固有種が教えてくれること 実践を終えて
新単元の固有種が教えてくれること
昨年まではここに天気を予想するという説明文がありましたね。
天気を予想するは、自分にとっても空を見て風を感じて天気を予想するという体験ができることからも、子どもにとってそう遠くない話題でした。また理科との関連もあったので、グラフや表を見ようとする子も多かった印象です。
それに比べて、固有種が教えてくれることはどうでしょうか?
そもそも、動物に興味がない子もいる中で固有種という生活とは全く遠い存在のことについて書かれた文です。
ざんねんな生き物事典の今泉さんの説明文だよと伝えても、そんな本知らないという子が大半でした。
(学校の図書館には今年の年度始めに買ってもらいましたが)
そんな子どもにとっては関心の薄いであろう説明文に挑むにあたって、私が大切にしたいことは、子どもが持った問いをもとに授業を組みたてるということです。
もちろん、全て子どもに任せるというわけではありません。指導事項としては、この教材には大きく2つの教えないといけないことがあります。
1つは資料と文とのつながり。もう1つは要旨です。
ここでは、重きを置きたいのは前者です。
このあとの、グラフや表を用いて書こうへ繋がっていることや、5年生の新しい指導事項にあたるからです。
このnoteでは単元を通しての大まかな授業の様子を
お伝えしていこうと思います。
1時間目では子どもたちに問い作りをさせました。
一読した後、子どもが持つ問いをコーディネートしながらこの2つのゴールへ向かうようにするというのが、国語授業で大切にしています。
子どもが持った問いは次の通りです。
なぜ日本には固有種が多いのか
なぜ日本は大陸から切り離されたのか
なぜ明治時代以降人間の生活は豊かになったか
なぜ生物は進化するのか
なぜニホンカモシカは駆除されたか
なぜニホンオオカミは絶滅危惧種に指定されたか
国語の授業なので書いていることでわかる問いは
このあと取り上げたい問いになりますが
この説明文の場合には書かれていない予備知識が
子どもにとっては気になってしまうようです。
子どもたちにこの問いは書いてる?書いてない?と
which型発問で決めさせていきます。
そこで、書かれていないことについては
自学で調べてくるように伝えておくことにし
書かれていることについては単元計画に
入れて考えていこうというようにして進めました。
2時間目では単元計画(私のクラスでは問いストーリーと呼びます)を子どもと一緒に作りました。
この板書では、右の3つの問いは書いている問い
左の4つの問いは書いていなかったので自学で調べてきたことを示しています。
明治時代以降人間が活発になったのは、工業が始まったから、それまでと生活が変わったみたいだ!
大陸から日本が離れたのは、大陸移動説ってのが関係してるらしいよ!
進化ってのはね、ポケモンみたいに急に変わるんじゃなくて気候とか天敵に合わせて少しずつ変わっていくことらしいよ!
自学で調べてきたことをもとに、説明文の
外側にある予備知識的な問いについてを先に話し合わせました。
右の3つの問いでは、どの順番で解決したいかを子どもに決めさせました。
なぜ絶滅危惧種に指定されたかと、駆除されたかを先に考えたいということだったので、そのことがわかる資料はどの資料か?ということを決めさせるところまでを扱いました。
3時間目では、絶滅危惧種に指定したのはなぜかということを資料と文を結びながら考えさせました。
子どもは資料5.6.7が関係してることを見つけました。
板書のようにそれぞれの資料のことって、文のどこに書いているかを考えさせ、絶滅した理由や絶滅危惧種に指定した理由、ニホンカモシカが駆除された理由、どのぐらいの数が駆除されたかなどを資料と文を関連づけながら読みました。
ここでも、外来種ってなに?や幼木の芽を食べられたらなんで困るの?などの新たな問いも生まれます。
幼木の芽を食べられたら、人が使う木がなくなるんじゃないか、や木がなくなったら動物の住む場所がなくなるからだよなどと、前時の予備知識を活かしながら新たな問いも解決していこうとする姿が見られました。
4時間目では日本にはなぜ固有種が多いのかを読みました。
前時と同じように、それがわかる資料はどれか?という問いから進めました。子どもたちは資料2.3.4だとしました。1は?と聞くと1は日本とイギリスを比べてるから、日本に多い理由というよりは、イギリスと比べて多いっていう事実を伝えていると言っていました。
大きく理由はいくつあるの?と聞くと3つあるとなりました。
1つは、日本の成り立ちが大陸から切り離された時期がそれぞれの地域で異なること。
1つは、日本は多様な気候であること。
1つは、日本は地形が標高の高いところから平地まであること。
