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僕の言っていることは全て正しい。だから間違っているんだ。

<『毎日2分で人生に役立つ気づきが得られる小説』小さな気づきは大きな成長への第一歩目!>


僕の言っていることは全て正しい。だから間違っている。

おはようございます。

今日は正しいことが時に正しくない結果を招くというお話です。最近はロジハラならぬ言葉が存在しますが、いかがなものなんでしょうか。真っ当な議論が余計に難しくなる一方で、相手の気持ちを考えながら話をするという大事なことが抜け落ちた言葉遊びがこれからも続いていくことが非常に残念でなりません。今日はそんなコミュニケーションのお話です。

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正しさとは、時に人の心を傷つける。

傷ついた側はもちろん、傷つけた側もそれに気づいて余計傷つく。

そうやって、正しさから一歩引くことを覚える。

今日だってそう。

またやってしまった。

全て、彼女が悪い。

夕方仕事から帰ってきて、冷蔵庫を開けると、後で一緒に食べようと思っていたプリンを彼女は先に食べてしまった。

それだけならば、後で僕が一人で食べればいい話だが、彼女は二つも食べたようだ。

小さい男だと思われるかもしれない。

でも、言いたいことは溜めずに吐き出す、これが僕の信念だ。

僕は少し口調を強めてこう言った。

「ねえ、こんなこと言いたくないけど、プリン食べた?しかも二つも。」

「んー?ダメだった?急にお客さん来ちゃって、何か出そうと思ったら何もなくてさ、プリン出しちゃった。あれ、なんかごめん。」

いや、いいけどさ。別に。

また買ってくれば良い話だし。

実は二人で食べようと思ってたなんて恥ずかしくて言えないし。

でも、今夜はなんだかもう少し責めたくなっていた。

ただのわがままだった。

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「はあ、ホントだよ。あれ結構高かったんだから。食べるの楽しみにしてたのに。なんか、特別感あるな、とか思わなかったの?」

「思ったよ。だから、お客さん用なのかなって思って。」

「違うだろ。そのお客さんは急に来たんだろ?僕が超能力者でない限りその人のために買ってきたりなんかしないだろ。」

「ああ、うん。そうだよね。」

「第一、自分で買ってきてないやつを勝手に食べちゃうとかどうかしてるよ。泥棒じゃないんだから、少しは考えて行動してよ。」

「ごめん…。」

「それから、(おい)前から言おうと思ってたんだけど、(待て)冷蔵庫に入ってる野菜いつもしなしななんだけど、(ちょっと)どういう管理してるわけ?(おいおい)普段からそういう生活だから(あー…)今回もこういうこと平気でできるんだよ(言っちゃった…)。」

「マジで、ごめん。」

言い過ぎた。

全て、僕が悪い。

僕が悪いことになってしまった。

僕は正しいことを言っていた。全て正しかった。

なんなら彼女のためになるものだった。

でも、それは詭弁だ。

そんなのあとから僕の言葉を正当化する言い訳だ。

正しいことは往々にして人の心を傷つける。

コミュニケーションが下手なだけなんだ。

今日は以上でーす。明日もお楽しみに!


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