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防衛省設置法等の一部を改正する法律案


第213回国会(常会)提出の閣法で防衛省所管の「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」について調査しました。


 自衛隊の任務は、日本の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略や間接侵略に対し日本を防衛すること、そして必要に応じて公共の秩序の維持にも当たります。
 
 近年の脅威は北朝鮮がかつてない高い頻度で弾道ミサイルを発射し、核の更なる小型化を追求するなど行動をエスカレートさせ、隣国中国は軍備増強に伴い東シナ海、南シナ海において力による一方的な現状変更やその試みを推し進めています。さらにロシアはウクライナへ武力によって侵攻が実行され、周辺国の日本への軍事的挑発もエスカレートしており抜本的な軍事力の強化が急務となりました。令和4年12月政府は国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画を閣議決定しました。 これにより防衛予算は令和5年度から9年度に合計43兆円が計画され、防衛力の抜本的強化の為に自衛隊の装備品の強化と、体制整備と人的資源の強化がはかられます。

防衛力抜本的強化の進捗と予算


法案提出理由


概 要




1・統合作戦司令部(仮称)

    (自衛隊法の一部改正)

 統合作戦司令部(とうごうさくせんしれいぶ)は、防衛大綱を改称して策定した「国家防衛戦略」に盛り込まれ、防衛省の2024年度末創設予定の陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設組織です。平時から部隊運用を束ねる計画の作成や訓練を重ね、日本が攻撃を受けた「武力攻撃事態」など有事への対応に備えます。米軍との連携も強化し、新設ポストとなる統合指揮官は、米国インド太平洋軍司令官のカウンターパート(対応相手)となります。 
 司令部は東京・市谷の防衛省に置き、発足当初の要員は240人規模。「総務」「情報」「作戦」「後方運用」「指揮通信運用」「法務」の6つの部門の予定です。

防衛力抜本的強化の進捗と予算P10


 自衛隊には、陸海空のそれぞれの陸上幕僚監部・海上幕僚監部・航空幕僚監部とそれらを束ね一体的に部隊運用する事を目的とした統合幕僚監部(統幕)があります。外国軍の統合参謀本部に相当する軍令機関です。防衛省の特別機関で、陸海空自衛隊の一体的な行動を円滑に遂行するための計画を立て、統合訓練を行い、防衛大臣の命令を執行する役割を担っています。さらに統幕の長である統合幕僚長(統幕長)は、自衛隊をどう運用すべきか首相や防衛相に助言すると同時にカウンターパートナーは(ワシントンの)統合参謀本部議長でもありました。 
 そこで統幕から自衛隊の運用部分を切り離して統幕長を大臣補佐に専念させ、新たに常設の「統合作戦司令部」を創設し「統合作戦司令官」ポストを新設して部隊運用の組織を作ります。

 2023年10月28日共産党しんぶん赤旗に「総合作戦司令部」は米側の要請で作られたとありました。記事の中に日本共産党志位委員長の「インド太平洋軍の指揮のもとに、自衛隊が事実上組み込まれることを意味するのではないか」という危惧もイラン・イラク戦争を考えれば当然にも思えますが、東日本大震災があった当時でも既に中国の台頭は無視できないものがあっただけに米国一国だけでの戦いも難しいと両国とも判断はするし、対隣国の軍事的行動に日本だけでは守り切れないのも明らかでした。
 河野克俊氏は第31代海上幕僚長・第5代統合幕僚長で、「トモダチ作戦」を行い長年の米太平洋軍との関係から有事の際に同盟国との連携は最重要であり、政権交代があった時でも連携が十分にとれる様そういったアドバイスを受けたのではないでしょうか?

