見出し画像

栄養療法を模索する。その1

ども。
毎度、院長です。
相当ご無沙汰しておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
拙者は変わらず、といいますか。何というか、何ということもなく。ええ。
いつもの室内では、えぜる亀の小さなおならに空気清浄機がその都度反応して、「ぶお〜」とかの音を鳴り響かせており。
空気を清めてくれているのはわかるのですが、その都度というのはちょいとうるせー感じです。
で、今回は栄養療法のことです。
ここ3年近く栄養のことをゆるゆるあれこれと模索しております。
長年来の精神科診療の中で、運動と栄養、そして睡眠といった基本中の基本が心身の健康維持には大事だよな、というのを痛感しておる中で、予防医学的観点から診療所関連施設エリムガーデン(運動できるスペース)を立ち上げたりしておりました。
運動とともに栄養というのも本当に大事なところなのですが、現代は飽食だというにも関わらず、質的栄養失調状態にあると言われており、実際そうだと思うです。
カロリーのこと、3大栄養素(タンパク、脂質、糖質)は意識しても、ビタミンやミネラル、食物繊維やファイトケミカルのことについて、なかなか全体として捉えることが難しいのだなと、拙者自身を振り返ってみても反省するところ大なのでした。
そこから拙者、2020年より実験的にビーガン食+塩抜きの食事療法からスタートしたのでした。
その経過を当時ライブドアのブログの方でちょこっと書いたことがあるのですが、そこから色々と変遷してきております。
全体像が出てきたらまとめて記事にしていこうと思っていたのですが、この3年近くの間に患者さんにも必要に応じて食事指導のようなものをやっていたら、驚くような結果が出る方々がおりましたので、少しずつ報告していっても良いのかなという気がしたのでした。
色々な要素が絡むところもあるので、どこからどう書いたらいいのかわからないのですが、それでも少しずつ発信していけたらいいな、と思っています。
今回はビタミンに関してのお話を少しします。

拙者が2020年1月中旬くらいからビーガン食(完全菜食)プラス塩抜き生活に入ったのですが、みるみるうちに筋力が低下し、筋トレで取り扱える重量が格段に落ちてしまいました。
体調的にはスッキリした感じがあって悪くはなかったのですが、徐々に大球性貧血に(ビタミンB12や葉酸が不足すると大きな赤血球に、鉄が不足すると小さな赤血球=小球性貧血に)なってしまいました。
コレステロール値も正常より低く、データ的に見ると低栄養状態です。
ビタミンB12は理論的には体内貯蔵が5年ほどあるという情報でしたので、ビーガン食にすると、動物性食品から摂取すべきビタミンB12が不足することは分かっていたのですが、体内貯蔵量からするとそこまで急いで補給しなくても大丈夫だろうと思っておったのです。
しかし、拙者の体に起こっておる変化としては、ビタミンB12が不足しておることは確かなようなのです。
そこで、2020年5月中旬ごろにはビーガン食をやめて、塩抜きはそのままで、卵と鶏肉あたりを摂取するようにしました。
その後も食事内容を微調整していき、結果として大球性貧血が正常値に戻るまでに約1年かかりました。
この間、サプリメントはあれこれ取り入れていたのでしたが、臓器ごとに回復のスピードが違うというのも、データから見えてきました。
事前にそういう事実は理論的に理解してはいたのですが、実際自分の体で経験してみてそれを実感した次第です。
例えば、血液は4ヶ月程度細胞の再生に時間が必要だというようなことでしたが、まあそういうペースで徐々に回復していったような感じです。
ごく軽度の肝腎機能障害などに関しては、データ的には1ヶ月である程度改善しますが、細胞の再生としては1年近くかかるようです。

この一件から、拙者は三石巌氏の「確率的親和力」とか「ビタミンカスケード」といった、ビタミンの体内での動きに関しての理論に納得したのでした。
三石巌氏といえば、分子栄養学の方面でその名を知らない人はいないというくらいの学者です。
三石氏は、家族内で同じような食事をしていて、病気になる人、ならない人がいるところに着眼します。これは体質の違いということになりますが、個人によって必要とするビタミンが違い、例えば水溶性ビタミンで100〜150倍、脂溶性ビタミンで10倍の差があるというのです。
これは、ビタミンB1が1mgでうまく乳酸を処理できる人と、100〜150mgないと処理出来ない人がいる、というようなことです。
こういう親和力の違いが体質の違いになるというところに関し、三石氏は「確率的親和力」と言われたのでした。
拙者の場合は、もしかするとビタミンB12に関して体質的に親和力が低いのではないか、という気がしたのでした。それで、より多くビタミンB12を摂取しておく必要があると思い、補強するようになったのでした。

次に、「ビタミンカスケード」というのは、段々滝のイメージです。
例えば、ビタミンCはコラーゲン合成、副腎皮質ホルモン合成、インターフェロン合成、チトクロームP450合成、免疫グロブリン合成、コレステロール分解などなど、その作用は多種多様で、取り上げたらキリがないようです。
それらを合成する順番が人によって違い、その人にとって最優先の代謝を一番上流として、最も後回しにされる代謝を最下流という、段々滝を流れるビタミンCのイメージを、三石氏は「ビタミンカスケード」という目に見えるイメージで理論化しました。
三石理論では、この最下流に位置する代謝にまで十分量のビタミンCが行き届くためには、大量のビタミン摂取が必要になる、としています。
これは他の栄養素に関しても同じように考えることができます。
例えば、タンパク質で言うと、カスケードの最後の方に髪の毛の再生がある人は禿げやすく、皮膚が最後の方の人は皮膚の老化が早くなる、というようなものです。
拙者、この理論を知る前にたまたまですが、抗酸化作用を狙いβカロテンを野菜から相当多めに取るようにしていたのですが、このカスケード理論を知ってからはビタミンCを1日最大量取るようにしております。
三石氏の理論、特にこのビタミンに関しては比較的食生活で取り入れやすいところがあるため、患者さんで前癌状態の方に大量の生野菜(できれば無農薬や有機野菜)を取るように勧めています。
今回の記事では記載できなかった、生野菜によるファイトケミカルの抗酸化作用や、野菜酵素の取り入れなども視野に入れつつ、ビタミンとミネラルをバランスよく取るのに、生野菜が手っ取り早いと思うからです。
この食事指導を頑張って取り入れた方(子宮頸部異形成)は、半年後に正常化しています。
複数名このような患者さんがいらっしゃるのですが、その中で正常化し安心したのか、途中で食事療法をやめてしまった方が、また数年後に異形成になっていました。
そこでまた食事療法を再開し、また正常化しています。
これはごく一部のことではありますが、食事や生活習慣の変更により、疾患は予防できるものだなというのを目の当たりにしているところです。
精神科領域においても、広島の藤川徳美先生の本はとても参考になります。
拙者がこの栄養療法を開始して8ヶ月ほど経った頃に、藤川徳美先生のクリニックにも設置してある陶板浴の会社を通じて、拙者は藤川先生のご著書を遅ればせながら知った次第でした。
エリムガーデンの方でも、陶板浴を多くの方に利用できるよう設置できればいいなと思っているところです。

以上、まずはビタミンの話からでした。