見出し画像

①国民民主党シン・トリガー法案の勉強会(ガソリン税減税会) 





 令和6年3月29日213回国会に、野党の国民民主党から単独で参議院に議員発議として「揮発油価格高騰時における揮発油税等税率特例停止措置の実施並びに揮発油税等税率特例の廃止及び脱炭素社会の実現等に資する税制の構築のための措置に関する法律案(以下、シン・トリガー法案)」が提出されました。代表の玉木議員によるシン・トリガー条項解説動画がありますので、ポイントを確認したいと思います。

法案提出理由
揮発油及び軽油の価格が高騰している現下の状況を踏まえ、国民生活及び国民経済の安定を図るため、揮発油価格高騰時における揮発油税等税率特例停止措置を実施するために講ずべき措置について定めるとともに、揮発油税及び地方揮発油税並びに軽油引取税の税率の特例が設けられてから長期間が経過し、当該税率の特例が設けられた当時とは社会経済情勢が著しく変化していることに鑑み、当該税率の特例の廃止及び脱炭素社会の実現等に資する税制の構築のための措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。



1・ガソリン補助金とトリガー条項

 

 法案提出理由からシン・トリガー法案の内容は、①ガソリン価格が上がってトリガー発動する時に、ガススタに負担を減らす為にやるべき事②トリガーを2年間発動しっぱなしにして、当分の間税を実質廃止にするの2点からに成ります。
 先ずトリガー条項について説明をします。その後に玉木代表のシン・トリガー法案の解説を見て下さると、良く解ると思います。

①ガソリンや灯油価格には複数の税金


分かり易く表にしてみました。

ガソリンと軽油の税金について

 

 トリガー条項発動は、具体的には小売物価統計調査による揮発油の平均小売価格が連続3か月にわたり160円を超えたら、翌月初日の出荷分から特例税(当分の間税)の25.1円を減税して出荷する事です。130まで3か月下がったら、解除されます。

図表2 揮発油税等の「トリガー条項」


②激変緩和策のガソリン補助金の仕組み


政府は、全国のガススタの販売価格を調査し、補助金を石油元売りにだしガソリン価格を下げました。その激変緩和としての補助金の金額が、2022年1月からの合計が6.2兆円です。トリガー条項発動ならもっと少ない補助金で同じ効果が出せたと国民民主党は主張しています。

燃料油価格激変緩和補助金

石油元売・輸入事業者に価格上昇を抑える原資を支給することにより、ガソリンなどの卸価格の上昇を抑え、ガソリン小売価格の急騰を抑えるものです。
具体的な支給額は基準価格をガソリンの全国平均価格168円とした上で、基準価格から17円超の部分は全額補助とし、17円以下の部分は
 ・9月7日から10月4日までは補助率3/10
 ・10月5日から12月31日までは補助率3/5
とします。

その後、補助金41円の時もありました。

資源エネルギー庁


③ネット番組動画から

ガソリン補助金6.2兆円 なぜ発動しない「トリガー条項」【日経プラス9】(2023年10月4日)


テレ東番組の出演者の意見
重油・灯油は対象外なので、その点も考えるべき。
2022年1月からの補助金6.2兆円、いつまでも出来る政策ではない。
二重課税である。
旧暫定税率は廃止すると経済効果は大きい。
グリーン政策としては減税は望ましくない。
ガソリン税当分の間税25.1円は道路財源から一般財源になっているから使命を終えているので廃止すべきである。

トリガー条項


政府のトリガーをやりたがらない理由
・地方自治体の減収分をどう補うのか。
・130円を3ヵ月下回れば停止されるが、高騰により130円を下回る事は無いと思われ、ずっと減税の状態になるので難しい。
・震災特例法の改正が必要(東日本大震災の財源の為、トリガー条項凍結しました。)


2・シン・トリガー法案文字起こし

3月17日のたまきチャンネル
「シン・トリガー条項提出します!5月以降のガソリン値上げどうなる?玉木雄一郎が解説」を文字起こししました。
ポイントは太字にしています。前・中・後の一部は除いてます。

(1:50)
我々としてはこれ以上やっても答えは出てこないだろうということで三党協議から離脱をしたっていう経緯があります。

2:03

(2:03)
というのは、2023年4月までは今の補助金によりガソリン値下げの仕組み予算もあるんですが、5月以降は何もないんです。
だから今のまま行くとガソリン全国で20円ぐらいドーンと上がるんですよ。