 制服組トップの統幕長が同盟国の米統合参謀本部議長とインド太平洋軍司令官の両者と調整に当たっていましたが、自衛隊と米軍の対応関係や指揮系統を明確化することで、日米一体運用の円滑化が一層進むことになると言われてます。
第211回国会 参議院 外交防衛委員会令和5年5月9日の国民民主党榛葉賀津也議員の「統合抑止」の質問に、政府参考人は、「アメリカが昨年の十月に公表しました国家安全保障戦略の中で記述されている言葉」として、自国内だけでなく同盟国や有志国との統合抑止で侵略行為を抑止する考え方と答弁しています。

防衛力抜本的強化の進捗と予算 令和6年度概算要求の概要



2・自衛官の定数の変更

   (防衛省設置法の一部改正)

 「防衛省設置法等の一部を改正する法律」は最近毎年法案提出されているようです。自衛隊の各隊の人数も状況に合わせて変わります。
 今回の法案では「共同の部隊」統合作戦司令部(仮)が防衛大臣直轄で新設が予定され、下の表には陸海空で陸上自衛隊だけが減っていますが陸海空から自衛隊員が移動しています。

令和6年度概算要求の概要


 2023年5月に読売新聞のコラムに自衛隊応募者激減し退職者急増の記事がありました。それもあって昨年末は自衛隊員の初任給や手当が大幅に改定されましたが、ロシアのウクライナ侵攻に続き、ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃が起こり中東地域の状況も悪化するばかりで、近年台湾有事が現実味を帯びてきており、自衛隊の若者の応募者減や中堅どころの離職率増は今後も続くだろうと思いました。
 さらに、劣悪な職場環境の典型として指摘されるのがパワハラ、セクハラなどのハラスメント体質が指摘されており、元陸上自衛官五ノ井里奈さんの被害告発は多くの国民が知る所となりました。

2023/12/23読売オンライン

 軍隊は数が必要と言うのは現在も通用する考え方だと思いますが、ITやAIによって削減できる部分が多く、自衛隊の所持してる通信機器や装備品、さらに個人の能力をリスキリングで充実させるなど現実にあった対応が必要だと思います。

3・「自衛隊海上輸送群(仮称)」の新編に伴う自衛官の権限、船舶法等の適用除外の整備

(自衛隊法・海上輸送規制法・海賊対処法の一部改正)

 南西諸島は防衛の「空白地帯」とされてきましたが、自衛隊は与那国島(2016年)、宮古島(19年)、奄美大島(19年)、石垣島(23年)に駐屯地を次々開設し防衛体制の強化を進めています。

令和5年度版防衛白書


 2024年度予算案に、広島県呉市の海上自衛隊呉地区に司令部を置いて25年3月までに新設する部隊「自衛隊海上輸送群(仮称)」の配備と、南西島嶼部等に部隊や物資を迅速に輸送するために使用する機動舟艇を取得(3隻:173億円)を盛り込ました。
 離島への部隊や必要物資を運ぶには輸送艦と部隊が必要になります。海上自衛隊にある輸送艦は現在3隻ありますが、輸送艦乗員やその上級司令部スタッフは輸送艦を運用するプロであって、海上輸送全体のプロではありません。ましてや陸上用の物資や部隊を運ぶとなると、海上輸送の前提になるのは陸自・空自の作戦で、完璧に、何を、どこに、いつまでに、どの順番で運ぶかについては、それぞれの知識が必要となり海自だけでは難しいのかも知れません。つまり南西諸島で一早く移動させる機動展開力の強化のため、海上輸送の専門部隊が必要となったのです。
 また、台風や潮流、岩礁、海の法律など船乗りの養成には海自10年で一人前と言われ、自衛隊は数年前から陸上自衛官の“船乗り”の育成を急いで行っています。自衛隊が重視する南西地域への「機動展開力」の向上をはかる上で、必要不可欠となるのがこの海上輸送力で「自衛隊海上輸送群(仮称)」という訳です。
 「自衛隊海上輸送群(仮称)」の新編に伴い、自衛官の権限や船舶法などの適用除外の法整備もされています。


令和6年度概算要求の概要


4・次期戦闘機共同開発のための国際機関(GIGO)に派遣される防衛省職員の処遇の整備

  (防衛省職員派遣処遇法の一部改正)

 侵略されないための抜本的な強化の方針で、「航空優勢」の確保は我が国の防衛のための諸作戦を実施する上での大前提です。このため、戦闘機が我が国の周辺空域に迅速に展開し、より遠方で、侵攻してくる敵の航空機やミサイルによる航空攻撃に対処できる態勢を整えることが極めて重要です。
 この際、戦闘機そのものに加え、無人機(UAV)等を含むシステムについても、国際協力を視野に開発に取り組むとされております。

