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Kokugonote #新年度4

 問答の続きです。思春期には、「期待」「不安」「裏切り」「信頼」など、目に見えない感情が渦巻きやすく、反射的に対応してしまうこれらの感情に対してどのように接していけば良いのかという課題があります。大人になっても続く場合がありますが、少しずつ〈人馴れ〉していくためか、〈鈍感〉になっていくためか解りませんが、処理できるようになっていきます。その他、いろいろな思い付き質問に対して答えています。

Q1: どうして簡単に友達や人を裏切ったりする人がいるのか?

A1: 裏切った方が自分が得をすると考えていたり、他人は自分のために利用するものだと信じていたり、過去に正直に生きていて大いに傷つけられた経験があったり、自分自身さえ信じられなかったりした人なのかもしれません。基本的に、自分自身を当てにできない環境に身を置いていると受け止めた方が良さそうです。先生もそういう人と出会ったことがありますが、とてもかわいそうな人だと思いました。きっと毎日が楽しくないのです。自分を信頼できない人はいつも満たされないので、誰かにちょっかいをかけたりして自分に興味を持ってくれることを確認するしかないのです。

 もしその人とこれから先もずっと信頼関係を保っていくつもりがあるのなら、腹を立てる前に、「私はあなたにこういうことをされるととても悲しい」とちゃんと伝えることが大切です。その人も無自覚にまた同じような振る舞いを繰り返してしまうことがあると思います。そういう習慣を身につけてしまった人はすぐには改まることはありません。だから、判断基準として「それをする時(言う時)、誰が悲しむか、考えてみてからにして!」と伝えて、何度も様子を見るより他にありません。

 けれども、何度も付き合っていても、どうにも変わらないなあと思ったら、その人間関係は解消すべきでしょう。今はきっと「合わない」人だったのです。世の中は誰もが自分と合う人ばかりではありません。育ってきた環境が大きく違うので、今回の「国語総合」の文化の違いのように、埋めようのない違いもあります。けれども、この先も「合わない」人なのかどうかは判りません。一度離れてもまた数年後、お互いに成長できたらまた仲良くなれることもあります。人生は続くのです。今日明日だけで人を見ないで長い目で見てあげてください。きっとあなたもそうやって見守られてきたのです。傷かずには大人にはなれないので、少し傷つけられたからもうダメだではなく、打開策を考えましょう。自分の許容量も増やしながら、かつひどいダメージを受けないようにする手立てを考えましょう。
いつの時代も頭を悩ませるのは人間関係です。何もしなくてもうまく行く時もあるし、いろいろ手を尽くしてもダメな時もありますよ。悩みすぎないように気をつけてくださいね。美味しい紅茶とクッキーでも食べて、一息ついてください。


Q2: どうしてアジア人は目が小さいのか
A2: 北方モンゴロイド系の人間は、寒さに適応した結果だと言われていますが、気候に応じた生態を備えるというのは適者生存理論に適っていますね。このまま地球温暖化が続き、寒さとは無縁になっていくと、目も大きくなる進化を遂げるのかもしれませんが、それはあと数万年先のことかも。
 釣り目のジェスチャーはアジア人差別でよく使われますが、生まれつきのものをバカにするような最低な人間は非難されるべきだし、自分もそうなってはダメです。目が大きい方が魅力的に映るかもしれませんが、自分の魅力は目だけではないはずなので、笑顔や仕草など伝えられる愛嬌はたくさんありますよ。ないものねだりをしないように気を付けてくださいね。


Q3: 吉沢亮はなぜあんなにかっこいいのか?
A3: 「かっこいい」と感じる条件のひとつに、「均整が取れている」というものがあります。要は、左右正対象であったり、血色が良かったり、生命力を感じさせるというものです。吉沢亮さんについて、先生は詳しくないですが、「かっこいい」人はたくさんいる中で、吉沢さんに特に惹(ひ)かれるのであれば、「自分にないものをたくさん持っている人」なのかもしれません。または、「痒(かゆ)い所に手が届くものをたくさん持っている人」なのかも。
 〈憧れる〉というのは自分に元気を与えてくれるものなので、そういう「元気の素」があるのは幸せなことだと思います。先生は、あの人はキレイだなあとか、かわいいなあと思うことはありますが、他の人のことに構っている余裕があまりないので、あまり憧れなくなってしまいました。大人になると、だんだんそういう余裕?がなくなるものです。現実が見えてくるからという訳ではなく、自分のしなくてはいけないことが多すぎて、手を伸ばそうという寄り道ができなくなってくるのです。どちらが良いのか解りませんが、若いうちの方が夢中になれるものなので、存分に、吉沢亮さんに夢中になってください。


Q4: この世に丸の形の物が多いのはなぜか?
A4: この世にギザギザのものが多いと、転んだときに大けがをしてしまうからです。というのは冗談で、風や雨や波やなんだかんだと外部からの力が働くと、転がされる羽目になるので、角が取れて、柔らかく?なるのですよ。人間も同じで、若いころはツンツンして、何にでも腹が立って、噛みつきやすいものですが、経験を重ねると、丸くなるのです。高1の時は反射的に行動してよくケンカが起きたりしますが、高2の秋以降になると、びっ
くりするほど丸くなって、余計な争いがほとんど起きません。(成長したのだなあ)と本当に驚かされます。

