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「多様性」というマウンティング

 今年,最も残念だったとことは,これまで「多様性(ダイバーシティ)」が大事だと言ってきた世界のリーダーたちが,実は,多様性を最も嫌う差別主義者だったことが分かったことです。アメリカのバイデン大統領、フランスのマクロン大統領、カナダのトルドー首相などはその典型です。

 彼らは、党の名前を色々変えるマクロンは別にして、民主党や自由党とかいう名の政党に属し、リベラルな政策をモットーとしてきました。リベラルといえば、多様性を重視し、弱者に厚い政策を展開するはずですが、新型コロナワクチンを巡っては、プーチン大統領や習近平国家主席もびっくりの強権を発動しています。

 彼らは、治験中で長期的な安全性の確立されていない薬剤の注射を多くの国民に強要し,それに疑問を持つ人間を差別する政策を国民的議論のないまま断行しています。そのうえ、接種に疑問を持つ人々の人格まで平気で攻撃しています。これをレイシストと言わずして、何と言えましょう。したがって、彼らが,主張してきた「多様性」も,完全なまやかしのはずです。その欺瞞を暴いていきましょう。

 リベラルが大好きな「多様性」政策に、積極的是正策(アファーマティブアクション)と呼ばれる「平等」政策があります。たとえば、成績や能力が劣っていても、一定数の社会的弱者を合格させたり、採用したりしないといけない政策です。日本でも、大学では、女性教員を増やすために、男性と同じ能力なら女性を教員として採用する政策が広がっています。

 これは一見、社会的な弱者に機会を与える平等な政策に見えますが、実は、弱者でもなんでもない人、たとえば女性や白人以外の人々を、「弱者」と規定して、社会的階層を固定化するように作用します。つまり、そこから新たな差別が生まれるのです。

 一例をあげれば、同じ能力なら女性を採用しましょうということで採用された女性は,卓越した能力で採用されたのではなく,男性と同じ能力だったのに、たまたま女性だったから採用されたのかもしれないという劣等感がどうしても生じてしまいます。しかも、採用の経緯を知っている他のメンバーは、確実にそういう目で見てしまいます。これは、彼女の将来に決定的な影響を及ぼします。

 もし,そのような試みがなければ,完全に男女平等で活躍できた女性が,女性優先の雇用の仕組みがあるせいで,劣等な地位に位置付けられてしまうわけです。女性比率を意識した取締役や閣僚への女性の抜擢も全く同じです。女性だから,その場所にいられるという暗黙の意識が,どれほど女性の活躍を狭めているか、考えたことがあるでしょうか?これこそ、男尊女卑として糾弾しないといけません。

 これは,少数民族でも,障碍者でも同じです。社会的弱者だからチャンスを与えられてしまうと、一瞬は嬉しいかもしれませんが、その後、その場所にいる限り、永遠に弱者の地位に固定されてしまうのです。これは非常に巧妙な罠であり、明らかに「多様性」の名を借りたマウンティング行為です。

 もちろん,チャンスが欲しいのに,性別,人種,身体的特徴で与えられないのは問題です。それを改善することは必要でしょう。しかし,同じ能力なら女性を採用するという政策そのものが,女性の能力を傷つける可能性に思いを至らないようであれば,多様性を論じる資格はありません。

 これは男性だけの問題ではなく、女性の問題でもあります。女性だからという理由で地位を与えられて喜んでいる女性は、自ら女性の地位を貶めていることに気がつかなければなりません。ただし、その地位を最大限利用して、何かやってやろうという戦略がある場合は別ですが。

 結局、これまで「多様性」が大事と言ってきた人々は、機会を与えるという名の下に、自分たちと違う特徴を持つ人たちを、社会の劣等な地位に位置付けてきただけです。だから、その社会秩序に収まらない人たちを全く許容することができないのです。未接種者に対する彼らの極めて不寛容で差別的な態度を見ればよく分かります。

 そのような無知で野蛮な人間が、「多様性」の尊重という、一見、穏やかに見える仮面をかぶっていることは、欺瞞以外の何物でもありません。なぜなら、その「多様性」が差別を強化する方向で作用するのですから。

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