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第五世界の兆し[創作]5

5 役割
[認識]…物事をはっきりと見分け、判断すること。そういうふうにして物事を知る、心の働き。また、その知った事柄。
~ネットより~

 恋は、今までいくつもしてきた。刹那的でほとんどが片想いだ。男性の顔や声、匂い、体つきや動きを意識してしまうのは、自分が過剰なのかとも思ったが、周りの女性達と差ほど変わらないと知った。少し違かったのは、肢体を描いてみたいと思う事くらいだ。そして食欲と睡眠欲に並ぶ三大欲求だと認識した。なんだか、性欲だと思うと途端に動物的な感じがして、この本能の為に何か重要な事を見落としてしまっているようなスッキリとしないモヤモヤした感情が湧くが、同時に不快と思う沢山の日常の事柄から目を反らさせ、癒す効果があると思えた。愛とは違う脳の働きのような気がした。

 キリスト教では、愛にアガペー、エロス、フィリア、ストルゲーと種類があり、その中でもアガペーが最上だと教わった。無償の愛だ。新約聖書に有名な愛についての一節がある。「愛は寛容であり、愛は情け深い」私が覚えているのはここまでだが、高校の時、この一節が好きだと言って全部暗記していた人がいた。彼女は目が大きく睫毛も長く可愛らしい容姿をしていた。正義感があり、優しく、頭もよかった。女子高だが男性との接点を積極的に持ち、呼吸をするように恋愛をしていたことを覚えている。
 仏教なら「貪・瞋・痴(とんじんち)」という煩悩の貪欲に含まれる色欲は毒だ。ただ詳しくは知らないが、日本の大乗仏教は、天台宗(妻帯)、浄土真宗は元から、他は明治維新以降僧侶の「肉食妻帯」を公に禁じていない。一般的には、お墓管理と葬儀の専門職だと認識されている。歴史から見ると、とても格式があって権威があるけど、世界基準から見ると日本の仏教は特殊だと思う。
 縁結びの神様が多い神道は、触らぬ神に祟りなしと言うくらいだから、神様に無礼な真似をしないこと、お天道様に見られて恥ずかしいと思うことをしなければ基本自由だと思う。そもそも夫婦円満、家内安全、五穀豊穣、商売繁盛など人間の営みを最大限応援してくれている。
 スピリチュアルは、ツインレイとかソウルメイトとかロマンチックに装飾されていて、ピンク一色だ。恋という性欲は、脳を麻痺させて思考能力を奪う働きがあるのだと納得した。ますます愛とは違う脳の働きに違いないと思った。私にとって、愛は慈悲で覚りだ。
 
 疑問がある。死も生も繁殖も自然の摂理なはずなのに、なぜ自然界の一員であるホモ・サピエンスだけが、「生老病死」をとても苦しむのだろう?他の生物なら、命の危険を察知して回避はしても、安全な状態で自分の「死」を思って苦しむ事はないはずだ。ましてや死後の世界など創りはしない。私は、生物の「役割」から外されたからではないかと考えた。役割とは食物連鎖だ。繋がりから外された人間は、✳無明になったのではと。また、旧約聖書の創世記を読んで、最初に外されたのがイブなんだと思った。

✳無明…仏教用語で、無知のこと。また真理に暗いこと、智慧の光に照らされていない状態をいう。
 


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