CRISPR Therapeutics(CRSP)について調べてみた


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医療関係者でもなんでもないのですが、ARKGに組み込まれているCRSPというティッカーシンボルを調べていたらだんだん面白い企業だなーと思ってのめり込んでしまい、せっかく調べたのでまとめてみた方がよく理解できるだろうと思って書いたノートです。



CRISPR Therapeutics(クリスパー・セラピューティクス<CRSP>)は、遺伝子治療を行うバイオテクノロジー企業です。本社はスイスのツークと米マサチューセッツにあります。創設2013年、ナスダック上場は2016年。


CRISPRって?


企業名に使用されているCRISPR(クリスパー)とは、もともとはDNA配列の一部のことです(Clustered Regularly Interspaced Palindromic Repeats)。

細菌がウィルスの攻撃を受けたときに、反撃する機能を応用したゲノム編集技術が、総称的にCRISPR(もしくはCRISPR/Cas)と呼ばれています。

CRISPRはゲノム編集の第三世代と言われる新しい技術で、DNAを特定の場所で切断することができます。従来のゲノム編集(ZFNやTALEN)よりも正確に短期間でコストを抑えて編集できるという利点があり、ガンや遺伝性疾患の治療の研究のみならず、農作物等の品種改良などに幅広く活用できる技術として注目されています。日本では山中教授のiPS細胞が有名ですが、世界的にはCRISPRの方が期待度が高いようです。

CRISPR/cas9(クリスパーキャスナイン)という技術でふたりの科学者がノーベル賞を受賞したことが話題になりましたが、そのうちのひとり、エマニュエル・シャルパンティエ博士が2013年に創設したのがCRSPR セラピューティクスです。



遺伝性疾患、ガンの根治を目指して


CRISPR セラピューティクスはVertexファーマシューティカルズ<VRTX>とともに、CRISPR/cas9で遺伝性疾患やガン、糖尿病といった病気の治療に取り組んでおり、特に、遺伝性疾患である鎌状赤血球症とベータサラセミア(地中海病)の治療において、目覚ましい成果を挙げていることで期待が高まっています。

2019年にはFDA(米国食品医薬品局)からファストトラック(優先承認審査)の指定を受けました。

鎌状赤血球症やベータセラサミアは、赤血球の異常により全身の痛みや高熱が慢性的に続く病気で、患者は定期的な輸血を必要とし、たびたび発作に悩まされるということです(ほんとに辛そうな病気です。。。)

治療法は、患者の骨髄幹細胞を取り出し、異常をきたす遺伝子を編集をして、再び体内に戻すことにより、正常な赤血球が作られるようにするというものです。

CRISPR セラピューティクスはこれまでに7人の患者に治療を行ってきました。すべての患者において「痛みがなくなる」「輸血の必要がなくなる」といった劇的な改善が見られたものの、効果の持続性(頻度は減ったが輸血はしなければならないなど)と安全性(副作用)について懸念が生じている事例もあるということのようです。


素晴らしいのは(成功すれば)一度の治療で病気が完治するということ。

通常、患者は年10回以上の輸血を必要としますが、治療後は輸血も必要とせず、発作を起こすこともなくなる、つまり普通の生活を送れるようになる、ということ。

もし治療法が確立されれば、画期的で夢のような治療法となりますね。


問題点は・・・


問題のひとつは、ゲノム編集された骨髄幹細胞を体内に戻すために、異常な赤血球を生み出す骨髄幹細胞を化学療法で破壊する必要があるということです。これには、吐き気や脱毛、臓器の損傷などといった重たい副作用が伴います。

もうひとつは高額であるということ。おそらく億単位の治療費がかかるとされています。


その他の取り組み


CRISPRセラピューティクス は、多発性骨髄腫瘍や糖尿病などの治療にも取り組んでいます。2021年には多発性骨髄腫の治療(CTX120)とガンの治療(CTX130)のトップラインデータが報告される予定です。


遺伝子治療をより身近な治療へ


現在の遺伝子治療は上記のように、患者の細胞から摘出した遺伝子を、研究室で編集し、患者の体内に注入するという作業が必要です。そのため、高額な医療費と時間がかかります。

CRISPRセラピューティクスは、将来的には患者からの遺伝子の提供なしに、遺伝子治療が行える・・・つまり、工場で生産された遺伝子治療薬、いわゆる既製品で根治が可能になることを目指している、ということです。実現すれば本当に素晴らしいことだと思います。


財務状況


売上は2017年$41Mから2019年には$290Mと7倍に伸びています。2019年には黒字化を果たしました。しかし2020年も2021年も収益はマイナスの見込みです。それでも株価は上がってますね。バイオってこういうものなんでしょうか?とりあえず、一発当てたらすごいってことなんでしょうね。

夢を与えてくれる企業という意味で、テスラみたいな感じなんでしょうか。

たしかにワクワクはします。

今後どうなっていくのか、楽しみですね。





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参考にさせていただいたサイト

基礎からわかるゲノム編集技術「CRISPR」──争点は技術的問題から倫理的問題へ

CRISPR-Cas9 基本の「き」

Dr.医療株

crsip-bio

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