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【私の本棚】

(シリーズタイトル変えました)(笑)

『バベルの謎』長谷川三千子著

平成8年、中央公論社刊

一見、推理小説風のタイトルですが、実際、推理小説を読み進むような感じで一気に・・・でもないですけどグイグイ引き込まれて読了しました。

著者の専門は哲学。ですがこの本を読むと、哲学とは難しい概念を頭の中でこねくり回すのではなくて、言葉をありのままに、丹念に繙(ひもと)いていくのだということが分かります。

「言葉をありのままに」と書きましたが、それは私たちが普段使っている言葉を、普段使いのままに、という意味です。実際、この本の中での著者の抱く疑問や違和感は、私たちが生活の中で抱くちょっとした心の持ち方と何ら変わりがないのです。

私たちも一度は聞いたことがある「バベルの塔」の物語。その奥に隠された天地創造のストーリー。言葉だけを手掛かりに、謎を解き明かしていく。下手な推理小説よりずっとワクワクして読めました。

(現在は中公文庫になっています)