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僕が「防災」で起業した理由

今日で東日本大震災から10年。
先日、自分にできることは何かを友人とディスカッションしていた時に、「“なぜ防災の会社を立ち上げたのか”を発信することで、色んな人に防災へ興味を持ってもらえるきっかけが作れるんじゃない?」と言われ、思い立って文章を書きました。
色んな人の防災を考えるきっかけになれば嬉しいです。
タイトル文に興味を持たれた方で時間のない方は、目次から「防災ベンチャーを諦めなかった理由」に、具体的な内容がまとまっています。

はじめに / 自己紹介

僕は現在28歳、半年前に防災ベンチャー「株式会社KOKUA」を立ち上げました。
現在は"LIFEGIFT"という、デザイン性の優れた防災グッズだけをまとめたカタログギフトを展開しています。
NHKやラジオでも取り上げれたこともあって、徐々に手にとっていただける機会が増えてきました。


SNSで商品や会社の告知をしていると、周りの知人から「防災で起業なんて驚いた!」なんて言ってもらえますが、1年前は普通に企業勤めをしていて、自分が防災ギフトの商品を作るなんて考えていなかったので、自分自身が一番驚いています。

防災の原体験〜阪神淡路大震災〜

僕は兵庫県神戸市で生まれ育ちました。
阪神淡路大震災が発生した時は東灘区に住んでおり、そこで被災しました。
(東灘区は兵庫県でも特に被害が大きかった地域でした。)
家は半壊し住む場所も変わりましたが、当時僕は2歳になる前だったので地震の記憶はほとんどありません。
でも、歳の離れた兄や姉、そして両親から当時の話を聞く機会があったので、普通の人よりも地震というキーワードに敏感になったのはここからだと思います。
とはいえ、この時点では「ちょっと地震に敏感」程度で、まだ自分が何かアクションを起こすまでの気持ちは生まれていなかったように思います。

防災の原体験〜東日本大震災〜

2011年3月11日、大学の入学式まで残すところあと数日。
何の気なしにテレビを見ていると、見たこともない規模の地震と津波の様子が報道されていました。
そんな中、行われた大学の入学式も、当然自粛ムードだったのですが、会場の入り口の前で募金活動に声をあげる大学生を見つけました。
声を一生懸命にあげて、自分にできることを一生懸命やる姿に心を打たれ、僕は自分の大学生活を災害救援に注ごうと決めました。
それからはIVUSAという学生NPOの会員となり、募金活動から東北での復興活動、全国各地で発生する様々な災害に対し、被災された地域でのボランティアを続けていきました。

仕事の経験から起業へ

ボランティアを通して防災や災害について、色々なことを感じたものの、僕にはそれを仕事にするなんて考えは浮かびませんでした。
無作為に、ビジネスマンとして成長したいという気持ちが強く、人材ベンチャー企業に新卒として就職し、その後転職をして新規事業の立ち上げに携わることになりました。
この時、自分が考えた仕組みやモデルで、人や会社に喜んでもらえることがとても嬉しく、自分のアイディアで、誰かに価値を提供できる喜びと自分でもできるんだという自信が生まれてきました。
そしてこの頃から、自分が関わり続けてきた防災という分野をビジネスの力で何か変化を起こせないかと考えるようになりました。

防災を仕事にする上での苦悩

防災を変革するビジネスを立ち上げようと思い立ってからは、様々なアクションをはじめました。
防災の偉大な先駆者である"防災ガール"のアクセラレータープログラムに参加し、様々な知見を吸収させていただきながら、日々防災の事業を考えました。


たくさんの事業アイディアを考えては、調査やヒアリングを行い、1年以上試行錯誤を繰り返しました。
防災は大切なものだけれども、いつ起こるかわからないが故に、優先順位が低くなりがちで、そこにお金をかけることは企業にとっても一般の方にとっても難しいということが、最も大きな障壁でした。
もう自分には無理なのではないか、自分がやる必要なんてないんじゃないか、色々マイナス思考が頭を巡り諦めかけていました。

防災ベンチャーを諦めなかった理由

1つ目は、防災の先駆者達の意志や行動を繋いでいきたいと思ったこと
2つ目は、防災を通して自分の人生に意味を持ちたいと思ったこと
3つ目は、自分の大切な人たちを守りたいと思ったこと

この3つがあったから、僕は防災で起業することを諦めませんでした。

まず1つ目について、僕は防災ガールIVUSAなど、防災や災害という社会課題に対して取り組む人たちを肌で感じてきました。
僕は社会の変革は、何事も一人の力で成し遂げられるものではないし、仮に誰か一人の力で大きな変化が起こったように見えても、その人の思考を構成し行動を後押しするものは、それまでの先人達が積み上げたものであると思っています。
僕は防災という分野で様々な人たちの挑戦や覚悟を見てきました。だからこそ、僕はその意志を受け止め、繋いでいく一人になりたいと考えたことが、今でも大きな原動力の一つとなっています。

2つ目は自分主語になってしまいますが、それは防災事業への挑戦を通して、自分自身の人生に、自分が死ぬときに誇れるような意義や意味を見出したいということでした。
「ちっぽけな自分だけれども、防災の事業ができれば一人でも多くの人の命を救うことができるかもしれない。それができれば、何よりも自分自身が自分のことを認めてあげれるんじゃないか、そしてそう感じられることを見つけられたのであれば、諦めちゃダメだ。」と考えることができました。


最後に3つ目ですが、これが一番大きな理由でした。
僕にとっての防災は、隣にいる大切な人の幸せが続くようにと思って起こす行動です。
学生時代の友人、会社の同僚、先輩、上司、バレーボールサークルの仲間、そして家族、僕にはずっと幸せでいて欲しいなと思う人がたくさんいます。その人達に防災の話をしても、なんだかどこか伝わらない、また、言葉で伝わっても行動してもらうことは難しいと感じる機会が、たくさんありました。
でもその人達がもしも被災し、事前に防げたはずの事象を防げずに何かあったら本当に悲しいし後悔する。
だからこそ、自分がどうにかしたいと思いましたし、そんな顔の思い浮かぶ人たちのためと思えたからこそ、諦めずに進んでこれたのだと思います。

さいごに / 読んでくれた人に伝えたいこと


読んでくれた人に、今日という日に伝えたいことは、防災は遠いものでもなく、他人事でもなく、「あなたと、あなたの大切な人のためのもの」であるということです。
災害はいつ起こるか、誰にもわかりません。起こった時に正しい行動が何かも絶対的な正解はありません。そして、完璧な準備なんてものもありえません。
しかし、災害による被害を、少しでも減らすことはできます
私たちの商品、"LIFEGIFT"は、「あなたの無事が いちばん大事」というコンセプトを掲げています。
今、あなたに思い浮かぶ大事にしたい人の幸せがずっと続くように、大きな節目である今日、防災のことを考えていただければ幸いです。

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