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【国宝探訪】五島美術館&東京国立博物館

昨日、コロナ禍になって以来、初めて二つの美術・博物館を同じ日に回りました。それだけ、以前の秋のように、いい展覧会がめじろ押し状態に戻ってきたということでしょうか。

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五島美術館では、昨日から開催の「西行展」を見ました。お目当ては冷泉家時雨亭文庫所蔵の『拾遺愚草』です。冷泉家時雨亭文庫は『明月記』などいくつか国宝を所蔵していますが、なかなか展示されることがありません。いつか大規模な展覧会で展示されるだろうと思っていたのですが、たまたま国宝展示情報を検索していたら、展示されることに気づきました。五島美術館はそれほど規模が大きい美術館ではないのですが、「西行展」では全部で4件の国宝が展示されます。展示替えがあるので注意が必要なのですが、『拾遺愚草』は昨日から11月6日と割と短いので気づいてよかったです。
『拾遺愚草』は藤原定家の自撰集ですが、西行の死にまつわる話が載っている部分が今回展示されていました。『拾遺愚草』以外にも金剛峯寺に伝わる西行の書状も書き間違えた文字の上から正しい文字を書いて直しているのが、今も印鑑で訂正したり、修正液を使ったりするのが面倒な人がやってるのと同じで興味深かったです。

五島美術館の後は東京国立博物館に行きました。こちらでは前の記事で紹介した国宝展が開催中です。東京国立博物館の国宝はすべて見ているため、見たいものに絞って見てきました。その前に、考古の展示室で国宝の「瑠璃骨壺」を見ました。ガラス製の骨壺で、実は見た記憶も記録もなかったのです。東京国立博物館で展示されることが多いのですが、所蔵品ではなく、寄託されているので、チェックが漏れていました。今回、見ることができて本当によかったです。

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さて、国宝展は16時30分入場開始のチケットを持っていたのですが、入場するのに列ができていたので、考古の展示室で時間を調整してから16時45分頃に向かいました。それでも、まだ入場列が解消されていなくて、「時間指定制なのに?」と驚きました。10分弱待たされて入場した後も、どこも人だかりになっていました。私が見たかった絵画のコーナーも入り口からすぐの部屋にあったので、混雑していました。とりあえず流し見て空いているところで見て、時間を調整しました。見たいと思っていた「舟橋蒔絵硯箱」の周りはそれほど混雑していなかったので、ゆっくり見ることができました。刀剣部屋は予想通り一番流れが悪かったので、飛ばして、東博の150年のコーナーへ。
初代宮川香山の蟹が付いた鉢や仁清の茶壺など、何度も見ていますが、いいなと思う、国宝指定ではないものが展示されていました。戊辰戦争の際に後に東京国立博物館ができる辺りに撃ち込まれた砲弾が目を引きました。
一周して入口を見ると、来場者があまり入っていない様子でした。1時間の指定時間の枠の後半にはそうなると思っていたので、今がチャンスとばかりに絵画コーナーへ。あれほど混雑していた、入口すぐに展示されていた「松林図屏風」の前も人がまばらでした。「松林図屏風」は遠くから離れて見るのがいいのですが、人が多いとそれができません。その時に「松林図屏風」を見ていた人たちはみんな離れて見る派で、譲り合ってそれぞれ好きなところからゆっくり眺めることができました。大混雑でそのような見方はできないだろうと思っていたので、とても嬉しかったです。その他、「鷹見泉石像」や「納涼図」、「孔雀明王像」など混雑で見られなかったものもじっくり見ることができました。
もう一つ、どうしても見たかった「秋冬山水図」は次の展示室にあったのですが、手前の絵巻は混んでいるのに、「秋冬山水図」の前は空いていました。こちらもじっくり細部まで見ることができました。何度見ても「秋冬山水図」の冬景の切り立った崖の大胆な表現は素晴らしく、感動しました。今回は珍しく秋景も冬景に劣らず素晴らしいと思えたのがよかったです。じっくり見ることができたのがよかったのかもしれません。
今回は刀剣部屋を作るほど刀剣の展示に力を入れていて、刀剣ゲームファンもコラボグッズもあってたくさん来ているようでした。そのため、刀剣部屋は非常に混雑しています。また、見るのに時間がかかる絵巻物、書跡の展示もかなり混雑していました。逆に、私が見たかったものは空いているときもあり、快適に見られました。快適に見られると思っていなかったので、とても満足しています。

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