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オタク向け記事~何となく日常が退屈な人へアニソンDJという趣味をオススメしたい4092個の理由~

1.はじめに

なぜ人は退屈をするのだろうか?

國分功一郎氏は著書『暇と退屈の倫理学』において、それは人類が豊かになったからだと述べている。例えば、縄文時代や弥生時代において、人類は狩猟や採集でそもそも自由になる時間がほとんどなかった。

しかし、技術革新や分業が進むにつれ人々は幸か不幸か余暇時間を手にするようになった。これが退屈の始まりであると。

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そんな感じで人々は退屈と付き合うようになっていったのだが、かくいう私も学生時代に退屈な時間を過ごしていた時期があった。例えば、こんな具合に。

<退屈エピソード>

・夏休みに何もやることがなくて、3か月分の近代麻雀3誌(近代麻雀、近代麻雀オリジナル、近代麻雀スピリッツ)をあえて捨てないで取っておいて、それを何度も読むことで時間を潰していた。

・休日にあまりに何もやることがないので、10駅ぐらい先の駅まで自転車で行き、到着したら特に何もせず帰っていた。

・長期休暇が始まり特に予定もなかったところ、蓋を開けてみたら朝フリー雀荘に行って夕方帰って来るというルーチンを休み期間中ずっと繰り返していた。

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書いてるだけでめまいがしてくるのでこの辺にしておくが、退屈というのはどちらかというと負のカテゴリに属する経験であり、できれば回避したいというのは多くの人が思うところではないだろうか。

ここからようやく本題なのだが、DJという趣味は楽曲収集や繋ぎの練習、現場見学などやることがたくさんあるのでヒマを持て余している人には圧倒的にオススメできるということである。私はアニソンDJをやっているので、ここではオタクにターゲットを絞ってアニソンDJの枠組みで言及するが、所々DJと読み替えることも可。

これからそのオススメポイントを4092個紹介していくのだが、忙しい貴方にそんな時間はないよと悲鳴を上げられるのも本意ではないので、そのポイントを4つに厳選して紹介する。

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(1)時間が圧倒的に潰せる

DJをやっているととにかく時間がたくさんかかることを痛感する。何に時間がかかるかは以下に記載していくが、はっきり言って忙しい人にはあまり向いておらず、自由時間にできる時間がたくさんある人向けの趣味と言えるだろう。その理由がこちら。

①楽曲収集

DJの命とも言える楽曲。現場でかける曲はだいたい20~30曲程度だが、その数十曲を100曲から選ぶのか10000曲の中から選ぶのかで選曲の洗練度が違ってくる。当然、分母が多い中から選んだ方が観客の趣向に答えやすいし、自分が選ぶのも楽しい。

そんな楽曲であるが、インターネット上で購入したり、ツタヤでCDを借りたりしてPCにドンドンぶち込んでいく。自分の場合、買ったり借りたりした楽曲をRekordboxというDJ用のソフトに楽曲を入れるのだが、入れるだけでは終わらず以下の作業をシコシコとやっていく。

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・リリース年、使用されているアニメ、アーティストを入力

・グリッド引き(4分の4拍子の曲であれば、その拍子が波形グラフの線で表示されているので実際の拍子に線を揃える)

・キュー打ち(楽曲の繋ぎ箇所をメモリーキューやホットキューという機能を使って記録していく。そのために曲を聞く必要がある)

・評価付け(曲を5段階評価でランク付けする)

これらの作業を1曲やるのに平均10分と仮定すると、10曲で100分の計算。今、PCの中には4500曲ほど入っているが、お気に入りの400曲にはこの作業をやっている。ということは、

・400曲×10分=4000分(66時間40分)

