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国語の文法まとめ【その8】 〜ややこしい形の見分け方〜


 このシリーズ、久しぶりの更新です。今回は「ややこしい形の見分け方」というテーマで、ここまで触れてきた単語の識別についてまとめていきたいと思います。


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動詞・形容詞・形容動詞の見分け方

 これら3つは「活用する自立語」で「用言」という点で共通しています。では、その違いは?

動詞:言い切りの形が「ウ段の音」で終わる
形容詞:言い切りの形が「い」で終わる
形容動詞:言い切りの形が「だ」か「です」で終わる

 言い切りの形で判断するのがポイントです。言い切りの形というのは、活用形でいうと「終止形」のこと。辞書に載っている形のことです。例えば「書く」という動詞、意味等を辞書で調べようと思ったら、普通は「書く」で調べますよね。いきなり「書か」で調べて終了、ということはあまりないかなぁと(他の活用形を調べたいとかであれば話は別ですが……)。

 なぜ言い切りの形なのかというと、そこをしっかり揃えておかなければ見分け方がややこしいものがあるからです。

(例)
楽しい→「い」で終わるから形容詞……?
きれい→「い」で終わるから形容詞……?
わからない→「い」で終わるから形容詞……?

 「楽しい」も「きれい」も「わからない」も全部「い」で終わるから形容詞じゃん!本当にそうですか?……違います!!

 「楽しい」は言い切りの形になっていて、「い」で終わっているので形容詞で正解です!
 「きれい」の言い切りの形は「きれいだ」です。これは形容動詞ですね。
 「わからない」の言い切りの形は「わかる」です。「わかる」は動詞です。この動詞「わかる」に助動詞「ない」を合わせて「わからない」になっているのです。

 ちなみに、「楽しむ」としてしまうと動詞になってしまいます。品詞がガラッと変わってしまう……。難しいですね。

 そこで、最初に紹介した「違い」に少し項目を付け加えておきましょう。

動詞:言い切りの形が「ウ段の音」で終わる
形容詞:言い切りの形が「い」で終わる
形容動詞:言い切りの形が「だ」か「です」で終わる

動詞か形容詞か迷ったら、語尾に「ない」を付けて、「ない」の直前の文字に注目してみましょう。もともと「ない」で終わっている語であっても、あえてさらに「ない」を付けてみると……。

「危ない」+「ない」=「危なない」
「わかる」+「ない」=「わからない」

 形容詞であれば、「ない」の直前は「く」(もしくは「う」)になります。「動詞+ない」等のような形容詞以外の単語であれば、「ない」の直前は「く」(もしくは「う」)になっていないでしょう。

形容詞か形容動詞か迷ったら、語尾にそのまま「だ」を付けてみましょう。

「楽しい」+「だ」=「楽しいだ」△
「きれい」+「だ」=「きれいだ」◎

 「だ」を付けて違和感があれば形容詞、違和感が無ければ形容動詞です。

 九州方言話者の私の大学の同期は、文法の授業で「形容詞と形容動詞の区別がわからん!」と、かなり苦戦していました。方言によっては、そういうこともあると思います。ややこしいなぁと感じ人は、まずは、活用表や直前・直後の単語の形に細かく注目して、違いを見極める練習をしてみましょう。


動詞の活用の種類の見分け方

 五段活用か、上一段活用か、下一段活用かの見分け方は、「ない」を付けて判断しましょう。

五段活用:「ない」の直前が「ア段の音」
上一段活用:「ない」の直前が「イ段の音」
下一段活用:「ない」の直前が「ウ段の音」

(例)
ない、読ない、走ない等→五段
ない、ない、起ない、落ない→上一段
ない、ない、食ない→下一段


可能動詞かどうかの見分け方

 可能動詞については、以下のリンク先のnoteで触れています(具体例も挙げています)。


 可能動詞は下一段活用ですが、見分け方がややこしいものとしては次のようなものがあります。「られる」が付くか付かないかで判断してみると良いでしょう。

(例)
1人で浴衣を着られる
→上一段活用の動詞「着る」+可能の助動詞「られる」

私はパクチーも食べられる
→下一段活用の動詞「食べる」+可能の助動詞「られる」
※下一段活用なのに可能動詞じゃないの!?と思う人もいるかもしれません。「可能動詞=下一段活用の動詞」ではありますが、下一段活用の動詞全てが可能動詞というわけではありません!勘違いしないよう気をつけましょう。

 ちなみに、「ら抜き言葉」というのは、「着られる」を「着れる」、「食べられる」を「食べれる」というような言い方・書き方をすることです。話し言葉としてはだいぶ馴染んできたというか、個人的にあまり違和感も感じなくなってきたのですが、作文等の書き言葉では、まだまだ厳しくチェックされることのほうが多いでしょう。この文法学習を通して、じっくりルールを覚えてみるのがオススメです。私も気をつけます!