2:17

(2:18)これは明らかに経済を冷やすし、なんと言っても今賃上げだ、特に中小企業の賃上げだ、しかも2024年問題でトラックとか、ドライバーが足りないとか色々言ってる中で、この油の値段が上がるっていうのは明らかに賃上げにもマイナスなんです。

2:31


参考資料:全日本トラック協
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示(※)が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されており、このことを「物流の2024年問題」と言われています。


2:37


2:48

(2:34)だから本当に中小企業の賃上げは大事だよって何度も何度も総理が言うんだったら、もう何置いてもまずこのガソリン値下げを継続しなきゃいけないんですよ。
そんな中で総理とも色々やり取りしたんですが、やる気は全くないしそもそも間に合わないということで離脱をしたんです。

2:57
2:59

(2:54)その時に政府が総理も色々ああだこうだ、やらない理由としてあげていたことの1つの理由が、やっぱりガソリンスタンドとか現場に多大な負担がかかってしまうと。急に25円10銭ドンと下げたら急に安く売らなきゃいけない。


3:16

(3:10)なんでかと言うと、ガソリンっていうのは面白い仕組みになっていて、蔵出し税ということでそ出荷時に税金かけて、(ガススタは)それで仕入れるので、その仕入れのタンクに入ってるそのガソリンってのは高い税金25円10銭が乗った形の仕入れなんです。


3:19
3:22
3:38
4:00

(3:26)それをある時から減税したからといって、明日から25円10銭安く売りなさいって言っても、もう今から仕入れるのはこれもう(25円10銭)外れて仕入れられますけど、既にタンクに持ってるやつは税金がかかって高い値段で仕入れてるので、市場原理で安く売らなきゃいけないってことになると、このあたり損が生じるので、この分を今在庫で持ってる分で25円10銭かかったものについては、このトリガーが発動された後は25円10銭は税務所に税金の還付申請ができるって仕組みになっているんです。



4:09

(4:02)ただどれぐらいタンクにあるとか、またあるいは申請するのがその事務手続がかかるからこういう混乱が生じるからダメだっていうのが、やらない理由としてずっと政府側が言ってきたことなんです。

4:28


    ******************************************


①円滑なガソリン減税(トリガー発動)

(4:15)これは私解消できますということも申し上げてるんです。 どうやるかと言うと、ここに法律としてバッと書きましたけども、まず円滑なガソリン減税できますよというのがこのシン・トリガー法案の1つの特徴なんです。
簡単に言うと、補助金も活用してガソリンスタンドの負担がない形で下げれるという新たな方策を法律に書き込みました。


4:47

(4:41)まず1つは補助金を引いた額を税還付、そして税還付の代わりに補助金交付できると。
何のことかと言うとちょっと簡単説明します。


4:56
5:00
5:02

(※これは補助金21円とトリガー条項25.1円の差)


5:06

(4:51)さっき25円10銭高い税金かかって仕入れたと言いましたけども、補助金で例えば21円引いてくれたらその実際安く売れって言われても差額は4円しかないから、25円10銭じゃなくて、その時もらってる補助金を差し引いた額を還付申請認めますよと。

(※ガススタの地下にあるタンクにガソリン10トン
 残っていたら、10×1000L×4円=40,000円申請 )


5:17
5:20
5:26

(5:12)加えて2番目ですけども、この税務所に新たに還付するんじゃなくて今そもそも補助金の申請を経済産業省にしてますから、この4円分を別に税の還付で国からもらおうが補助金で4円もらおうが一緒でしょう?


5:33
5:34
5:38

(5:26)法律には税務所に還付申請できますって書いてあるんですけど、この還付申請に変えて経産省に補助金申請に変えることができる。こっちでいいよということに認めれば今と同じなんですよ
(ガススタ:税務署に還付申請➡経産省に補助金申請)



5:46

(5:38)仕組みはだからシステムが混乱するとか、新たな事務負担が生じるって言うんですけどこういうことを認める、法律を1本書いて通しといてあげれば今の補助金制度と何も変わらず円滑にトリガーを発動してガソリン減税できると。

