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大阪市の神社と狛犬 ⑬港区 ④福崎住吉神社~地元の倉庫業者が奉納した精悍狛犬~

大阪市港区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。港区は大阪市の西部に位置する東西に細長い形をした区で、安治川と尻無川にはさまれ、大阪港を擁する海の玄関口に位置しています。
この地域は、かつては淀川の河口に発達した低湿な三角州でしたが、江戸時代に入って河村瑞賢が安治川を開削し、市岡新田をはじめとする大規模な新田開発が進められました。現在も、新田開発者の名前が地名として残っています。
近年は、ウォーターフロント開発により天保山に「海遊館」をはじめとする集客施設が多数建設され、現在も開発が進んでいます。

港区には、神社が6社あります。そのうちの港住吉神社は、住吉大社の境外社です。港区は、新田開発の成功を祈願して神様を勧請して創建された神社が多いのが印象的でした。今回の福崎住吉神社もその一つです。

福崎住吉神社は、大阪メトロ中央線朝潮橋駅から東へ1km余り、徒歩15分ほどのところに鎮座します。神社の周辺は、倉庫や工場です。神社庁への登録名称は「住吉神社」で、「福崎住吉神社」は通称です。


福崎住吉神社

■所在地 〒552-0013 大阪市港区福崎1-1-39
■主祭神 天照皇大神、住吉大神
■由緒  当社は、江戸時代後期の天保6年(1836)、当地の開発に従事した人たちが、この地に天照皇大神、住吉大神を勧請し、お祀りしたことに始まる。明治4年(1871)の洪水による社殿が流失や、大正4年(1915)の尻無川の河川工事などで社地の移転があった。現在は株式会社杉村倉庫の創始者である杉村正太郎氏が譲渡した地に祀られている。

狛犬

■奉献年 大正四年十月(1915)杉村倉庫店員
■石工  不明  
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

拝殿前狛犬結合
拝殿前狛犬(阿形)
拝殿前狛犬(吽形)

拝殿前の狛犬は、大正4年(1915)にこの地に遷座したときに奉納されたものである。台座に「杉村倉庫店員」と記されているように、この港区に本社を置く「株式会社杉村倉庫」が奉納した狛犬である。正面の玉垣や、境内に残された鳥居の柱にも「杉村倉庫」の名前が残されている。

「大正四年十月 杉村倉庫」の銘がある鳥居柱

狛犬は粗い補修がなされているが、鋭く見開いた目や口元に精悍さが感じられる。阿形は大きな房のたてがみを持ち、吽形は巻毛が混じる。尾の形状も阿吽で異なる。

福崎住吉神社 由緒


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