他人に伝わるキャラクターのデザイン

●ウサミミにはネコミミとは違った良さがある
illustrator:Airi
Twitter:@pix_bun


 さてさて今回はウサミミとキャラクターデザインについてです。
 アニメや漫画に古くからよく登場するケモノ耳のキャラクターですが、この「ケモノ耳」というアイテムってめちゃくちゃ便利なアイテムなんですよね。
 どういうことかと言うと、キャラクターデザインについて考える時は当然ですが「どうやったらこの人物の特徴が観る人に分かりやすく伝わるだろうか?」と考えたりするわけです。
 そこでこのケモノ耳というパーツは本当に便利で、なんと普通の人の頭に動物の耳を付けるだけでなんとも分かりやすい「キャラクター性」を付けてあげることができるのです。
 動物と言うのは昔から童話などの登場人物として親しまれてきただけあって実に様々な「イメージ」が付いています。犬であれば「忠実」や「人懐っこい」、ネコは「自由奔放」「気まぐれ」といったイメージが深く根付いています。
 そこでその動物の特徴をより簡単に見せるために「ケモノ耳」を人の頭にくっつけ、モチーフとなった動物の「イメージ」を耳を付けたキャラクターの「性格」とを重ね合わせることで「この人は犬っぽい真面目で人懐っこい性格」ということを一目でわかるように表現しているというわけです。
 言ってしまえばケモノ耳とは「動物についたイメージを借りてキャラクターの性格を分かりやすく表現するためのパーツ」なわけです。それに加えてケモノ耳が付くことで可愛さが増すので、こんなの使わない手はありません。

 今回紹介するのは「ウサギ耳」のキャラクター。
 皆さん「ウサギ」と聴いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
 自分がパッと思いつくのは「月」「跳ねる」「機敏」といったイメージで、正直ウサギって犬や猫に比べればこれといった強い特徴が出にくい動物かなあと思います。
 それだけにこのキャラクターの造形はとても上手く「ウサギ」のイメージを使っていると感じました。
 見て分かる通りこの絵のキャラクターは巫女のような服を着ています。わざわざ説明しなくとも「巫女」というのは神聖な存在。この「巫女=神聖」という特徴が重要で、これが「なぜウサギ耳が付いているのか?」の説明として効いているだと思います。
 先ほど自分も例に挙げましたがウサギは「月」というイメージと結びついています。そこから月にまつわる様々な神話や伝説へと連想していくのですが、連想と言うのは繋がれば繋がるほど大元の「ウサギ」のイメージから遠くなってしまいます。「ウサギ」というワードだけではすぐに「神聖」というイメージには行きつけないところを「巫女」という特徴を追加することで3つのワードに関連性が生れ、ちゃんと一体感のあるキャラクターが作られていくわけです。
 「いやいや、神聖な存在だって言いたいだけなら巫女だけでいいんじゃない?」というツッコミがあるんじゃないかと思いますが、この場合は「ウサギ」という要素を入れることで「神聖性」をより強化しているんだと思います。
 考えてみてほしいのですが、「なんでもないただの巫女」と「ウサギ耳の付いた巫女」を比べたときどっちの方が神秘的な存在に見えますか?
 もちろん描き方や演出などによっては例外もあると思いますが、やはりウサギ耳の方が特殊な力をもってそうな気配が伝わってくると思います。
 
 こういった感じで「ケモノ耳」はキャラクター性の付与だけでなくより強く打ち出したいときにも使えるため、すごくおもしろいアイテムです。
 見ている作品に「ケモノ耳」が登場してきた時には、どういう役割があって「ケモノ耳」が付いているのか考えてみるとおもしろいんじゃないかなあと思います。


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