小説のイメージ

新文芸?ライト文芸?キャラ文芸? 各ジャンルをふわっと解説

こんにちは。刻一です。
2019年2月5日。KADOKAWAドラゴンノベルス様より『極振り拒否して手探りスタート! 特化しないヒーラー、仲間と別れて旅に出る』でデビューする小説家です。
普段は小説投稿サイト『カクヨム』で小説を書いています。
よろしくお願いします。


さて、皆さん。最近のエンタテインメント系小説のジャンル、沢山出てきて、どれがどんなジャンルなのか、色々と増えてきたりしてよく分からない、みたいなところないですか?
自分も一応そういう業界の隅っこにいる人間なのにイマイチ分からないところがあって。でも知らないと小説を書く時に問題があるかもしれないと思い、少し調べて簡単にまとめてみたので、ここに残しておこうと思います。


まずはこちら。
大体ですが、こんな感じのイメージになりました。

縦軸と横軸にどんなパラメータを振るか、かなり迷いましたが、とりあえず性別と内容の難しさ的な2つの軸で分類してみました。
ただ、これは僕の個人的なイメージがかなり入った表になっています。
これらを明確に別ける、なにかの指針的なモノがなかったので、それぞれのレーベルの作品をパラっと見て、レーベルの方針などを調べてふんわりと全体像を判断しています。
読みたい作品を探す時。新人賞に応募する時などにでも参考になれば嬉しいです。


それでは個別に解説していきます。

『男性向けラノベ』
説明不要な王道。
ファンタジア文庫、電撃文庫、ガガガ文庫、スニーカー文庫、などなど…
主に10代20代の男性をメインターゲットとして作られたと思われる。
しかし、シリアスなものから軽いものまで、今でも比較的、範囲は広い感じ。

『女性向けラノベ』
これも説明不要?
主に10代20代の女性をメインターゲットとして作られたと思われる。
恋愛が話の中心に来る場合が多い?
今回はBLなどもここに含める。

『広義のラノベ』
今現在は比較的ジャンルが確立されつつある各ラノベですが、男性向け、女性向けを含めると、ラノベ黎明期の頃はこれぐらいの範囲に様々なラノベが散らばっていたような印象を受けます。
SF作家さんがラノベでガッツリSF書いてたりとかね。
この頃の『なんでもアリ』状態があったおかげで、今でも『ラノベとは』という問いかけに答えを出しにくくなっている感があります。
「ラノベってこんなのだよね」→「いや、過去にこんなの出てるから」
みたいな。
そもそものライトノベルが、ミステリ、ファンタジー、SF、歴史、恋愛、コメディ、などの一般的なジャンル分けとは別の枠組の中に存在しているので、そこもまたややこしい。

『児童書』
主に小学生前後をメインターゲットにしていると思われるジャンル。
しかしスレイヤーズや涼宮ハルヒの憂鬱など、ラノベで出た後にこちらのレーベルでまた出る作品もあり、『広義のラノベ』の中に入るのではと思います。

『一般文芸』
恋愛からSFまで。
エンタテインメント的な要素があるジャンル。
とりあえず今回の主題ではないので、それらを全部まとめてあります。

『純文学』
娯楽性より芸術性に重きを置いたジャンル。
これはこれで定義の難しいジャンルな気もします。

『ライト文芸』
問題はここからでしょうか。
基本的にはその名前の通り、ライトな文芸。
ターゲット層は主に20代~の男女でしょうか。
一般文芸を読みやすくした比較的ライトなモノ、かつラノベではない小説を集めようとしているレーベルと考えて大丈夫ではないかと思います。
表紙にイラストを付けるなど、ラノベに寄せた一般文芸ともいえるかもしれません。
印象的には、若干ですが女性向け寄りに感じます。ライト文芸のターゲット層は20代~ぐらいだと思われますが、このあたりの世代の読者層の7割程度が女性というデータがあるらしく、必然的にそうなったと考えるのが自然なのかもしれません。
小説家になろうで行われている『ライト文芸新人賞』では、男性向けはMFブックス、女性向けはアリアンローズという2つの出口が用意されてあり。つまり『ライト文芸』というジャンル自体は男女のどちらかをターゲットにしたものではないと考えられていると言えます。
ググると、後に語る『キャラ文芸』『新文芸』と同一視する意見もありますが、個人的には『新文芸』とは別だと思います。『キャラ文芸』とはちょっと微妙ですね。
個人的な見解ですが、ライトノベルが昔の『広義のラノベ』から次第に範囲が縮小されてきて、現在のようなキャラクターを前面に出すジャンルになってきた中、それまで中にあった文芸的なポジションにあったモノが必然的に切り離され、ラノベと一般文芸の間を埋めるように出来上がってきたような印象があります。

『キャラ文芸』
キャラクター文芸、キャラクター小説とも呼ばれる。
明確に誰かが定義を確定したわけではないので難しいですが、ライト文芸とは少し違うと感じます。
主に20代~をメインターゲットとしているようです。レーベルや出版社によって見解の違いはあると思いますが、女性向けを意識している印象があります。
『第4回カクヨムWeb小説コンテスト』の『キャラクター文芸部門』に『20~30代の、ライトノベルを卒業した世代の女性が好まれる作品』との記載がありますので、キャラ文芸が女性向けであると認識しているレーベルもあるのだと思います。
基本的なコンセプトはライト文芸と近く、ライトな文芸で、ラノベとは違うモノ、という感じ。その中で女性向けを打ち出しているジャンルがキャラ文芸ではないかと感じます。
ちなみに、アルファポリスさんでは明確にライト文芸とキャラ文芸でジャンル分けをしていました。


『新文芸』
さて、この表では唯一、定義出来ず、左上に壁を作って隔離したのが新文芸です。
その新文芸の定義とは、『ネットで生まれ、書籍化された小説』という感じでいいと思います。
かなりふわっとしてますね!ラノベもふわっとしてますが、それよりもふわっとしてます。
ふわっとしてるから、この表では表せないんですよね。
しいて言えば中央付近に大きく◯を作る感じでしょうか。
ややこしいのが、ネットで生まれた小説が全て新文芸になるかといわれると、実際はそうなってないというか、ネットから生まれたのにラノベレーベルから発売されることも少なくないんですよね。
それもある意味では仕方がなくて。小説投稿サイトはあくまでもプラットフォームでしかなく、書いてる側の多くは『WEBに掲載する小説』と『新人賞向けの小説』を分けてはいないので、そういうことにもなるよね、と。
ただ、新文芸系のレーベルから発売されるタイトルの多くは基本的に、1冊の本にストーリーをギュッとまとめていく一般的な作品とは違い、最初から超長編を前提としてゆったりと書かれていることが多いです。
つまり、それでは1冊分の原稿に面白さを濃縮しなければならない公募新人賞では通ることが難しく、WEBからでないと世には出なかった可能性が高くて。そういう意味で新文芸とそれ以外の小説では大きな違いがあるようにも見えます。


予定より長くなってしまいましたが、ここまでです。
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