 現在は、次期戦闘機を一国での開発はコスト的にも技術的にも難しく共同開発が重要となってきます。防衛省は2024年度予算案で開発費など総額914億円を計上しました。次期戦闘機事業は、日本が航空自衛隊で運用しているF-2戦闘機の後継機となるステルス戦闘機を開発・配備する事業です。開発は2035年を目標としており、日本と英国、イタリアの3カ国で共同開発を進め、日本が米国以外と防衛装備品の共同開発を行うのは初めてです。
 世代の違う戦闘機間での戦闘では、新世代機が圧倒的に優位と言われています。(F-22(第5世代機)は、旧世代機に対し、108対0の撃墜率を記録)つまり、今回は日本の技術や能力を十分に生かし開発技術を育成する道を選択したともみれます。

 開発の中核は三菱重工業、英国の「BAEシステムズ」、イタリアの「レオナルド社」の3社です。3社は今後、英国に本社機能をもつ共同企業体(JV)を組織する予定です。

 防衛省および防衛装備庁は2023年12月14日、木原 稔防衛大臣がイギリスのグラント・シャップス国防大臣ならびにイタリアのグイード・クロセット国防大臣と東京で3か国防衛相会合を実施するとともに、次期戦闘機事業「GCAP」の管理を目的とした国際機関「GIGO」を設立するための条約、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約」を締結したと発表しました。


 三大臣は、GIGO及び共同事業体制の本部を英国に置くことで一致し、三カ国間の効果的でバランスのとれたパートナーシップを確保・促進するため、GIGOの初代トップを日本から、共同事業体制の初代トップをイタリアから派遣することで一致しています。

 2023/12/13読売新聞の記事によると、3か国で計数百人の政府職員を派遣する方向と複数の政府関係者が明らかにしています。日本が防衛装備品の共同開発を巡り、多国間で作る国際機関の設立に参画するのは初めてで、異例の規模となるようです。現行法では、防衛省職員の国際機関への派遣は、軍備管理や軍縮、人道活動などの目的に限定されていますが、改正案は派遣の要件として、防衛装備品の国際共同開発に関する事項を追加する方針です。

 尚2024年2月27日現在、共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出の是非を巡る自民、公明両党の協議は2月末の合意が難しくなったという記事が見られます。


5・日独物品役務相互提供協定(ACSA)に関する規定の整備

ドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供協定

 ACSA(Acquisition and Cross Servicing Agreement)は、自衛隊と他国との間で物資や役務を融通しあうための協定です。食料、燃料、弾薬、輸送、医療などを相互に提供できるようにするもので、これまで米、豪、英、加、仏、印との間でACSAを締結済みです。
 数年前から自衛隊と欧米やアセアン地域の軍隊との交流や訓練が盛んに行われるようになりました。日本国への戦艦入港や戦闘機の離発着、国内での戦闘訓練がSNSや動画でも連日紹介されています。
 これらからも分かる様に、燃料や食料の補給などが日常的に行われ、装備品の修理や提供も行われます。そして万が一紛争や有事の際には供給がスムーズに行なわれる必要があります。


6・自衛隊員の人材確保のための各種制度の見直し

  (自衛隊法・防衛省職員給与法の一部改正)

 自衛官の成り手不足は以前から続いており、少子化により募集対象者の減少もありますが、理由としては給料の安さ、再就職の困難さ、さらに体力面だけでなく服装・短髪等なども上げられていました。
 国家防衛戦略によって防衛予算が飛躍的に伸び、それに伴い整備計画で装備品の強化は図られても人的資源の強化が無ければ抜本的な防衛力の強化にはなりえません。
 そこで「防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会」が設置され、令和5年7月12日取り組み強化の提言がされました。

国家防衛戦略は、「自衛官の定員は増やさずに必要な人員を確保する」と明記しており、同文書が示す新たな防衛態勢を実現するうえで、定員と現員の乖離が約16,000人ある中で、必要な人員を確保しつつ、最適な階級構成としていくことが喫緊の課題となる。

防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会報告書



 防衛省は、近年の世界の戦闘状況からサイバーなど高度な専門知識を持つ人材の確保が急務となり、最大5年の任期で高額な報酬で自衛官として採用する「特定任期付自衛官制度」を新設すると発表しました。サイバー、宇宙、専門的な医療の3分野での採用を想定し、2025年度の採用開始を目指す。次官や自衛隊トップの統合幕僚長の年収(約2350万円)と同等の年収を支給し、幹部人材として採用するようです。

