吠えられることへの恐怖

子犬との生活が始まって、もうすぐ二週間が経つ。
当初の最大の不安は、犬に対する私の恐怖心。

・おとなしくうろついている時が怖い(突然吠えてくる)
・しっぽを追いかける遊びが怖い(終わったあと、必ずこちらに向かって威嚇するように吠える)
・お座りさせた後が怖い(座ったあと、抗議するように吠える)
・ご飯をあげるとき、待ちきれずに吠え続けるのが怖い

とにかく、吠えられるのが怖いのだ。
小さな子犬とは言え、本気で吠えると迫力がある。

妻から聞いた、娘の同級生のとあるお母さんの話。

子供会の書類を配るため町内を周る際、外で犬を飼っている家に行くのが怖くて、毎回本当に嫌だとのこと。
近づくと、もの凄い剣幕で吠えられてしまうため、書類をポストに突っ込み、即座に逃げ帰っているという。

わかる、その気持ち。
痛いほどよくわかる。

これは大袈裟なことではなく、犬が怖い人にとっては本当に死活問題である。
同じような理由で、自分には配達のような仕事は出来ないだろうと常日頃から思っていた。

子犬が来てから最初の三日間くらいは、触ったり抱き上げたりしつつも、入浴前に服を脱いだら脇の下が汗でびしょ濡れになっていた。
常に緊張感に晒されていたのだろう。身体は正直だなと感じる。

それでも人は慣れてくるもので、一週間経った頃にはそのような汗をかくことは随分と減った(ゼロではない。やはり突然吠えられるとビックリしてしまう)。

おそらく、時間の経過とともに更に慣れていくのだろう。自分自身もそうだし、それは子犬にとっても同じこと。もうすぐ二週間が経過するが、そのような変化を日々実感している。

怖いままずっと遠ざけていたものを、あえて生活に取り入れてみるという、いわば荒療治のような今回の機会。

この経験を通して得られえるものの大きさの予感と、言語を介さないコミュニケーションについて、真剣に考えるようになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?