大阪市の神社と狛犬 ❾鶴見区②大神社(大宮神社)~石塊と化した先代狛犬~
大阪市鶴見区の地図と神社
大阪市には、現在24の行政区があります。鶴見区は、北西は旭区、西は城東区と接していて、大阪市でいちばん東に位置します。さらに、北は守口市、北東は門真市、東は大東市、南は東大阪市になります。
かつては蓮畑や蓮根畑が多いのどかな田舎町でしたが、1990年には花博が開催され、開発が進みました。花博会場の跡地は鶴見緑地として区のシンボルになっています。
「鶴見区」という名前の由来については、次のような話が伝わっています。鎌倉時代に、源頼朝が富士の裾野で巻狩をしたときに、千羽の鶴に金の短冊を付けて放したところ、この地に飛来して住み着いたといいます。その鶴を見物に来る人が多く、そのことから「鶴見」という呼び名がついたといわれています。
鶴見区には、神社が8社あります。大神社は茨田大宮にある神社で、大宮神社と呼ばれています。
大神社(大宮神社)
■所在地 〒538-0031 大阪市鶴見区茨田大宮1-18-17
■主祭神 天照皇大神
■由緒 創建などの詳しいことはわからないが、境内には樹齢三百年の大楠があるので、当社もそれ以上の歴史があるのだろう。
狛犬1
■奉献年 昭和二十一年二月二十日吉日(1946)
■石工 不明
■材質 花崗岩
■設置 拝殿前
昭和21年(1946)奉納の花崗岩製狛犬。吽形の第二台座の拝殿側に、紀年銘がある。その下の第三台座には別の紀年銘があるので、先代狛犬の台座の上に坐していることがわかる。
狛犬2
■奉献年 文政十丁亥年九月吉日(1827) 願主 葭中惣左衛門
■石工 不明
■材質 砂岩
■設置 拝殿手前の境内片隅
拝殿に向かって右手前の隅、柵に囲まれた中に二体の石塊がある。全体の形状から、かろうじてかつて狛犬であったことがわかる。表面はすべて摩耗・損傷していて、よくまあ廃棄されずに保存されているものだと、ありがたく思う。
拝殿前の昭和狛犬の第三台座に残されている紀年銘は、この狛犬が奉献された時のものだろう。
「文政十丁亥年九月吉日」と読める。西暦1827年奉献の浪速狛犬である。 「願主 葭中惣左衛門」という文字もあるが、石工銘はなさそうだ。
砂岩製の狛犬にとって、200年の歳月に耐えることは確かに厳しいが、それでもきれいに元の状態を維持している狛犬もある。同じ和泉砂岩でも、このように脆いものもあるということだろうか。
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