黄昏の橋を渡れない男_23

飛び降りる前の数か月前。
アキラは偶然、妻の不倫を目撃することになった。平日の昼下がり。何も特別な事もないそんな日の事だった。

信頼していた妻の行動にアキラは、自らの目で確かめた事実の前で言葉を失った。
彼の心は、妻の裏切りによって深く傷つき、その痛みは言葉にできないほどだった。
妻に対する質問は、感情の爆発というよりも、疑いを確信に変えるためのものだった。

しかし、妻の反応は予想外だった。 謝罪の言葉一つなく、ただ黙って彼の言葉を受け止めるだけ。その沈黙は、アキラにとってさらなる拷問となった。

彼の内側には、裏切られたという事実以上に深い苦悩が渦巻いていた。
かつての愛と信頼が、このような形で終わりを告げるとは想像もしていなかった。

アキラは、自分が何を間違えたのか、どうしてこんな事態になったのかを問い続けた。
しかし、その答えは妻の沈黙の中に消えていくばかりで、彼の心の中には解決の糸口が見えなかった。

彼の感情は混沌とし、怒りや悲しみに満ちていた。しかし、それ以上に彼が感じていたのは、やるせなさだった。信頼していた相手に裏切られ、その理由さえも明かされずにいることは、彼にとって耐え難いものだった。

彼は、この苦しみからどう逃れるか、どう立ち向かうかを模索するが、答えを見つけることはできなかった。

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