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【国宝語り】土門拳の古寺巡礼展

今回はいつもと少し違う国宝語りです。どちらかというと、国宝探訪に近いです。
東京・恵比寿の東京都写真美術館で5月14日まで開催されている「土門拳の古寺巡礼」展に行ってきました。国宝巡りをしているとよく目にするお名前ですが、写真を鑑賞したのは初めてでした。
室生寺を始め、法隆寺、神護寺、三仏寺など実際に訪れたことがあるお寺の写真が多くて楽しめました。国宝の仏像や建築の写真が多かったです。背景の黒とカッチリした写し方に迫力を感じました。
対象を大胆に切り取った写真はもちろんよかったのですが、土門拳が写真に添えた言葉が納得するものが多かったです。例えば、仏像が好きな人は多いが、建築はそうでもないというような言葉には激しく同意してしまいました。仏像を美男子と表現しているのも、そういう表現してもいいのねと安心しました。
また、山深いところにある室生寺に行くのは機材が大きく重かった当時は大変だったようで、苦労がしのばれたのと、晩年、助手さんたちの力を借りて車いすで室生寺を撮りに行ったらしく、執念のようなものを感じました。そんな室生寺を今回で卒業というようなコメントがあり、室生寺が好きで何度も訪れた私も数年前に足に不安を感じ、心行くまで鑑賞した後、室生寺を卒業と思ったので、同じ気持ちになるんだなぁと思いました。

室生寺金堂諸仏の写真(撮影可能)
左の十一面観音立像は今は寶物殿に安置されている

鑑賞していてあれ?と思ったのが、龍安寺石庭の後ろの塀の屋根が瓦葺きだったことです。今は杮(こけら)葺きだと思います。
そのことを知人に話したら、よくそんなところに気づいたわねと言われましたが、建築好きなのでそっちに目が向いてしまうんですよね。室生寺の金堂の諸仏も寶物殿ができた今とは配置が違います。

写真集と展覧会のフライヤー

帰りには古寺巡礼の写真集を買いました。知人に見せたらタイトルのデザインなどが「シン・〇〇みたい」と不評でしたが、確かに「シン・〇〇」みたいでイマイチ合ってない気もします。
この写真集を見て驚いたのが、東寺の秘仏「不動明王坐像」(国宝)の写真が載っていることです。この不動明王は絶対にご開帳しないことで有名なので、まさか土門拳が撮影しているとは思いもしませんでした。この写真集のおかげで、今まで見たことがなかった不動明王の写真を見ることができました。
今回の作品には無かったのですが、雪の室生寺五重塔の写真が写真集とポストカードにありました。
相当苦労して撮った写真ということは知ってましたが、やっぱり雪はすぐに消えてしまうらしく、私が撮った時も消えそうだったなぁなんて思いました。
写真を鑑賞すること自体ほぼ初めてなので、写真の見方がわかっていないと思うのですが、写真のすごさというより、写真を通して行ったときの思い出に浸りました。仏像をあんなに近くで見ることはできないので、そういう意味では貴重な展示だと思います。

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