6:13


(6:01) 2つ目は、今度もう1つの批判は一旦減税しました。でもある程度油の価格がおいついてきたら今度また25円10銭戻すと下げる時も混乱する。
でも上げる時も戻す時も混乱するじゃねえかということも色々言われたりしてですね、言われたんですが、あの下げる時はここで1つできましたよね。このじゃあもう1回上げる時どうするのかという時に関してはもうここです。もうそもそも、一旦下げたら仮にガソリンが下がったとしても2年間はですね税金上げません。これです、2年間は再引上げは行わない、つまり下げたらもう2年間下げっぱなしにします。25円10銭は引きっぱなしにします。



(6:45)ではどうすんだということになると、この2年後に自動車関係所税も含めた税制の抜本改革することになってます。また今度カーボンニュートラルの観点から、GX債っていう国債を新たに発行し、その償還財源として新たにカーボンプライシングという形でいろんな形で、炭素に対して付加金をどう導入するかって議論がもうやんなきゃいけない。
その中で炭素を出してるものに対してどのような負担を求めるかっていうのはいずれ議論しなきゃいけない。もしカーボンニュートラルの観点から何かそういった化石由来の燃料に負担を求めるといことあれば、その時にちゃんと考えてやりましょう。

7:01


7:11


    *****************************************

②旧暫定税率・二重課税を廃止

(7:32)私は言ってる。少なくとも50年前に道路を作るために導入された暫定税率を50年引っ張ってきたのはもう限界です。だからこれは一旦やめてくしくも今ガソリン価格高いですから、それで2年間すれおいても下げている間に将来のカーボニュートラル社会どうしていくかという中で税制やあるいは賦課金ということについて、どういった形で負担の体系を作っていくのかっていうことはその間に検討していけばいいということで、一旦下げて旧暫定税率、二重課税を事実上廃止するということを2つ目の柱で入れてるわけですね。
 

この1と2を組み合わせた形の法案をシン・トリガー法案として取りまとめて、今あの事務方で内々で立憲民主党さんと日本維新の会の2つの党にはこれ共にやりませんかということで打診してます。(3/29朝日新聞 国民民主、「シン・トリガー法案」単独提出 立憲・維新と折り合わず)

     ************ 中略 ************

 なんでこういうこと言うかと言うと、やっぱり中小企業の賃上げに繋がっていくし、あと車に乗ってる人だけじゃなくてガソリンっていろんな物流コストに乗るので全ての物の値段が上がって、つまり物価対策として最も効果的なんですよ。

ちなみに5月以降これ政府どうするかと言うと、今予算の審議してますから、もし今5月以降必要だと思って予算が必要だってポロって言っちゃうと、じゃあ今議論してる予算組み替えるとか言われるんで、とにかく参議院の予算を通過するまでは口チックしてんですよ。
予算が成立した瞬間に5月以降も補助金延長しますて絶対言いますよ。予言しときますから。


(※玉木代表予言は当たりました。予算案は3月2日可決)

2024年3月29日[東京 29日 ロイター
 政府は29日、4月末以降の取り扱いが未定となっていたガソリン補助金(激変緩和措置)について一定期間延長すると発表した。電気・ガス補助金は5月末に終了し、急激な価格変動など必要性があれば機動的に対応する。

私はたまきチャンネルで最後にもしこれに減税したら地方の税収が減ってしまうじゃないかということこれは、ちゃんともちろん手当てをしていきますし、今補助金でもうすでに6兆4000億使ってるんです。
6兆4000億って防衛費ぐらいですよ。でこんな多額のお金使うんだったらトリガーやった方がよっぽど安くつきます。そういう意味でも今こそこのシン・トリガー法案成立させて5月以降ももっと効率的にガソリンの値下げを実現していきたいと思います。
(動画文字起こしは以上です)

       **********************************

③まとめ

〇中小企業の賃上げには、ガソリン値下げを継続しなければいけない1⃣と2⃣で、シン・トリガー法案

1⃣政府のトリガーをやらない理由と対策
 
・地方揮発油営の減収に対しての対策
  物価高で130円以下にはならないので、そのまま
  減税になってしまう。➡ 地方揮発油税減収分の補填
 ・買い控えによるガススタの負担
  トリガー発動時
  ➡トリガー発動後、地下に残ってるガソリンの
   補助金分とトリガー25.1円の差額分を、
   国税庁の還付申請ではなく経産省に補助金申請する。

 ・終わる時の負担➡下げたら2年間下げっぱなし。
 2⃣下げっぱなしで、旧暫定税率、二重課税を事実上廃止
 
 
・2年後に自動車関係所税も含めた税制の抜本改革
 ・地方揮発油営の減収に対しての対策
  物価高で130円以下にはならないので、そのまま
  減税になってしまう。➡ 地方揮発油税減収分の補填


3・ポイントと疑問

①「下げっぱなしで、旧暫定税率、二重課税を事実上廃止」
二重課税はどの部分?消費税がかかってる部分じゃなかったの?

