モーセの海割りの意味

(読了目安15分)

今回は、「多くの人を救うために、自分の意志で 神 になった人」の話です。


みなさんに伝えたいことは、

「昔話や噂話を鵜呑みにしてはいけません」

「考えることをやめず、探求心を忘れないでください」

「ウソも方便です」


などですが、その例え話として、「モーセの海割り」を挙げてみます。


昔、神が多く存在した理由や、「世代を越えた伝言ゲーム」の末に当時の出来事がどのように未来へ伝わるのかが見えてくると思います。


前回投稿の、「神」ができるまで 世代を超えた伝言ゲームを読むと、より理解が深まると思います。

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みなさんは「モーセ (モーゼとも)」という人を知ってますか?
3500年ぐらい前の人物で、数千人を率いてエジプトから脱出し、「約束の地」へ向けて大陸を移動した、「預言者」と言われる人物です。
よかったらちょっと調べてみてください。


彼は神がかり的なことをいろいろやったと言われていますが、中でも有名なエピソードとして、「海を割る」というものがあるんです。
簡単に書くと、敵(エジプト軍)に追いつかれたモーセの一行が、行く手をさえぎる「海」を割り、割れた海の海底を歩いて逃げ、モーセたちを追ってきた敵は元に戻った海に呑まれて全滅・・・という話です。


映画などで、モーセの海割りシーンが登場する場面では、割れた海の海水が垂直に切り立ちますが、現代でそんなことが起こったら大事件です。
スマホで撮影され、すぐに世界を駆け巡るニュースになりますよね。
(「モーセの海割り」で検索すると画像がたくさんあります)


現代ではありえない現象ですが、みなさんは「モーセの海割り」は本当にあったと思いますか?


あるとしたら、昔は自然に割れる海があったんでしょうか。
それとも、昔は海を割ることができる超人がいたんでしょうか。
それとも100%作り話なんでしょうか。


「モーセの海割り」と聞いて、その本質がすぐにわかった人は、こ投稿の内容は幼稚に感じるかもしれません。
しかしすぐにわからなかった人は、社会の仕組みや人の心の仕組みを学んでもらえると思います。


結論から書くと、モーセの海割りについては諸説あり、決定的なものはありません。
ビデオがない時代の出来事ですから、文献だけでは事実がわからないんです。
また、最近ではCGで動画の加工も自在にできますから、たとえ動画があってもそれが事実かどうかもわかりません。
しかし、様々な情報を集め、物事を客観視しながらリンクさせることで、多くの人が納得できる合理的な説明をすることはできます。


モーセの海割りを考えるときは、

「モーセは神だから海を割ることができた」、

こう結論付けたいあまり、彼を神だと信じるための証拠を集めるのではなく、その逆の思考が大切です。


つまり、

「彼はただの人間だったはずなのに、なぜ預言者・神と呼ばれることになったんだろう・・・」

と考えることです。


人間は、「愛・(神・知恵)」に向かって旅をしていますが、本物の神に近づくには、ニセモノの神を排除する必要があります。
ニセモノの神を本物だと勘違いしてしまったら、愛にたどりつけません。
以前書いたように、ミステリーサークルを宇宙からのメッセージだと信じたり、オーブをエネルギー体だと信じてしまうと、本物の神にたどりつけなくなります。


では以下、モーセの海割りはあったのか、あったなら、なぜそんなことが起こったのか・・・このあたりのことについてわかりやすく説明しようと思います。



◎モーセの海割り


時代は3500年前です。
現代と比較するとどんな時代だと思いますか?
一般的には、皆既日食という天体現象が、「神の怒り・悪魔の仕業」だと思われていた時代です。
科学者の中でも海は平らだと信じられ、地球を中心に星が回っていると思われていた時代です。
多くの病気は神や悪魔の仕業で、祈れば治るかもしれないと信じられていた時代です。

3500年前は、現代と比べると・・・


一般人は読み書きできない人が多かった


一般人は語彙が極端に少なかった


内陸には生涯「海」を知ることがない人がたくさんいた


「満ち潮・引き潮」の仕組みが月の重力だと知らなかった


教育を受けた人とそうでない人の差が激しかった

(モーセは当時最高の教育を受けていました)