有識者検討報告会


人的基盤の強化に係る各種施策の進捗状況

防衛力抜本的強化の進捗と予算

 給与の改善だけでなく、女性活躍、働き方改革及び生活・勤務環境改善の推進等や、緊急時のこども預かりや職場や居住の環境改善、衛生機能の強化など多方面にわたっての改善が見られます。

防衛力抜本的強化の進捗と予算


7・有事対応に国民が準備すべき事


①安全保障とデマ情報
 日本国民は武力攻撃で一瞬にして国民の命が奪われてしまうのを、ロシアのウクライナ侵略やハマスのイスラエルテロからSNSで目の当たりにしています。
 安倍政権で提唱された「自由で開かれたインド太平洋」戦略(構想)が菅政権・岸田政権によって受け継がれ、安保3文書を制定し、日本の防衛が反撃能力を持つ大転換がはかられました。その防衛予算もGDP1%から2%へとし、2023年度から5年間の防衛費は総額43兆円です。
 私達納税者が気に留めておかなければならない事として、明治・大正・昭和の軍拡の時代に増税と、国民に過剰な我慢を強いて太平洋戦争に至った経緯がありました。今一度学び直し、日本国民が同じ轍は踏まぬよう、世界の情勢を意識しつつ日本国にとってどうあらねばならないかを見定め、国民自身が有事の準備として身を護る準備をしておかねばならないと思います。

 今回の213回国会提出の「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」は、防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会が設置され報告書が出されました。それに対し、防衛省は「人的基盤の強化に係る各種施策の進捗状況についてー有識者検討会報告書へのフォローアップー令和6年1月防衛省」を提出しています。これは今までには見られなかった事であり、その改善の内容は有識者の要望に答えるものでした。実際有識者検討会の「齋野座長談話」がフォローアップの提出を評価し、更なる改善に期待が込められた談話を出されています。反撃能力にシフトした国防においては、先の大戦の敗戦国である私達日本国民は、報告された内容を確認するだけでなく100%の戦闘力で闘える自衛隊員の処遇改善や法整備を、機会あるごとに政府に届けることもまたとても大切になりました。

 さらに、政治家をはじめ有識者・知識人・経験者の声など様々な声を参考に進捗状況を知る必要があります。なぜならもう既に世界ではサイバー攻撃や情報戦や認知戦が始まっており、私達はその渦中にいます。2020年の米国大統領選挙で調べれば明らかにデマと分かる投稿を多くが拡散し続けていました。ウクライナ有事では日本国民がデマを信じない様に状況説明を発信し続ける日本の知識人のSNSに執拗に食って掛かり、研究の時間を奪っているアカウントも見ました。
 こういった行動は日本が戦争に巻き込まれて行く時には、敵国に誘導されたマスコミの論調に偽国民によってさらにエスカレートさせたデマ情報が拡散され、大事な局面で日本国民の民意が誘導されるでしょう。常に多くの国が情報戦や認知戦を仕掛け大衆や政府の対応を実験しながらデーターを収集しています。プロパガンダ戦には国民自身が元情報を確認し、日本の文化や歴史から常識的に考えることが出来るなら負けないのだろうと思います。
 日本には東京直下地震と南海トラフ地震の想定内の有事があります。今後30年以内に70パーセントの確率で起きると予測され、マグニチュード7クラスの大地震、最悪の場合死者はおよそ2万6000人とも言われ経済被害は95兆円とも言われています。その渦中に誤った情報やデマが拡散されたら二次被害も起こり、更には外国人の多い地域などは国内での暴動も起きかねません。そして国内で自然災害の有事が起こっている時に近隣国が侵攻しないとも限りません。またそう言った誤情報が流されないとも限りません。そして原発爆発のデマ情報も流れて来るでしょう。あなたならどうしますか?