②渡瀬裕哉氏の投稿です。
確かに動画を何度聞いても、国民民主党の立場ははっきりしません。

国民民主党のトリガー解除の話でイマイチ分からないのは、 既に2028年からGX賦課金、2030年代から電力会社に対する強制排出権買取など、 政府は税金の名称ではない実質炭素税を決めている(国民民主も賛成)のだけれども、その上更に増税するという意味なのだろうか? 合計数兆円規模の大増税が既に決まっており、それも併せて見直すという意味なのだろうか?その点が不明瞭。

③玉木代表動画(6:45)
ではどうすんだということになると、この2年後に自動車関係所税も含めた税制の抜本改革することになってます。また今度カーボンニュートラルの観点から、GX債っていう国債を新たに発行し、その償還財源として新たにカーボンプライシングという形でいろんな形で、炭素に対して付加金をどう導入するかって議論がもうやんなきゃいけない。
その中で炭素を出してるものに対してどのような負担を求めるかっていうのはいずれ議論しなきゃいけない。もしカーボンニュートラルの観点から何かそういった化石由来の燃料に負担を求めるといことあれば、その時にちゃんと考えてやりましょう。

その時にちゃんと考えてやりましょうとは、どの様な意味ですか?
今ある石油関連税金(石油石炭税・本則税率・当分の間税)は廃止の議論になるって事ですか?
道路関連税は訴状に上がるのですか?
議会に法案として出てくる頃に議論しても遅すぎます。既に委員会や有識者会議の様な物で話が始まってるはず。今騒がなければ、現状にプラスGX賦課金と炭素税加算に成りかねません。
政府からその様な話が出ているのですか?
国民民主党の願望ですか?
立憲と維新は何故シン・トリガー条項法案共同提出しなかったのですか?

④政府の言う買い控えって、本当にガススタの問題ですか?
国会の議論で政府はトリガー条項凍結解除を行わない理由を、買い控え、現場が混乱する、ガソリンと軽油だけで重油や灯油は入っていない等の理由を上げていました。
令和6年1月1日能登半島地震以降は確かに能登半島のガススタの現場でトリガー発動する事で混乱の可能性はあったかもしれませんが、それ以前から政府は出来ない理由としてあげていました。しかも、2022年にも2023年にも3党協議が行われたのですから、おかしいですよね。
 SNSでも見られますが、運転する人が購入するガソリンの量は10~40リットル程度ですから何週間も持ちません。確かに明日から10円安くなると思えば明日買う事になるとは思いますので値段が下がった日にガススタは満員になるかも知れませんがその購入量はどれほどのものでしょう。トリガーは次の月の初日からとなっていますから明日すぐ上がると言う訳ではありませんからガススタで十分に準備が出来ます。また、ガソリンの残量も現在はコンピューターで管理されていますから金額も計算ソフトで簡単に出せるでしょう。


 政府に言わせるほどやらせたくない本当の理由が他にあるのではないかと思いました。例えば、原油を購入し、元売り業者は原油から一気に重油・軽油・灯油・ナフサ・LPガスなどを蒸留装置で温度を変えて作ります。その場合、もしかしたら余計な負担が生じるのを避けたいのかも知れません。
 出光の社長は、当分の間税廃止に賛成で、トリガーには反対しています。確かに当分の間税率廃止は国民も元売りもガススタも賛成でしょう。であるなら、石油連盟の名でガソリン税の上乗せ分(旧暫定税率)廃止を、政府に意見を伝えて頂きたいです。

以上です。

   **************************************
参考資料:平成23年4月国税庁
揮発油価格高騰時における揮発油税及び 地方揮発油税の特例税率の適用停止等について  


参考資料:法案提出までの経緯が説明されています。
【ぶら下がり会見】「中小企業・非正規賃上げ応援10策」を発表/シン・トリガー条項発動法案提出


参考:国民民主党のシン・トリガー法案


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?