カメラやビデオなど、客観的に記録できる機械がなかった


医療が未熟で病気の原因が解明できなかった

(人々は常に不安の中にあった)

不思議なことは「神」と結び付けていた



などが挙げられます。


これらをふまえた上で仮説を書いてみます。
昔の「文献」や「宗教」について考えるときはもちろん、今後の人生の参考にしてください。



◎「モーセの海割り」 マスターの仮説


エジプトを脱出したモーセは、いつ終わるかわからない旅をするにあたり、自分が導く数千人を、できる限り士気を落とさないまま統率する必要がありました。


数千人という数は「ひとつの社会」ですから、それを統率するのは大変な作業でした。
移動中はもちろん家もなく、自分のことで精一杯の人がほとんどだった中、モーセにかかるプレッシャーは、常人の考える範囲をはるかに超えるものでした。


移動は40年にわたったようですから、病気や内乱、飢饉など、いろいろな「負のイベント」があったと思われます。
そんなとき、迷ったり嘆いたりする民たちを率いるには、自分が圧倒的なカリスマ、つまり「神」になるしかなかったはずです。


全員の意見を聞いてリーダーを決めていたら、内部に複数の勢力ができる可能性もあり、内部から崩壊してしまいますから、「神」を作り、絶対的な存在にしてしまうことが集団をまとめる効率的な方法でした。
緊急時には、「鶴の一声」で機敏に動ける集団にしておく必要があるわけです。


そして、モーセは、数千人を救うため、「神」になることを選びました。


ということで、まず第一段階ですが、「モーセ」は、民を救うためにあえて神になった人と言えます。
もちろん「覚悟」だけでは不可能で、その能力があったからこそ、神になることができました。
高度な教育を受けていましたから、責任感も強かったのかもしれません。


さて、一般人に教育がない当時なら、神になる方法は比較的簡単です。
マスターが以前紹介した「脈止め」や、小学生の理科の実験など、3500年前でもできる不思議現象はたくさんあります。
また、みなさんが印象に残っている「簡単なマジック」をいくつか思い出してみましょう。
現代でも、発展途上国の山奥で披露すれば、かなりのインパクトがあることがわかると思います。
(※マジックショップMのサイト


神になる決心をしたら、まず威厳のあるカッコをして、ちょっと変わった物理現象などを利用して、それらを自分の能力によるものだとすればいいわけです。
そして側近の人たちが盛り上げていけば、民はモーセを特別視するようになります。


記録によると、モーセはいろいろな奇跡を起こしたと言われていますが、それが物理現象や自然現象を利用したものだということは、モーセ本人や側近たちはわかっていたと思います。


しかし、「約束の地への民族大移動」という大きな目的を達成するには、どうしても物理や自然の現象を利用し、自分を常に神格化しておく必要がありました。


◎モーセの「海割り」は本当にあったか


さて、モーセの大パフォーマンス、「海割り」ですが、マスターは実際にあったとしても不思議でないと思っています。
ただ、実際は海が垂直に切り立つのではなく、引き潮によって陸が出てくる「トンボロ」という現象です。
条件が整えば、引き潮になることで起こりえる現象です。
「トンボロ現象」で検索すると、画像がたくさん出てきます。


海割りについては、「実際にはなかった」「後日書かれた創作」という意見もありますが、仮にモーセが海割りをやったなら、マスター的仮説は以下のようなシナリオです。


<海割りのシナリオ>

長年の放浪で疲れ果てていた数千の民・・・「約束の地」は遠く、希望を失いかけていました。


モーセは考えます。

「そろそろ気合の入れ直しをしないとなあ・・・このままじゃ民たちがグダグダになっていっちゃうよ」


国家レベルの高度な教育を受けてきたモーセと、その側近の学者たちは、民に対して気合の入れ直しを考えるたびに、物理や自然現象を利用した不思議現象を少しずつ披露してきました。


