見出し画像

花開く時。

締め日の奇跡。

そして、私はお客様の席へ付き
談笑を楽しんだ。

まだまだ先輩方のように
上手く笑えない時も有るけれど
この日は全力で本当の笑顔で…
お客様に感謝を伝えた。

その時だった。
店のドアが開き続々と見慣れたお客様が来店された。

しかし、ココは下克上。
指名は私では無いかもしれない。

来店されたお客様の
指名の確認が取れるまでは安堵できない。

少しの緊張と、周りのキャスト達の視線。
黒服の動きがスローモーションにも見えた。

その黒服が、こっちへ向かい…
そっとテーブル横に膝まづき
指名の連絡が来た。

「愛瑠さん、ご指名です。」

私は耳を疑った。

いつも出来るだけお客様に安くはないお金を
お支払いして頂いてるので
出来るだけ指名が被らないようにお願いして
ご来店して頂いてるからだ。

困り果てた顔を見られたのか
オープンから来て頂いたお客様に

「頑張って来い!」

と背中を押され、私は次の席へ向かう。

次の席でも締め日な事をお客様は
知っていたのか…
贅沢に飲まないボトルを卸して下さった。

初めての締め日。
トントン拍子にお店の半分近くは
ご指名を頂けて…

私はここで初陣の花を咲かせる事ができ
一気にNo.1までかけ上った。

しかし、下克上の世界。
妬み、恨み、裏切り者で
キャストさんには良い顔をされなく…

ヘルプにも着いて貰えなかった。
待機室でも、ただ孤独だった。

孤独は慣れている。

しかし、何をされても気にはしなかった。
苛立ちもなければ悲しみもない。

そして、いつからかロッカールームも待機室も
黒服の采配で
他のキャストさんと分けて貰い
ただただ、良くも悪くも腫れ物扱いだった。

息がしづらい世界だったけど
ここで目先一年分の学費の金銭面は
確保出来たので、私は安堵した。

しかし、この安堵の先に
波乱が待っているとは、この時は知らなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?