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中公新書で学ぶ現代日本の政治

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中公新書を読んで中学公民を学び直す社会人の勉強ノートです。
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記事一覧

『ODA(政府開発援助)』(中公新書で学ぶ現代日本の政治⑥)

 今回は中公新書のなかから日本の外交政策の一つであるODA(政府開発援助、Official Development Assistance)に関して書かれた一冊『ODA(政府開発援助)日本に何ができるか』(2003年、渡辺利夫、三浦有史)を取り上げたいと思います。ODAは政府予算から外国に振り向けられた資金であるため、その効果の不透明さや日本国内の経済状況の悪化などから不要論がもてはやされ、廃止論が

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『日本の地方議会』(中公新書で学ぶ現代日本の政治⑤)

 これまでのノートでは国政や一般的な制度論などを勉強してきましたが、今回は地方自治について『日本の地方議会 都市のジレンマ、消滅危機の町村』(辻陽、2019年)をもとに学びたいと思います。日本の地方自治については日本国憲法第8章に規定されており、細かい規則は地方自治法などに詳しいわけですが、本書は身近な例に触れながらこれら法律の要所を確認しつつ、その改善点を著者が指摘していくスタイルになっています

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『日本の統治構造』(中公新書で学ぶ現代日本の政治④)

 今回は『日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ』(飯尾潤、2007年)を取り上げます。ちなみに、同書は第29回サントリー学芸賞や第9回読売・吉野作造賞に選出されるなど、高い評価を受けています。
 タイトルからうかがえるように、本書は選挙制度から官僚制度まで、中央政治から地方政治まで、海外との比較も含めて日本の統治構造に関する多岐にわたる論点を扱っています。これまでのノートで取り上げた3冊との

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『首相支配』(中公新書で学ぶ現代日本の政治③)

 今回は、『首相支配 日本政治の変貌』(竹中治堅、2006年)を取り上げます。本書は、1994年の政治改革から始まり、橋本行革を経て小泉内閣による郵政改革の実現に至るまでの過程を扱っています。2006年の本なので、安倍内閣の評価は当然、まだありません。第1回で取り上げた『日本の選挙』(加藤秀治郎、2003年)と第2回の『自民党』(中北浩爾、2017年)とも所々で内容が似通ってはいます。しかし、タイ

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『自民党』(中公新書で学ぶ現代日本の政治②)

 <中公新書で学ぶ現代日本の政治>の第二回になります。前回取り上げた『日本の選挙 何を変えれば政治は変わるのか』(加藤秀治郎、2003年)は選挙制度を中心とした著書でしたが、そのなかで中選挙区制と総裁選挙の存在が派閥を産んだという話が出てきました。本書『自民党「一強」の実像』(中北浩爾、2017年)は、自民党に派閥が生まれた背景とその周辺、そして派閥の衰退から新たな動きまで知ることができます。議院

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『日本の選挙』(中公新書で学ぶ現代日本の政治①)

 今回は『日本の選挙 何を変えれば政治が変わるのか』(加藤秀治郎、中公新書、2003年)をテキストとして、日本の選挙のあり方について勉強していきたいと思います。
 本書は、著者が欧米では当然のように理解されているが日本ではあまり話題にならないと喝破する選挙制度の理念から解き明かしつつ、曖昧なやり方を続けている日本の選挙を批判していくというスタイルで書かれています。もっとも、本書が出版されたのは20

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