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大阪市の神社と狛犬 ➋淀川区①蒲田神社~小島屋半兵衛の初期狛犬~

大阪市淀川区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。淀川区は淀川の北側にある三つの区の中央に位置します。
淀川区には、神社本庁に加盟する4社があります。(地図参照)
蒲田神社は、大阪メトロ御堂筋線の東三国駅から東へ200mほど離れたところに鎮座する神社です。

蒲田神社

■鎮座地 〒532-0002 大阪市淀川区東三国2-18-12
■主祭神 宇賀御魂神うかのみたまのかみ別雷神わけいかずちのかみ
■由緒  南北朝時代、「室の明神」とよばれた播磨国室の宮の分霊を祀ったのが当社の始まりだといわれる。室社、稲荷明神社などと呼ばれていたが、明治42年から地名を冠して現在の社名になった。

蒲田神社拝殿

狛犬1

■奉献年 享和三亥年九月吉日(1803)
■石工  大坂石工 小島屋半兵衛
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

享和3年奉献・小島屋半兵衛の狛犬(阿形)
享和3年奉献・小島屋半兵衛の狛犬(吽形)
享和3年奉献・小島屋半兵衛の狛犬の尾(阿形)
石工銘

享和3年(1803)奉献の浪速狛犬。花崗岩製なので、保存状態はよい。享和年間の浪速狛犬は十数例残っているが、花崗岩製と砂岩製は約半々の割合だ。作者の大坂西横堀の石工・小島屋半兵衛の狛犬は、この享和から始まって天保期を中心に、半世紀近い間に大阪と奈良だけでも20例近くも見ることができる。その中でこの蒲田神社の享和3年が最も古い狛犬である。
この時期の狛犬は、口角の扱いがすっきりしていて、阿形の表情も明るく感じられる。たてがみの巻き毛や流れ毛の表現も誇張がなく穏やかである。尾はゆらめくように立ち上がり、線刻で毛筋を表す。吽形の角は、真ん中がくびれた枝角である。全体的にどっしりと落ち着いたいい狛犬だ。

狛犬2

■奉献年 不明
■石工  不明
■材質  砂岩
■設置  手水舎てみずや

蒲田神社の手水舎
手水舎の吽形狛犬

境内の手水舎に一体のみの狛犬が置かれている。吽形の砂岩製狛犬で、由来は不明である。もとは別の場所に置かれていたものを、手水鉢の端に設置したようだ。

十二支瓦と瓦獅子

十二支方位瓦
瓦製獅子

境内の一角に、十二支方位の瓦と鬼瓦が並べられている。中央には瓦製の獅子があった。もとは屋根の上にあったものだ。
蒲田神社の境内はさほど広くないが、きれいに整備されていて気持ちよい。


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