質の高い対話的な学びを実現する名札マグネット
1 はじめに
「対話的な学びって、具体的にどうしたらいいのだろう?」
このような悩みを抱く方も多いのではないでしょうか。実際、現在の学校教育の多くで行われている対話的な学びはグループ活動が名前を変えただけのものが多く見受けられます。さらにん?と思うケースの中には、主体的な学びの視点から教師側からの支援、指導アプローチがなく、放置的グループ学習が行われています。果たして、質の高い対話的な学びとはいったいどのようにしたら実現できるのでしょうか。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25664969/picture_pc_c03679e842344da988dbf7f8d20aefc3.jpg?width=1200)
本記事では「思考の視覚化」の観点から、その実現について論じていきます。
2 名札マグネットによる多様な意思表示
これ、実は、ものすごく簡単!意見を言ったり、なにか意思表示する時に、名札マグネットを黒板に貼るだけです。例えば、名札マグネットを使うと授業中の板書はこうなります。
![本時の板書 モザイク](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25666597/picture_pc_54d2edef18ed33b00612b331ff088901.jpg?width=1200)
左側の名札マグネットは子どもの意見に対し教師が貼ったもの。右側の名札マグネット群は、今日の授業の中で、一番心に響いた意見に名札マグネットを子どもたちが貼ったものです。
基本的には、子どもが考えを言ったら名札マグネットを貼り、その子の考えを教師が要約してあげるということでよいと思います。(ただし、この要約の仕方にその教師の力量がかなり現れます。この点についてだけでも1つ記事が書けるほど実践知がありますので、いずれ書いて見たいと思います)。これであれば、教師が黒板に貼ってあげることで、子ども同士の距離は近くなりません。
子どもたちは、黒板に貼られた名札マグネットを通して、間接的に対話をすることが可能です。
3 対話の概念整理~dialogue?interaction?~
対話の概念にはいろいろあると思いますが、
例えば、英語ではいろいろあると思います。
talk, conversation, dialogue, debate, discussion・・・
この中でも
dialogue(対話)
“dia”=〜として、“logos”=言葉 言葉を通して新たなものを生み出すという意味合い、すなわち、建設的な対話の意味は好きです。
しかし、個人的には文科省が訳している
interaction(相互作用)
という言葉の概念が学校教育にはふさわしいと考えています。
互いの活動が互いに影響を与える、影響というものをもっと幅広くとらえた概念のように思っています。
ここで何が言いたいかというと、対話は直接的な会話だけを意味するのでなく、何かを媒介にした間接的な会話も可能だということです。
これ、すごく大事なポイントだと思います。
このポイントを抑えることで、たとえ直接的な活動が制限されていても「対話が可能だろう!」という発想になるのです。
5 名札マグネットの実践知
![きのぴー考案「名札マグネット」作成ツール①(男子の印刷用)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25668974/picture_pc_f82fa615c654ca1c80c70eb4fa7c0694.jpg?width=1200)
名札マグネット自体は珍しいものではありません。現在でも多くの先生方が自身の教室で使っていると思いますし、すでに昭和の時代からその活用が考えられていました。以下の書籍に珠玉の活用実践が載っていますのでぜひ、ご参考に!
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25669343/picture_pc_7128e5baba6b5f62e543b32c726e7683.jpg?width=1200)
基本的に自分の考えは、これらの先人の偉大な実践を糧にしています。以下、さらに名札マグネットを作ったり、使う上で大事だと思うポイントを挙げてみました。
① 名札の大きさ
子どもたちが黒板を見た時に名前を判別できることや、板書を写真で記録する際に名前がわかりやすいことはとても大事なことです。自分の作った名札マグネットは、これまでの成果から絶妙な大きさにしたものになります。
②名札の色合い
パステル系の男女の区別が個人的にはよい感じています。以前に男女共通の色(ライトパープル)にしたことがありますが、正直使いづらかったです。男女平等原理は理解していますが、差別と区別は違うということ。男女の色の違いを理解した上で使う分には問題がないというのが今の私の考えです。
③子どもたちが自分で作ることで愛着
A4サイズの紙にカラーで出力した後に、ラミネートをかけます(ここまでは教師の仕事)。そして、子どもたちに自身で、ハサミでカットしてもらい、裏に小さいマグネット(上の角、2箇所に貼るのがおすすめ)を貼ってもらいます。これは教師の仕事の負担を減らすこともそうですが、自分で作ることで愛着が生まれ、多くの子が大切に使ってくれるようになります。(でも、たいていクラスに1〜2人はまったく愛着のない使い方をする子もいます。)自分の経験では、2年生ぐらいの低学年でも手順をきちん指導すればかなりきれいに作ることができます。
④名札マグネットの種類(3種類)
名札の使い方にはいろいろあると考えています。今のところ私は3つの使い方、3種類の機能を持たせています。1)基本として使うもの、2)強い意志を表すときに使うもの(2重丸)、3)自分で自由に使えるもの(ニコちゃんマーク)の3つです。特に3)のニコちゃんマークは自由度が高いので、学級活動でも大いに活躍します。
⑤名札マグネットはいつでも貼り直しOK!
名札マグネットの意思表示はいつでも変更OK! たとえば授業が進んでいく中で自分の考えが変わったら、いつでも場所を移動してよいことにします。そうすると子どもが自分の考えの立ち位置を積極的に考えるようになったり、他者との関連の中で自分の考えをメタ認知するなどします。
5 おわりに
ちょっとしたことを見直し、工夫を加えることで対話的な活動は可能です。例えば、この名札マグネット。アフターコロナにおいても強力な対話的手段、手立てとなるのではないでしょうか。
さらなる工夫を考えていきたいものですね!!
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