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「現」教育基本法が捨て去ってしまったもの

今回のコロナウイルスが社会に与えた影響の大きさは改めて語らずともいいが、ここで浮き彫りになった事を「このあと」に活かすことは絶対に必要だと思う。たとえば2011年の震災の時、あの時にもいくつも浮き彫りになった事が、そのままうやむやになって来ていた今、またコロナ騒動でより強烈に社会の暗部や膿があぶり出されてきた感が否めない。

その中でも私自身はずっと「教育」に携わり、関わって来た中で今回ほど「見直しの重要性」が共有出来る状態になったことは、本来の優れたニッポンの教育を取り戻すためには大きな転機を与えられたと感じていて、これを絶対に無駄にしちゃいけないと思っている。

そんな中で書きはじめた「ニッポンの教育よ、コロナ休校が見せてくれた可能性をここで活かさずいつ活かす!?」のシリーズのその1,の以下の記事を書いたときに、「教育基本法」を見直してみて感じたこと。

「ニッポンの教育をダメにしてきた」現教育基本法

平成18年(2006年)の12月に公布・施行された現行の教育基本法が改正されるまでの流れは、文科省の資料ページにあるPDFによると

教育基本法改正の流れ

動き始めたのはH12年。
私自身はこの頃、6校目の病弱養護学校に勤務していました。
H10年の6月からうつ病による休職に入り、このH12年に復職したのです。
そしてこの頃から少しずつ、「心身症による入院児生」が担任する子ども達に増え始めてきていました。増加していった不登校生と、それに関わって子ども達の「原籍校」との関わりのあり方。社会全体の教育や学校に対しての風当たりと、その一方で子育て家族の苦労と。

それらの世相の中「新しい教育基本法」が成立するまで、その違和感を感じ反対を唱えながらも子ども達への対応と、自分自身の多忙さとが相まって、二回目のうつ病に陥ってしまって休職。

休職から復帰するための「復帰研修」が成立していて(1度目の鬱休職からの復帰の時にはなかったもの)その研修制度があまりにひどいもので、教師を辞めることを決めたのが……このH18年12月、現教育基本法成立の時期にピッタリ一致していたのを見直ししたときに気付いたのでした。

つまり、現行教育基本法の成立後の教育の有り様を、私は「学校」の外から眺め、何とかしたいとその後支援員として学校の中から、また塾講師として、親として、学校の外から感じて来て今に至ります。

新旧教育基本法の比較

では、現行の教育基本法のどこが教育の基本的な思想を崩しているのか。
これは、まず、新旧の教育基本法を比べてみるとよくわかると思います。
これについては、旺文社の教育情報センターにH19年1月まとめられている記事がとてもわかりやすいので是非ご覧になってください。
(↓画像をクリックするとこのページへ。リンク貼ってあります。)

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このページで前文の比較を見るだけでも、何を思惑においてこの基本法を変えてしまったのかがよくわかります。

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前教育基本法の前文では、今の「日本国憲法の精神に則って」その基本精神である「民主的で文化的な国家」の建設と「世界の平和と人類の福祉」に貢献を謳い、その実現化のための「教育の力」を認めて、その確立のための教育を考えています。

一方で、現行の教育基本法の前文では「正義」「伝統の継承」という言葉に違和感を感じ、そして最後の「をめざす教育を推進する」(=「教育は手段」)という部分に危機感すら感じてしまう。

そしてそこに続く「教育の目的」以下の部分……

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左の前教育基本法を見ると、「目的」に続いて「方針」とあり、その方針は

教育の目的は、あらゆる機会に、 あらゆる場所において実現されなければならない。 この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、 実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と 協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように 努めなければならない。

この一文を読んだときに、「今の時代こそこれが必要」と思ったのです。

現行の教育基本法は、前文で先ほど書いたように「教育は理想実現のための手段」という思惑が感じられて、それがさらにこの「教育の目標」(前法の”方針”を”目標”と変えている)でかなり具体的に浮き上がってくるような気がします。特に、この一番最後に添えてある一文。

五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた 我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、 国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこ と。

この一文を見て、ここまでの安倍政権のやってきたことを振り返ったときに、ここに並んでいる言葉の具体的に示すものが見えてきませんか?
尊重する「伝統」とは何のことを言っているのでしょう?
尊重する「他国」とは、世界中のあまねく他国ではなく、ごく一部の国のことではないでしょうか?

ここ以降もそういう観点で比較していくといろいろ見えてきます。

そしてもっとも恐ろしいと思ったのが一番最後のこの部分です。

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前基本法では「補足」とあり、平和憲法と一緒に進めていく教育の為に必要があるならば、適当な法令を制定することを認めています。

一方で現行の基本法は、「第4章」としっかり章立てをしてそのなかに「実施のため必要な法令が制定されなければならない」……と書いてあります。

この「必要な法令」とは、何をイメージしているのでしょう?教育基本法(現行のものは、第2章を見てもわかるように自由度が減りかなり細かい規制を加えています。)を実施するための”必要な法令”というと「規制法」しか思い浮かばないのですが……

そして、もう一つ、この「現行教育基本法」の改正を全面的にバックアップして大歓迎しているこちらの記事も、是非ご覧になってください。

[新教育基本法] 日本の教育が大きく変わります(日本会議の主張HPより)

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改めて、私は自分自身が肌感覚で感じとってきた「教育の流れ」について、違和感であったことをきちんとまとめて行く必要を感じました。

現行教育基本法に対して感じていた違和感だけでなく、教育現場で、社会の中で、政治において、いろいろ危機感や違和感を感じたことをそのままにしてはいけないと、強く感じています。

この記事を書くにあたって、たくさんの「新旧教育基本法」についてのWebページを参照にさせて頂きました。
こちらにリンクを張らせて頂きます。

ウィキペディア「教育基本法」
教育基本法を比較してみる。
教育基本法「改正」に対する 公明党等の見解
教育基本法改正 旺文社 教育情報センター 19 年 1 月
教育基本法ってどんな法律? 文科省HP
昭和22年教育基本法制定時の条文 文科省HP

[新教育基本法] 日本の教育が大きく変わります 日本会議HP
なぜ、今教育基本法を変えるのか?ネオ国家主義者、安倍晋三がめざすもの

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