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昭和の記憶 フナバシストーリー/船橋大神宮

ヨーロッパのニュースを見る。200年前のワーテルローの戦いを祭りとして今なお再現する土地柄だが、今日はWWIIでHirohitoが降伏を認め正式に書簡にサインが行われた日。他国から見た日本の横顔。角度を変えれば、よく知っているはずの場所やものごとが全く知らないものになる。

失礼な話だか、船橋は最初何もないところだと思っていた。ショッピングモールと競馬場、高圧線鉄塔。まったく興味が持てなかったが、千の葉芸術祭という催しで北井一夫という写真家を知った。過激派や東北の農村などその時々の日本の姿を記録してきた写真家で、木村伊兵衛賞第一回目の受賞者だ。船橋に住んでおり、1980年代の人口が激増した船橋の団地の家族の暮らしを綴った「フナバシストーリー」という作品集をものしている。写真が切り取った日常の一瞬は瑞々しく、卵焼きを焼く匂いや波の音、ラジオや子供の笑い声で溢れている。船橋の北部は丘陵で梨畑が広がり、その合間に公団住宅が点在している。草の戸も住み替る代ぞ雛の家とばかり当初の第一世代ではなく第三世代に向け今は無印良品がリノベーションを手掛けている。船橋は新興ベッドタウンだが、人が根付き日々を重ねさらにその流れは連なってゆくのだろう。

船橋駅から京成船橋駅に乗り換え、大神宮下駅から歩いて3分。船橋大神宮を訪れた。意富比(おおい)神社と呼ばれ、船橋地方最古かつ最大の神社で古くは延喜式(927年)に遡ると言う。境内も広く参道も奥行きがある。

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狛犬に登る子どもが後を絶たないのだろう。「のぼらないこと」。オールひらがなの看板。神社が人の暮らしの一部に溶け込み、狛犬が子供の良き遊び相手となっている証。

徳川家康、秀忠を祀る常磐神社。プチ日光東照宮の趣き。

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ありふれた街も、見慣れた場所も角度を変えれば新しい発見がある。そんなことを改めて教えられた日であった。

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