 井上寿一著『戦争と嘘』には、嘘によって戦争が引き起こされた事例が載っています。湾岸戦争(1991年)時に報道された原油まみれの水鳥の写真は、イラクは環境破壊の元凶として国際世論の非難を浴びました。しかし事実は米軍の攻撃によりペルシャ湾に石油が流出したのです。

 最近はAIで本人の情報を使い、嘘の情報を容易に作り出すことが出来るようになりました。ゼレンスキー大統領がロシアに投降するように呼び掛けた偽動画がありました。
このような場合は、歴史や過去に遡って考えると何故この様な情報が流れてくるのかが想像できるかも知れません。有事においての情報戦に負けない為には、我が国の歴史を知る事も重要になります。



②国民保護
「防衛力抜本的強化の進捗と予算」の中に国民保護がありました。国民保護については自治体の責任の範疇ですが、機動展開能力・国民保護約5,653億円の予算がついています。
2月26日の共同通信の記事によると、沖縄先島諸島12万人を九州3県と山口に避難させ、先島諸島のうち八重山地域の住民は原則として九州北部と山口の5県、宮古地域は南九州3県で受け入れる内容。今後、各県と協議を進めて移動手段や県別の避難人数を確認し、2024年度中の決定を目指すとありました。

 国民保護のサイトには、日本の避難所の情報がありますが、最寄りの避難所はタダの児童館で、避難できるのはせいぜい100人程度、殆どの人が入れません。コンクリート造ではあっても開口部も大きくミサイルに対処できる様な建物ではありません。全国の避難所の殆どが地下はなく堅固な建物でも無いのです。かと言って地方の田畑しかない土地にシェルターを作れとは言いません。せめて自衛隊基地・駐屯地・米軍基地・空港・原発・車両基地など攻撃されやすい建物は地下シェルターも必要だろうと思います。
(追加:国民保護法は武力事態に成らないと発令されない法律で、発令された時は攻撃されている時です)

NHKの解説委員室の記事には地方自治体のアンケート調査で、8割以上の自治体で国民保護の準備や人手・時間が無く、職員が精通していないと答えています。
 また衆議院 予算委員会(2024年2月26日)で石破茂議員がシェルター・国民保護・食料安全保障の質問がありました。国民保護については地方自治体が行うとなっていますが、シェルターの相談する省庁が無いというのも驚きました。

 令和5年度版の防衛白書には国民保護に関する取り組みの頁がありますが、2023年3月27日のNHKWEBニュースに「国民保護専門官」が自治体の国民保護計画の作成に協力したり、交通事業者など指定公共機関との訓練を通じ連携を確認。また「情報専門官」は指定公共機関などから国民保護に関する情報を収集し、分析する業務にあたるとありました。国会議員や地方議員には積極的にこの様な情報を行政に発信して頂きたいです。

令和5年度版防衛白書


 先日救国シンクタンクセミナーの自治体経営研究会で国民保護について学びました。表題の画像は講師の小川清史陸将が作られた「国民保護法」概念図です。
 自衛隊は命令に従って行動していますので、外部からの直接の要望に応えていては本来の業務が遂行できません。自衛隊は指揮系統の命令で動いている事、ここをきちんと押さえておく必要がまずあります。
 防衛出動が起こり、避難指示が行政から発せられたら皆さんはどうすれば良いか分かりますか? 
地下も無く、狭い避難場所、木造、とてもミサイル攻撃から身を護れる建物には思えません。ましてや自衛隊は国土を護る為に命を懸けて全力で戦う訳ですから、国民は寧ろ邪魔や足手まといにならない様に自衛する必要があります。
  ところで、行政職員は国民保護法で行政職員の職場放棄をしても何ら罰則がないと言うのを知ってる人はいるでしょうか? 防衛出動が起こった場合、国民保護法による有事対応に必要な人材が必要な場所に必ずいるとは限らないのです。夕張市が財政破綻した時多くの行政職員がいの一番に逃げ出しました。状況を知っているから逃げ出したのですが、全公務員が正義感で仕事をしてる訳では無いということです。そうならない為にも、地方議員には行政・警察・消防の組織と連携し、普段の平時の時から体制強化や避難訓練をし、住民自身が自衛できる様にならなければ助かる命も助からず勝てる戦いも勝てなくなります。

 セミナーに参加された参議院議員浜田聡議員の投稿です。国会議員として出来る事を、確実に実行して頂いてます。

この法案調査は、NHKから国民を守る党参議員浜田聡議員の依頼で調査いたしました。


以上です。


参考資料:
陸自が船乗り訓練をする訳や部隊運営などの現場の声が解るブログや動画がありましたのでご紹介します。


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