これまで66時間40分をキュー打ちなどに割いていることになる。一気にやるのは大変なので、3日に1回30分ぐらいをコツコツやっている。とても地道な作業である。

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これに加えて、楽曲を聞いている時間がある。自分の場合、アニソンを普段からYouTubeなどで聞いていてその中から気に入ったものを買ったり借りたりするわけだが、アニソンDJを始めて1年ほどたっているので、1日30分聞いていてそれを365日やっていると仮定すると、

・30分×365日=10,950分(182時間30分)

最初のうちは、いたるところで良曲がゴロゴロ発掘されていたが、次第に採掘が進みその打率も低くなっていく。とはいえ、気分は宝探し。楽しい時間でもある。

②機材の購入

曲が揃ったら後はそれを継ぎ目無く繋いでメドレー風にしていく。そのために次に必要なのは「機材」。DJがよく使うRekordboxやSelatoなどのソフトやMIDIコントローラーを購入しPCにぶち込んだり繋いでいく。PCのラップトップ台やスピーカーもあった方が便利かもしれない。

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私は映像も出しながらやっているのでHDMIケーブルも自前で持っていて、家の中で映像のテストをしていたりする。ミニマリストなのに、ケーブルやらUSBハブやらがわさわさ増えて当初はすごくモヤモヤしていた。

言いたかったのは、機材を揃えるのにもそこそこ汗をかく必要があり、それなりに時間もかかるということ。

機材購入とそのインストール、使い方を習得するのにかかる時間は、ざっくり10時間ぐらい(おおよそ)。

③技術の習得

楽曲と機材が揃ったら、曲を繋いでメドレー風にしていく。そのために必要なのが「技術」である。アニソンDJの多くは独学で習得してしまうが、私にはそれが難しかったのでDJスクールに通った。

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1時間のレッスンを半年かけて12回ほど受けたのだが、レッスンと同じ時間を復習に費やしていると仮定すると技術の習得にかかった時間は、

・1時間×12回×2=24時間

このぐらい。この時間は楽曲収集や機材購入に比べて面白いところである。個人的には、好きな曲で練習すると楽しく習得できる。ちなみに、ほとんどのスクールはクラブDJ(House,Technoなど)を対象にしておりアニソンDJを教えますと言っているスクールは都内では見当たらなかった。

(2)アニメ鑑賞がより有意義になる

オタクならばアニメは見る。そういうものとして話を進めるが、アニソンDJをやっている場合とやっていない場合で、極端にするとこれだけの変化がある。

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①アニソンDJをやっていない場合
・アニメ面白かったなぁ~。
②アニソンDJをやっている場合
・アニメ面白かったなぁ~。OPの曲はサビが最高にアガるから皆にも聞かせたいな。いっちょセットリストに組み込んでみるか。歌ってる人は佐咲紗花っていうのか。今度ライブにでも行ってみようかな。

ポイントは、アニメ鑑賞という受動的な時間が少し能動的な時間に変化することである。

アニメ鑑賞に限らず、DJとして使う曲を日常の様々なシーンで探すようになるのだが、街中や喫茶店でのBGM、カラオケ屋で他の人が歌っている曲、ある時は路上の大道芸人のBGMの曲名を調べようとしていたこともあったが、そこまでやるかは別として、日常に良曲探しという楽しさがスパイスとして加わる。とても素晴らしいことではないだろうか。

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(3)ライブに興味を持つようになる

アニソンをたくさん聞いて好きな曲が出てくると、歌手に興味を持つようになる。歌手に興味を持つとライブに行きたくなる。とうことで、3つ目のポイントはライブ。

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ライブの良さは何と言っても現場の一体感だが、当日の楽しみはもちろんのこと、当日までのワクワク感もライブの楽しみの一つ。2か月前にチケットを購入したなら、その日が来るのを楽しみながら日々過ごせるというのはとても素晴らしいことではないだろうか(2回目)。

ちなみに上の画像を探していたら偶然以下の記事を発見。実際に寿命が9年伸びるかはさておき、幸福感が増すなどのプラスの効果については賛同したい。

話を元に戻すと、大人になってくるとイベント事も少なくなり、気づいたら1年が終わっていた。そんなことも珍しくない・・・

そんな貴方。

区切るんだ・・・

ライブで1年を区切るんだ・・・!!