しかし、それでも民たちが疲れていく様子は否定できません。


モーセは自分のカリスマ性と民の士気を上げるため、これまでにない派手なパフォーマンスに向けて会議を開きました。


以下、会話形式です。


モーセ(モーセの言葉は太文字です)

モーセの側近 (学者たち)

民衆の代表

民衆

が出てきます。

・・・

モーセ 
「ねえ、細かいパフォーマンスでカリスマを保つのもいいんだけど、もっと派手な自然現象ってないかなぁ?」



モーセの側近
「こんなのどうですか? 海が割れる現象ってのがありますよ・・・トンボロ現象っていいます」


モーセ
「そうか、海が割れるのね・・・ あ! イイコト思いついた、ねえねえ、それっていつ起こるの?」



モーセの側近
「あと一週間後に、ここからしばらく歩いた海岸で起こります」


モーセ
「・・・よし、オッケー! これから全員でその場所に向かおうよ」



モーセの一行は、トンボロ現象が起こる現場に向かいます。
実は素晴らしいアイデアを思いついたんです。



トンボロ現象が起こる場所に近づくと、モーセの側近が、それとなく「敵が近づいているかもしれない」という噂を民衆たちに流します。
民衆たちの中で不安がくすぶり始めると、不安になった民衆の代表者がモーセの側近に向かって質問しました。



民衆の代表 
「いま、敵が近づいているってほんとっスか?」


モーセの側近 
「それは事実です。実はもう、近いところまで来ているという信頼できる情報があります」


民衆の代表
「側近さん、モーセさんはどうお考えになっているんですか?目の前は海です、後ろは敵ですけど」


モーセの側近 
「大丈夫ですよ。モーセさんはいままでにも多くの奇跡を起こして私たちを救ってくれましたよね?」


民衆の代表
「確かに・・・でもこんどこそ絶体絶命かもしれません。だって目の前、海ですぜ、船もなしですぜ」


モーセの側近
「モーセさんはきっとなにかお考えです。安心してください」


民衆の代表 
「モーセさんを! モーセさんの直接の声を聞かせてくださいよ!私たちはどうなるんスか?」


モーセの側近
「モーセさんはいまお祈りしながら神様と交信(※)しています。そのお姿を一緒に見に行きましょう。決してジャマしないでくださいね」


民衆の代表
「はい(祈りを捧げるモーセの背中を見る)」


モーセの側近
「こんな状態ですから何日か待ってください」


民衆の代表
「わかりました、私たち、待ちます!」


(※)「交信」というのは、変性意識状態になるための自己催眠のようなものです。
モーセは、自己暗示で「変性意識状態(トランス状態)」をコントロールできる人だったと思われます。
カリスマだから特殊能力を身につけたのではなく、特殊能力者だったからカリスマになれたということです。
ただ、このトンボロ現象は自然現象ですから、モーセはパフォーマンスとしての「交信」をしているだけでした。


