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石高プロジェクト_解体新書_その弐

石高プロジェクトは
福島県の西会津町で誕生した「持続可能な未来型地域」をめざす取り組みです。その出発点として、地域の課題解決や農業の振興を目的とした新たなシステムとしてのモバイルアプリを開発しました。米作りに焦点をあて農家とファンが支え合う仕組みをデジタル上で実現し、故くて新しい農業を考えます。

ボードとか、米手形とかって何ですか?

今回は、石高プロジェクトはただお米を買うだけじゃないアプリなんだよ、という部分について説明してみます。アプリの中でもらえる「ボード」や「米手形」。これらはデジタル上で「農家とファンが支え合う仕組み」を実現する大事なピースです。

まず「ボード」ですが、石高プロジェクトにおいてボードは2種類あり下記のようなものを指しています。

米ボード…金銭を起点とした貢献を行なった人に付与する
  →今年獲れるお米を先払いで購入するという貢献

人足ボード…非金銭的なものを起点とした貢献を行なった人に付与する
  →ボランティアやSNS等、農家の助けになるような貢献

ボードの機能としては、バッヂ(勲章)や卒業証明書などに近いと言えます。これらは「その人が持っていないと効力を持たないもの」です。その機能をブロックチェーン技術を使ってデジタル上で実現したものが「ボード」というものです。
そして、この2種類のボードの保有数は、お米収穫後に配布される「米手形」の量に影響します。「米手形」は、簡単に言っておくと、現物のお米と交換できる引換券の機能を持つものです。

「はじめ20kg相当分の米ボードを購入して、途中ボランティアに参加したら人足ボードをもらった。そして、12月ころになったら、23kg分の米手形がもらえた!」

例は分かりやすく極端なものにしていますが、こういうことが起こるようにシステムが設計されています。今まで可視化しづらかったような貢献に対しての報酬を、お米で渡すことができる。これが「現代の米本位制」の意味しているところです。

補足として
人足という言葉は会津周辺で住民同士で行う共有地の保全や整備を指します。特に米作りにまつわる作業が多く、山から田んぼに水を運ぶ長〜い水路の草刈りや落ち葉かきなどがあります。西会津町でも各集落ごとに行っていますが、都市部であるような地域の清掃活動とは比べ物にならないほどの範囲や作業量を行っています。
石高プロジェクトにおいて「人足」という言葉は少し広い意味で用いていますが、その存在や意義を認知してもらえたらという気持ちで使っています。

今年の人足ボードとしては以下のものを用意しています。
・【オンライン勉強会】に参加
・【ファンミーティング in 東京】に参加
・【圃場見学】に参加
・コメニティ(Facebook)での自己紹介
・2023年度貢献MVP
・noteでの記事作成
・Youtubeでの動画投稿

米ボード/人足ボードは、人に渡せない証明書のようなもの

米手形
は、お米交換券であり、他の人とやり取りできるもの

おさらいとして

少し技術的な話をしておくと。
実は、ボードには「譲渡不可能なNFT」を意味する「NTT(Non-Transferable Token)」という正式名称があります。そして、米手形は「NFT(代替不可能なトークン)」として設計されています。

……トークン?ブロックチェーン?NFT?NTT?携帯電話会社か?
頭にクエスチョンがいっぱい溜まってきた人は、ほどほどで。
この辺り気になる方はぜひ👇の記事などもチェックしてみてください。


これからどう発展していく?

ここに書いているようなWeb3やトークンなど、これらはあくまでも「道具」の話であり、大事なことは「道具をいかに使うか」ということです。

やりながら色々と変えていこうと思っていますが、
今後トークンの設計をうまく行えば、これまで農家にとって手を付けづらかった挑戦を応援してくれる人と一緒に行うことができます。同時に、参加者それぞれのありたい姿をシステムでフォローすることができます。

例えば、耕作放棄地を整備してみんなで人力のみで1からお米を育ててみる。そのお米を分配したり、どこかで販売してみたりする。プロセスの中で、ある人はパッケージをデザインしたり、ある人は友達を沢山連れてきたりする。それらの貢献が基準に基づいてシステム内でちゃんと評価される。そして、それがお米と交換できたり地域通貨として他のことに使うことができる。

このようなことをシステムの上で実現してみて、デジタルを起点とした現代のコミュニティを模索していければと思っています。

後継者不足や耕作放棄地の増加、鳥獣害への対策などあげればキリがないほど、この町の若い農家には考えなければいけないことが沢山あります。その中で、環境に配慮したこだわりのお米を作ろうとしても、ビジネスとして成り立たせるにはインフラ整備も自らしなくてはいけない現状です。
小さく産んで大きく育つプロジェクトとして、この町で積み重ねたプロセスが同じ課題を抱えている場所に横展開していければとは考えています。だからこそまずは、目の前の農家さんとしっかり伴走していこうという姿勢です。

橋谷田ファーム JAS認定有機栽培 福、笑い 8月9日

最後に、このシステムを開発したクエストリーさんの言葉を引用して終わりたいと思います。何を隠そう、「ボード」という名前をつけたのはクエストリーさんでした。私たちはそこに想いがあると感じたので、同じ呼び方を使わせてもらいました。

「既に富が集中し過ぎ、これから伸びるところへ十分流れない」という現在の資本主義が抱える課題に対し、ブロックチェーンを使って金融の専門家が解決を図るというのが、私たちクエストリーの挑戦です。

途方もないことに聞こえるかもしれませんが、例えばアフリカには構造的な貧困から抜け出せず、銀行口座さえ持たない若者が今も大勢います。ただ一方、そうした若者たちもスマートフォンは持っていたりします。つまり、実はもうインターネットを通じて世界とつながっていて、豊かな国・豊かな人からみればごくわずかな資金で、秘めた才能を開花できる素地は整っている。

私はブロックチェーンで、そうしたチャンスを具現化したいのです。

活動への貢献を、可視化された価値に変える。Questry伊部CEOが目指す「リアル社会のためのToken」

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