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先人の声に耳を傾ける

90歳になる男性から聞いた言葉が
私の心にずっと残っている。

なぜそこに旧家があるか

ある町は、以前田んぼだったところに
国道が通り、その周辺にチェーン店が立ち並んだ。
田んぼはどんどん店や民家に変わっていく。

数年前の豪雨でその地は浸水し、大きな被害が出た。
その町の90歳になる男性と話していた時、
「大雨大変でしたね。」というと
「今回浸水した場所は、もともと、川の氾濫した水を貯めて
住んでいる集落を守るための場所だったんだよ。
水を貯める場所に家を建てたら浸水もする。
昔の家は、全部あの道(旧道)より高い位置に建っているでしょう。
あの道(旧道)が浸水しない最低ラインの場所だったんだよ。」
と。

そして、少し寂しそうな声で
「昔の人の考えに目を向けて、先人の声に耳を傾けないから。」
と。

確かに、今回の豪雨で浸水した場所は、昔から建っていた家ではなく、
最近たった店や民家だった。
新しい国道沿いで日頃は利便性の良い場所だったが。

そういえば、昔、父から聞いたことがある。
「西陽が当たらないところに建っているのが昔からある家だよ。
昔の人は、先祖代々伝わってきたことを守って、
一番安全な場所に家を建てたんだ。
朝日が当たって、西陽が当たらない場所に。」

歴史のある家が建っている場所が
どれだけの先祖の考えでそこに建っているか。
利便性だけを考えて、危険な場所に建てていないか。
一度立ち止まって考えないといけない。
ここ数十年で広まった地盤調査などではなく、
旧家の位置を元に家を建てる方が安全かもしれない。

先祖代々受け継がれてきたものを蔑ろにする人や
気にしない人も多いが、
なぜそれが受け継がれてきたかのかを
考える時間が今の現代人には必要かもしれない。
新しいもの
早いもの
便利なもの
目先の快楽や利便性に流されることなく、
先人の声に耳を傾ける。
そんな時間を持ってみたい。

昔の人に話を聞いたり、
古い文献や歴史の本を読んだり。
私たちの周りにはたくさんの先人の声が残っている。
どうか自分たちの代で消してしまわないように。

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