区切ることで生活に抑揚とハリが生まれる。めちゃくちゃ楽しみにできるなら2万円の支出だって高くはない。人気のあるコンテンツのライブでは、CDを買うとライブの抽選に応募できるチケットが入っており、それを使って応募することもある。6千円のCDを買って外れる。そんなこともあった。

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言いたかったのは、楽しめるのはライブ当日のみならず、チケットを買った瞬間からということ。そう考えるとライブ代も少し割安に見えてこないだろうか。私には見えて来た。

(4)アニクラがより面白くなる

ライブに興味を持つようになると似ているが、この世にはアニクラというものが存在する。アニソンのクラブイベントの略で、アニソンが鳴り響く空間で皆がはしゃぐというもの。

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都内では秋葉原のMOGURAが有名だが、新宿や渋谷、池袋、鶯谷や原宿など各所で開催されている。そもそも私は、アニソンDJをやり始めてからアニクラに行くようになった特殊ケースなのだが、ここでは元々アニクラを知らない人がアニソンDJを始めるという前提で話を進める。

アニクラでは、純粋なお客さんとして行くと音楽や空間を楽しむという過ごし方になるが、アニソンDJであるという要素を引っ提げて行くとそれにプラスで以下の視点でも楽しむことができる。

①かかっている曲
②どの曲でお客さんが盛り上がっているか
③DJはどのように曲を繋いでいるか
④DJはパフォーマンスをどのようにやっているか

特に、大きいハコであればどんな曲で盛り上がるか分かりやすいのでオススメ。ただ、現場が違えば盛り上がる曲も変わって来るので過信は禁物。

2.まとめ

これまでの個人的経験を基に算出したアニソンDJをやっているとかかる時間を合計してみる。

①楽曲収集
・400曲×10分=4000分(66時間40分)
・30分×365日=10,950分(182時間30分)
②機材の購入
・10時間
③技術の習得
・1時間×12回×2=24時間

トータル283時間10分となった。

これを年間365日で割ると、1日あたり46.8分。2日に1回であれば1時間30分の計算。退屈な時間を潰すには十分なボリュームではないだろうか。冒頭の退屈エピソードを見ればある程度分かっていただけると思うが、私も過去に多くの退屈な時間を苦痛を感じながら過ごしてきた。

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そこで感じる「空虚」「無価値観」「時間の浪費感」「何かやった方がいいんだろうけど何をやっていいのか分からない感」は良くも悪くも今でも自分を構成する要素となっている。

今でこそ退屈な時間も人生には必要ぐらいに思っているが、それはある程度有意義に過ごしていると思える時間があるからこそ。退屈な時間しかない日常は苦痛そのものだと思うのは今も昔も変わらない。

少し話が大げさになってしまったが、ある程度自由に使える時間がたくさんあって、アニソンやボカロなんかが好きであればアニソンDJという趣味はいかがだろうかというのが私からの提案である。もちろん曲なんか全然知らなくたって大丈夫。オタクコンテンツが好きであればそれだけで十分OK。

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かくいう私も偉そうに色々書いているが、イベントだってほとんど出たことがないドがつく新人である。

そして、アニソンDJといっても必ずしも人前でやる必要は全くなく、曲を繫いでメドレーにしてインターネット上にアップする。あるいは、それすらせず家でひたすら自分の好きな曲をいじって遊ぶ。そんな楽しみ方でも十分だと思う。

アニソンDJに必要なソフトや機材の紹介については詳しいページに譲るとして、自分としてはこの記事で退屈な時間が少しでも有意義になるような人がいてくれたら幸いである。

長文にも関わらずここまで読んでいただきありがとうございました(以下関連記事)。

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https://www.mixcloud.com/anison-medley/



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