北九州が舞台となった文学作品
みなさんこんにちは!
小倉活性化プロジェクトのKokurallyです。
毎週月曜日に小倉の歴史・産業・文学に関する記事を紹介します。
今回は文学分野から北九州市が舞台となった文学作品をいくつか紹介していきます( ˙˘˙ )
1.暮らしの中に根付いた和歌
北九州市は古く遡れば奈良時代から歌が読まれていました。その証拠に万葉集には「企救」(きく)や「飛幡」(とばた)といった北九州市内の地名を含んだ和歌がいくつかあります。これらの地名が含まれた歌の数々は市内の3つのスポット(勝山公園、夜宮公園、岡田宮)で万葉歌碑として見ることができるんですよ!
また、大正から昭和の時代には後に北九州市を代表する二人の女性歌人が現れました。杉田久女(すぎたひさじょ)と橋本多佳子(はしもとたかこ)です。彼女たちは結婚後に小倉に移り住み、生活の中で俳句の創作活動を行いました。その中で生まれたのが久女の以下の句です。
『花衣 ぬぐやまつはる 紐いろいろ』 杉田久女
この句は大正8年、久女が29歳の時に詠んだ彼女の代表作の一つです。
現代語訳すると「花見から帰ってきた女性が着物を脱ぐために一本一本紐をほどき捨てていきます。こうあらためて見てみると、なんと紐の多いことか」という意味になります。
日本人女性がまだまだ日常生活で着物を着るこの時代は、今と違って女性が表現者として活動するには難しい時代だったんだとか。そのような中で、自分自身をきつく縛っているいろいろな紐を解き、自由にはばたく姿を想像して詠んだといわれているそうです。
『いなびかり きたよりすれば 北を見る』 橋本多佳子
この句は橋本多佳子の代表作の一つで、『紅絲』(こうし)という句集に収録されています。現代語訳をすると、「北の空から稲光がしたので、思わず北の空を見た」というありのままの情景が詠まれていることがわかります。シンプルなようで様々なことが想像できる奥深い一句ですね。
さらに、現在でも京町川柳大賞や北九州文学サロン俳句賞などの大会が行われており、北九州の人々の暮らしに和歌が根付いているんですよ(*^▽^*)
⒉北九州市が舞台の小説
北九州市は数々の和歌だけでなく小説の舞台にもなっています!
その中でも今回は、小倉北区古船場町に石碑がある『無法松の一生』という小説を紹介します!『無法松の一生』は第10、11回の直木賞候補作となった岩下俊作の小説です。小倉を舞台に、荒くれ者の人力車夫の富島松五郎(通称 無法松)と、良い友人となった矢先に急病死した陸軍大尉の吉岡の遺族たちとの交流を描いた作品です。1943年に映画化されて以降、テレビドラマや舞台など様々な場所で演じられました。
原題は『富島松五郎物語』でしたが、映画のタイトルであった『無法松の一生』が有名となり、改題したんだそうです。
『無法松の一生』以外にも『バケモンの涙』(歌川たいじ作)や、『復讐』(タナダユキ作)など、北九州市を舞台やモデルにした作品はたくさんあります。
作品を読んだ後にモデルとなった土地に行く事で作品の雰囲気が感じられ、より深く作品を味わうことができるかもしれませんね!
⒊北九州市にゆかりのある作家
現在執筆活動を行なっていたり、多くの人に知られていたりする作家の中には北九州市出身の方がたくさんいます!
東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン― 新潮社より引用
例えば、マルチタレントのリリー・フランキーさん。執筆だけでなく映像作成や音楽など多彩な活動をする彼は小倉の出身なんです!著書である『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』では彼がオカンと筑豊で過ごしたが少年時代の話も綴られています。
銀漢の賦文藝春秋BOOKSより引用
また、歴史小説を執筆していた葉室麟(はむろりん)さんも小倉の出身です。『銀漢の賦』(ぎんかんのふ)で松本清張賞、『蜩の記』(ひぐらしのき)で直木賞を受賞しています。これらの作品は俳優の中村雅俊さんや、役所広司さんが主演でドラマや、映画にもなっています。
この方々以外にも様々な方が作品を出しているので、調べて読んでみるのもいいと思います(*´꒳`*)
⒋終わりに
このほかにも、北九州市は様々な文学作品の舞台になっています!
舞台となった地に足を運んだり、8月10日の記事で紹介されていた小倉織のブックカバーと合わせて句集や小説を購入し、読んでみたりするのも素敵な時間の使い方になりそうですね(*'▽'*)
また、北九州市立文学館ではこの記事では紹介しきれなかった多くの作品や北九州にゆかりのある作家たちについて様々な展示物や解説とともに紹介されています。落ち着いた雰囲気の中でじっくりと文学の世界に浸るのもいいかもしれません。
ぜひ足を運んでみてください٩( ᐛ )و
参考文献
北九州の万葉歌を巡って-山口県大学共同リポジトリ-(2020年8月1日)
http://ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/bg/metadata/1582
北九州市 時と風の博物館 万葉の庭:勝山公園 (2020年8月1日)
https://www.kitakyushu-museum.jp/resources/3574
俳句の教科書(2020年8月14日)
https://haiku-textbook.com/inabikari/
https://haiku-textbook.com/hanagoromo/
第四回 北九州文学サロン俳句賞のチラシ
京町川柳大賞のチラシ
岩下俊作『富島松五郎伝』中公文庫 初版1981年
無法松の一生について
https://dictionary.goo.ne.jp/word/富島松五郎伝/(2020年8月14日)
リリー・フランキー|著者プロフィール|新潮社(2020年8月14日)
https://www.shinchosha.co.jp/writer/3286/
東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン― 新潮社(2020年8月14日)
https://www.shinchosha.co.jp/book/127571/
葉室麟|著者プロフィール|新潮社(2020年8月14日)
https://www.shinchosha.co.jp/writer/4167/
木曜時代劇「風の峠〜銀漢の賦〜」NHKドラマ(2020年8月14日)
https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=3299
蜩ノ記-映画・映像|東宝WEB SITE(2020年8月14日)
https://www.toho.co.jp/movie/lineup/higurashinoki.html
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