自己紹介
高校生活が始まり、もう一ヶ月くらいになる。今日、僕のクラスでは、少し遅めの自己紹介があった。
僕は自己紹介が苦手であった。なぜなら、「自己」を、誰よりも知らないのは自分だと思っているからだ。
特に、順番を待っているあの時間が嫌いだ。心臓の位置がはっきりと分かる。力を抜くと足が震える。
ひょっとすると、一年でこの時間が一番嫌いかもしれない。学校のどんな催し物より、この一大イベントが、僕にとってはなによりの一大イベントだった。
この一大イベントの主催者(担任の先生)が、こんなことを言い出すのである。
「えー、まず最初に名前を申し出て下さい。その後に、自分を一言で表して下さい。時間制限は30秒で。」
先ほど、「自己」がわからない、といったが、特徴的な分かりやすいところはある。
音楽が好きである。聴くのも好きだし、恥ずかしい話、ここ1、2年、作曲的なこともしているつもりだ。
この、音楽が好き、ということをここで言ってしまおうか。でも、それによって何か崩れる気がする。とか思っていたら、順番が回ってきた。
「えー、(きんちゃく)です、好きな物、は、、
あっ、中学の時テニス部だったので、趣味はテニスです、よろしくお願いします。」
僕はテニス部であった。
言い忘れていたが、中学生のときはテニス部に入っていた。(高校からは卓球部だが。)
自己紹介のテンプレに、逃げてしまった。なぜ、音楽のことを言わなかったのかというと、
「音楽が好きです。」
と言うと、なんかすごい音楽関係の人っぽく、さも「アコギで自分の曲を弾き語りしている人」感が出てしまうと思ったからだ。いつの間にか、そこに後ろめたさを感じていたのだ。
僕がしているのはまだ作曲的なことであり、人前で披露できるようなものはまだないのである。
悔しい。自己主張ができなかった。
来年、自己紹介の機会があって、
「音楽が好きです、よろしくお願いします。」
と言えるようになれるよう、頑張る。
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