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KokugoNote #26国語総合

海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり
寺山修司(1935-1983) 青森県出身

 こちらの和歌は映像がすぐに思い浮かぶものですね。誰が誰に何をしたのかがよく解ります。
海を見たことがない「少女」に、麦藁帽子をかぶった「われ」が、海の大きさを伝えようとして、腕を大きく広げているという牧歌的な様子が描かれています。

 寺山修司さんは多彩な方で、短歌以外にもラジオ・テレビ・演劇・映画などでも活躍されたのですが、先生は高校時代に『書を捨てよ、街に出よう』(角川文庫)https://bit.ly/31Iodk5や『ポケットに名言を』(同じく角川文庫)で少なからず影響を受けましたよ。2017年には、寺山修司原作の映画で、菅田将暉主演の『あゝ、荒野』(ああ、こうや)が上映されましたね。前衛芸術を表現した人物として頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

キーワード:高校時代に全国的な句誌「牧羊神」を主宰、早稲田大学在学中に「チェホフ祭」で注目される、『書を捨てよ、街に出よう』、前衛芸術
        *ワードでなく、センテンスですね。失礼しました。




太陽が欲しくて父を怒らせし日よりむなしきものばかり恋ふ
春日井 建(1938-2004) 愛知県出身 

 中心となるところは「むなしきものばかり」ですね。自分の願望が「手に入らないもの」に偏っていることは、そう言えば幼い頃に父ちゃんに「太陽が欲しい」と駄々をこねた頃から変わっていなかった、と気付いた短歌です。特に修辞法が見られる訳ではありません。
 どのようなエピソードを紹介することで、その無邪気さを表現するかが作者の個性だと言えそうです。

キーワード:比喩


取り急ぎ、試験範囲は以上です。

いつも口にすることですが、皆さんはテストのために勉強している訳ではありません。教科書の内容はあくまで入り口に過ぎません。そこから、例えば自分で短歌を作ったり、作者に興味を持って調べたり、短歌や俳句と小説や詩を較べてみたり、映像化しようとして写真や動画に夢中になったり、、先生が求めるのはそういうことです。

テストのために勉強すると、「憶えては忘れる」という繰り返しばかりで一歩も先に進めなくなります。だんだん「試験に出るところ」以外を切り捨てて見向きもしなくなります。得点さえ取れば文句は言われないと考え、だんだん人の話にも耳を傾けるのが億劫(おっくう)になります。そうやって、自分自身を成長させない3年間を過ごすことになります。

中学生の頃から勉強の質が向上していないので、自分はバカだとか、馬鹿な学校に通っていたから仕方がないと言い訳をして慰めるようになるでしょう。そうやって20年後の自分自身を裏切るのです。

想像してみてください。20年後、35歳の姿を。平均給与は、男性496万円 、女性382万円です。男女差の大きさは気になるところですが、それ以上に、現在よりも物価が高騰し、消費税も高くなっていたらどうでしょう?

実質賃金指数の国際比較では、1997年を100としたときに、下記のようになっています。

・スウェーデン……138.4
・オーストラリア…… 131.8
・フランス……126.4
・イギリス(製造業)……125.3
・デンマーク……123.4
・ドイツ……116.3
・アメリカ……115.3
・日本……89.7

今後、高齢化が進み、少子化もさらに加速していくことを考えると、給料が上がっていくことは殆(ほとん)ど考えられません。35歳のイメージを持つことは難しいかもしれませんが、自分の仕事はAIや発展途上国の若者に取って代わられ、新たな付加価値を提供できない限り、お金を稼げないという時代がやがて、そう遠くない未来にやってきます。本当はもっと必死になって探さなくてはいけないのに、皆さんは学校の勉強さえしておけばいいと誤解して、そこから自由になれていません。皆さんの父ちゃん母ちゃんの時代とは全く違う時代がやってくるのです。モデルが父ちゃんや母ちゃんではないのです。仕事も海外で働くことが当たり前になっていくのです。誰かが仕事を与えてくれるのを待つのではなく、様々な現場を、社会の情勢を調査して自分が一番力を発揮できそうなことを探さなくてはいけません。

先生はその時に必要となる教養や言語の運用能力、調査力を皆に身に付けさせたいと思って接してきました。毎回の授業、振り返りブログは言葉の分量が多く、読むのも大変かもしれませんが、先生の努力のひとつです。このような思いも届くかどうか判りませんが、いつか届くと信じて、書き綴ろうと思っています。これから学年末考査、その後の短縮授業とまだしばらくは付き合ってください。

では、楽しい学びを!







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