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木曜社そのご

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昆虫標本商 むしやまちょうたろう こと 西山保典 についての家族の想い
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#昆虫採集界の週刊誌

蝶楽天の軌跡を追う[11]

蝶楽天の軌跡を追う[11]

兄の遺骨は、パートナーの方に寄り添われて海に向かい、ここ東京湾に散骨されました。冥界で更に自由な身となった今は、各地に赴いて居ることでしょう。現世でこれ以上自らは行うことがなく周りが想いを語ることで美化されてしまうのかもしれません。兄はかつては、フィリピン人の方と結婚してマニラ郊外に家もあったのですが、いろいろな採集地に行き来して本拠地はずっと日本でした。パスポートはすぐにページが足りなくなってし

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蝶楽天の軌跡を追う[10]

蝶楽天の軌跡を追う[10]

昆虫採集家・標本商などの一面についてはネットの記録や書籍雑誌記事などから分かることが多い。兄は人たらしの側面があり、自分の気に入った美味しいものなどがマイブームとなると、それを食べさせたりお土産に持たせたりするのもとても愉しみにしていた。そうした兄の癖は、話題としての虫仲間の人達との語らいにも大きく影響して増強していたのではないかと周りの方が投稿するSNSでの写真などからも推察される。

兄からの

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蝶楽天の軌跡を追う[9]

蝶楽天の軌跡を追う[9]

もう一つ国会図書館に依頼していた、科学朝日の記事コピー「むかし昆虫少年だった」が届いた。こちらも白黒ページだったのか既にマイクロフィルムになっていたようだ。これは朝日新聞科学部記者の柏原精一さんが、科学朝日で連載されたシリーズです。色々な業界人の昆虫愛好家と対談したものである。連載終了後に「昆虫少年記」として出版もされている。柏原さんご自身も、虫仲間でもある。
この記事が本になった物は米国在の姉が

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蝶楽天の軌跡を追う[1]

蝶楽天の軌跡を追う[1]

4/7早朝 療養中の長兄が亡くなった。兄は昆虫採集家であり、「むしやまちょうたろう」昆虫標本商ともいわれて世界各地に採り子を擁して活動もしていました。晩年は、自身の事を蝶楽天と呼んで白楽天のように暮らしていこうとしていたようです。ここでは、そんな兄の軌跡を探索して振り返っていきたいと思います。

昆虫界では、唯一となる月3回発行の週刊誌TSU-I-SOを長年にわたり主筆として発行してきました。

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