 また、「ら抜き言葉」以外でも、この「れる」・「られる」の使い方は苦戦する人が多い印象です。私が授業で見てきた生徒の中には「今日はミスなく英文を書けれた」、「今日は疲れていたけど、寝らずに頑張った」という使い方をしていた人もいました。方言の影響等もあるのでしょうか。興味深いです。


補助形容詞と形容詞の見分け方+α

 補助動詞にも言えることですが、補助の役割に回ると平仮名で書くことが多くなります。また、直前が「て」や「で」の形になっていることが多いです。
※「補助」というのは、もともとの動詞や形容詞の意味が薄れて、直前の文節の意味を補う役割になることです。

 補助形容詞の場合は、直前に「は」や「も」を加えても意味が通じます。

(例)
今日は寒くない。→今日は寒くはない。◎
お金がない。→お金がはない。△

 前者は「は」を加えても意味が通じているので補助形容詞、後者は不自然になってしまったので形容詞です。


形容動詞と「名詞+助動詞『だ』・『です』」の見分け方

 私の大学の同期は、この2つの識別にもかなり苦戦していました。
 見分け方は2つあります。1つ目は、形容動詞と思われる単語の直前に「とても」を付け加えてみてください。
→不自然にならなければ形容動詞
→意味が通じなければ名詞+助動詞

(例)私は自由だ。→私はとても自由だ。◎
 特におかしなところはありません。つまり、この例文の「自由だ」は形容動詞です。

(例)私が望むのは自由だ。→私が望むのはとても自由だ。△
 不自然です。つまり、この例文の「自由だ」は名詞+助動詞です。

 2つ目は、「だ・です」の部分を「な」に変えて体言に続けてみてください。
→意味が通じれば形容動詞
→意味が通じなければ、もしくは意味が変わってしまっていれば名詞+助動詞

(例)私は自由だ。→自由な私◎
(例)私が望むのは自由だ。→自由な望み△
 うーん、後者はニュアンスが変わってしまっていますよね?なので、前者は形容動詞、後者は名詞+助動詞ということになります。


最後に

 正直、文法の細かいところについては、スッと答えにくいところも出てきてしまうと思います。方言の影響だったり、個々の認知の違いだったり……。例えば、ここまでの説明で「違和感が」とか「不自然になったから」といったような表現を使ってきましたが、正直とても主観的ですよね。人によっては「え?別に不自然だとは思わないけど……。」と感じる人もいるかもしれません。そうなると、相手が納得できるような説明をするのがとても難しくなってきます。このnoteを読んでくださった皆さんは、どう感じましたか?
 しかし、そういう視点を持った人にこそ、文法をちょっと極めてみてほしいなぁと。一歩踏みこんでみてほしいです。文法・言葉の細かい意味・用法等に興味をもった人は大学の文学部(日本語学とか言語学とか……)での研究も楽しめるかもしれません。貴方の感じたそのモヤモヤ、興味・関心、すてきな視点・感性だと思いますよ!ぜひ大切にしてみてくださいね!「そこまでするのはめんどくさい!」という人は、気になったことをこのnoteにコメントしてもらえると嬉しいです。答えが出せるかはわかりませんが、私もじっくり考えたり調べたりしてみたいので……!

※「文法はごちゃごちゃするから好きじゃない!」という人は、あえて深く突っ込み過ぎずに、広く浅く取り組んでみましょう。あくまでも中学国語のテスト対策、高校入試対策として、「こう聞かれたらこう答える!」といった感じで割り切って考えてみてください。


 他にも見分け方がややこしい単語があります。また残りの品詞の紹介終了後にピックアップしたいと思います。

 読みづらい箇所や誤字・脱字等は、気付き次第修整・編集していきます。


 次回は、名詞についてまとめていきます。


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