そして、3つの理由を一言でまとめるならなんていうか?と発問すると『ゆたかで多様な環境』だという言葉でこれら3つの理由をまとめました。
資料2に書いている動物は全部固有種だよね?とゆさぶりをかけながら、北海道のヒグマが固有種じゃないことを読ませます。そこから、イギリスと北海道はどちらも大陸から離れた時期が新しいから固有種がいないんだというところまで読み、資料1と文を読むという流れで資料1.2.3.4を読みました。
(資料3.4の板書が撮れていませんでした)
5時間目にここまでの4時間を振り返りながら
説明文の構造をまとめることをしました。
子どもたちは段落ごとに要約し序論本論結論にわけます。全て自力でさせた後に、交流させるようにしました。前時までに3〜10段落については資料との関連で概ね読めていたので、3〜10段落は子どもに進めてもらいました。特に7〜10までを説明した子どもは自分たちでチョークをもって書いていたほどです。
1.2.11段落も短くまとめるならどの文?と問いかけながら、要約させます。
ここで、筆者が伝えたいことが書かれてる1位と2位を選んで!と子どもに決めさせました。
1位は11段落で、2位は2段落だという子が大半でした。
なんでなん?ときくと
だって筆者は固有種の住む環境を残していくことを伝えたいってことが、2と11に書いてるからだと言っていました。
2と11段落のことを伝えるために、本論を展開していたことも確認してこの時間を終えました。
(この板書には書いてませんが、この後子どもが自分の言葉で本論1.2にタイトルをつけて書いています。また、下には簡単に要旨を書かせています。)
6時間目には、いよいよ要旨を書きました。
この単元では150字程度の要旨をかくように教科書に示されていたので、字数を意識させるために200字詰めの原稿用紙を配り、半分以上の100字かけたらすごいね!でも、200字めざせたらもっとすごいね!という具合にチャレンジさせました。
言葉の意味がわかることの時にも挑戦させていますが、あの時にはほとんどの子が自力で書くことに抵抗を持っていたので、ほとんどの子が一緒に書いたという経験で終わっています。
前時の復習をさせながら、何段落の言葉を使ったらうまく書けそうかという話し合いをさせ、やはり2段落と11段落の言葉をつなげてかこうという見通しで進めました。
実際の要旨の一部がこちらです。
子どもたちが一生懸命考えで書いた要旨です。
ゆたかで多様な日本の環境を残したい。
という今泉さんの思い。
日本の成り立ちの生き証人であるから
進化の研究に役立つから
とその理由を何とかして表現しようとした。
そう言った頑張りが見られました。
要旨といってもやはり具体を省くことや
思う、考えられるなどの無駄な動詞を省くことなど
指導してやることで上手に書く技術は身につくかもしれませんが
私としてはこの作品の言葉をもとに今の自分が
精一杯読んだ結果が見えていればいいだろうという
指導感のもとで深く追求することはしませんでした。
子どもたちどうしで書いた要旨を読み合い
同じ言葉を見つけ合うように話し合わせました。
結果として教え合いも含めると全員が200字詰めの原稿用紙の半分以上、つまり100字以上は書くことができました。
最後に固有種が教えてくれたことって今なら
なにを教えてくれてたの?ときくと
日本列島の成り立ち、どうやって進化したのか
あとはね、資料と文の読み方!
要旨の書き方!と言ってました。
このあとの流れは次の通りです。
7時間目に統計資料の読み方
8時間目に説明文のモデル文の読み取り
9時間目にくらしにくいくらしやすいのテーマ決め
10時間目にパソコンルームで資料集め
11.12時間目に説明文づくり
13時間目に説明文交流
交流では付箋にコメントを書いて作品に貼っていくようにしてわかりやすいところや、面白いところ、共感したことなどを書きました。
以上で固有種が教えてくれることと、グラフや表を用いて書こうの授業実践のあらましになります。
最後に告知をさせてください。
さらにくわしく知りたい方に朗報です。
12/11(金)21:30〜ZOOMにて
固有種が教えてくれること
実践してみてどうだったかの研修会があります。
この研修会では
私なりに固有種が教えてくれることについて
自分だったらどのような要旨を書くかも含めて
教材分析した資料もお見せします。
さらに、子どもたちがどのような説明文を書いたかという実際の作品をお見せします。
このnoteの記事には書ききれていないことも
何かしらお伝えできるかと思います。
研修会への参加は無料ですが、事前予約制です。
この記事を読まれて興味を持っていただけた方が
おられましたら、ぜひご参加のご連絡お待ちしてます。
申し込みは私のTwitterのDMからお願いします。
ここまで読んでいただきありがとうございました!