 例えば、高1の時は母親に買い物の荷物を持ってとお願いされても、友だちに見られたら恥ずかしいという男の子で、高3手前になると、進んで荷物を持ってあげるようになったりして、価値観が大きく変わった子を何度か見ました。「周囲からどう見られるか」よりは、「自分はどうするべきか」をちゃんと考えられるようになったので、器が大きくなったのだと思います。いつも丸くなる必要はありませんが(必要な時はちゃんと腹を立てなくてはいけません)、穏やかな気持ちでいた方が、楽しく一日の終わりを迎えられますよ。


Q5: なぜ化学を勉強しないといけないのだろうか?
A5: 先生からすれば、もっと化学は勉強しておけば良かったと思っています。ペニシリンを製造したい欲でいっぱいです。化学の知識がちゃんとあればクスリも作ることができたはずです。現在の新型コロナのワクチンを製造するためにも、化学の知識が必要ですよ。人の命を救うためには、化学を学ぶより他の方法がありません。コロナ世代になる皆さんからも、今後の感染病に備えて、新薬を開発する化学者が育ってくれることを祈るのみです。
 
 
Q6: なぜ学校でタブレット端末を使うのか?
A6: これはラップトップPC(ノートPC)ではなく、なぜタブレット端末なのか?という質問だと受け止めました。先生もラップトップにしてほしかったのに、残念です。タブレットはスマホ感覚なので使い慣れるには早いものですが、今後、大学生になったり、仕事をするようになったりすると、タブレットで仕事をする人はいないので、早いうちからラップトップにすべきだと思っています。けれども今回、調査してみて、PCよりもタブレットを使う人が多かったので、このままでも良いのかもと思うようにもなりました。
  実際にフルに使いこなすとなると、かなり勉強することがあります。何事も割り切りが必要なので、これを機にタブレットの様々な用途を調べてみてください。考えるよりも、誰かに訊ねるよりも、まず「検索!」です。誰もが同じような悩みを持っているはずで、自分が困ったことは、以前にも誰かが困って解決しているはずだという考えを持つことです。とにかく調べる、調べて調べて調べること!それ以外に方法はありません。検索の達人になりましょう。 


Q7: 学力でなぜ(なんで)人を判断するのだろう(んやろう)?
A7: 正確には「学力」ではなく、”「テストの成績」で「人を判断する人も」いる”というだけです。ということは、「テストの成績」で「人を判断しない人も」いる訳です。学校という狭い世界にいると、なかなかそういう人が見えにくいですが、例えば、芸術に携わる人やITスキルの高い人、音楽を作り出す人、他にもよく解らないけれども皆から助けてもらえる人などは、「テストの成績」からは無縁です。
   ここから言えることは、「テストの成績」でしか判断できない人は、狭い世界で生きている人なので、「いらいらしないで、もっと広い世界を知りなさい」「もっと笑って過ごしなさい」と皆さんが彼らにアドバイスをしてあげることです。「偏差値やテストの点数」を上げようと考えるのではなく、「自分は何を探究していきたいか」を見つけ出してください。できれ ば創作するもので、これに夢中になっていれば自分は幸せだ、というものを探し出すのです。誰もが特別な存在ではないですが、あなたしかできないことは必ずあります。例えば、あなたは文字を読んだり、書いたりできます。世界では読めない人や書けない人はたくさんいます。計算をすることもできます。Instagramに投稿するのも得意なのかもしれません。ダンスができる人もいるでしょう。自分は当たり前にできることが、皆が当たり前ではないのです。
  確かに同年齢では同じくらいできるのかもしれないですが、小学生や高齢の爺ちゃん婆ちゃんにとっては当たり前ではないですよね。自分にとって息苦しい場所でがんばる必要はどこにあるのでしょう?同年齢で比較されることが嫌なのであれば、他の人と被(かぶ)らない趣味を作れば良いのです。繰り返しますが、比較する対象を間違えたらいつも劣等感に苛(さいな)まれます。昨日の自分よりもひとつでも成長できたと思えたらそれで良いと思いますよ。それを他の誰かが非難するのはお門違いです。先生の仕事のひとつは、皆の気づいていない長所を探し当てることです。自分は何の取り柄(とりえ)もない人間だと思い込んでしまっている人はどうぞ相談に来てください。

   そうそう、この本を読むと良いです。名著(めいちょ)だと思いますよ。東京工業大学の先生で、簡単に言うと、池上彰さんの上司に当たる方です。講演会でもそれで笑いを取っていました。2年前にも生徒に勧めたのですが、かなり良かったと反響の大きかった本です。ぜひ読んでみてください。
  ■上田紀行(2005)『生きる意味』岩波新書
     


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