦屋町付近)で造られた茶の湯釜です。「真形」とよばれる端整な形と、胴部に表される優美な文様は京の茶人たちに好まれました。
この茶釜の胴部には十一面観音菩薩が描かれています。茶釜を香炉に仕立て直した作品ですね。
3. 華やぎのとき
釘隠しや襖の引き手などに美しい意匠や技巧を凝らす「かざりの美」には、当時の人々の豊かさと贅沢さを感じます。
反物を前に思案する娘を中心に、年齢の異なる5人の女性たちを描いています。呉服店から届いた反物は、新年の晴れ着選びか、婚礼の支度でしょうか。
4. 琳派への憧れ
光悦と宗達のコラボですね。ため息が出るほどの豪華な取り合わせです。
抱一最晩年の名作ですね。月次の花鳥を描く十二図のうちの一図です。垂直の幹から枝がS字状に下降しています。細枝に止まる青い大瑠璃が、薄色の桜に映えて鮮やかに際だっていますね。
5. 若冲のちから
琳派、若冲となると、細見美術館の収集は俄然力が入りますね。若冲といえば「鶏」の絵が思い浮かぶほど、その技術と構図にはいつも圧倒されます。
白い雪の中で、真っ赤な鶏冠と漆黒の尾羽が印象的です。よく見ると、竹が節ごとに屈曲しています。
「景和」という署名から、30代前半頃の作品と推測されます。
「群鶏図」や「鶏図押絵貼屏風」なども出品されています。
生き物を描くのは若冲の得意とするところですね。この「糸瓜群虫図」は、極端に長細い糸瓜に自由奔放に群がる様々な虫たちを描いた作品です。
糸瓜と虫たちが同化して見えますが、11匹の虫が描き込まれています。
美術展のチラシの裏側は、このようになっていました。
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