数日後、モーセの側近が、不安になっている民衆に対して、追い討ちをかけるように、「敵の来襲がすぐそこ」「海を割るしか逃げ道がない」という噂を流します。


民衆の代表 
「モーセさん、交信は終わりましたか?なんだか敵はもうすぐそこまで来てるみたいなんスけど!」


モーセの側近 
「神との交信は、そろそろ終わるみたいです」


民衆の代表
「モーセさんに会わせてください! 私たちを導いてくださーーーい!」


モーセの側近
「みなさん、時は来ました!移動できる準備をして、3時間後に集まってください」


民衆が集まり、そこへモーセがものすごい雰囲気をかもし出しながら登場しました。
民衆たちは喜んでモーセを迎えます。


民衆
「おおおおお! モーセっ モーセっ モーセっ!」


モーセ 
「親愛なる民衆たちよ、時は来た! 私が神に祈って海を割る、そこを通って逃げるのだ!」



民衆の代表
「まじっスか? 海割りっスか? ホントに?」


モーセ 
「私に任せなさい」


・・・

海に向かってものすごい気合のポーズをとるモーセ。

・・・

モーセ 
「ぬおおお! おおお!!!!! (へトへトになって2時間祈る)」




2時間後、徐々にトンボロ現象が起こり、道ができます。



民衆の代表 
「おおお!モーセさんすごい! でも、これじゃエジプト軍もこの道を進軍してくるんじゃ?」


モーセの側近 
「モーセさんが祈りをやめたらまた海になる、エジプト軍は海の中に沈むだろう」


民衆 
「エジプト軍は全滅だ!モーセさんばんざ~い!オレたちは助かるぞー!」


モーセの側近
「海に呑まれないために、みんなは急いで逃げなさい」


民衆
「ばんざ~い!すぐに海を渡るんだー! (みんな逃げていく)」



民衆の全員が海底を渡った後、最後尾に立つモーセは、迫り来るエジプト軍がいるであろう方を向いて祈り続けています。
民衆たちは、後ろを振り返り、モーセの姿に感謝します。


民衆の代表 
「モーセさん、ありがとうございます! エジプト軍を沈めてください!」


モーセの側近
「大丈夫だよ、任せなさい。みんなはできるだけ早く逃げなさい」


民衆の代表 
「はい、私たち、必ずモーセさんをお待ちしています」



民衆たちはモーセの無事を祈りながら急いで逃げていきました。
その後、モーセと側近たちも、最後尾から民衆たちへ追いつきます。


モーセの側近
「みんな安心しなさい、私は確かにエジプト軍が海に呑まれるのを見た。
もう誰も追ってはこない、エジプト軍は全滅した」


民衆
「おおおおおお! モーセっ! モーセっ!」


(民衆に手を振るモーセ)


・・・その夜、側近たちとの飲み会の席で・・・


モーセ
「よかった~・・・海が割れなかったらどうしようかと思ったよ~ 」



モーセの側近
「大丈夫ですよ、ちゃんと計算したんで」


モーセ
「側近のみなさん、ありがとう。これからもよろしくね」


・・・


実はエジプト軍の来襲は、モーセたちが流した「ガセ情報」でした。


モーセを信じてきた民衆たちは、エジプト軍がモーセの力で海に沈んだと思っていますが、そこにエジプト軍はいなかったんです。


「敵軍がギリギリまで迫ってきている」という情報を流し、民衆が「もうだめだ」と絶望し始めたところで海を割る・・・この「大どんでん返し」が、モーセのカリスマ性と民衆の士気を一気に上げるわけです。
一度は死を覚悟した民衆は、モーセのおかげで命拾いしたと信じ、モーセを熱烈に支持するようになります。
その結果、集団全体の「忍耐力・パフォーマンス」が以前より格段に上がります。
これが、「ウソも方便」と言われるものです。


このやり方は、みなさんの身近なレベルで言えば、親が簡単な手品で子供を驚かす事や、親がやる「痛いの痛いの飛んでいけ」で子供の傷みが緩和するのと似ています。


まとめに入る前にもう一度、初めに書いた太文字を読んでみましょう。
3500年前の人類は、今の人類と比べると・・・

一般人は読み書きできない人が多かった

一般人は語彙が極端に少なかった


内陸には生涯「海」を知ることがない人がたくさんいた


「満ち潮・引き潮」の仕組みが月の重力だと知らなかった


教育を受けた人とそうでない人の差が激しかった

(モーセは当時最高の教育を受けていました)

カメラやビデオなど、客観的に記録できる機械がなかった


医療が未熟で病気の原因が解明できなかった

(人々は常に不安の中にあった)

不思議なことは「神」と結び付けていた

こんな時代背景が、モーセの海割りを生み出したと言えます。



◎まとめ


医療が未熟で、知恵に乏しかった当時は、心のよりどころである「神」が必要だったということや、海が割れる「トンボロ現象」を民衆たちが後世へ口伝した場合、「モーセが海を割って私たちを助けてくれた」という話になることは容易に想像できます。


また、側近たちも、文書に残す時に「ネタばらし」はしないかもしれません。
抽象的な言葉を並べ、解釈の幅を持たせると思います。
モーセは、民を救うためにあえて「神」になり、「世代を超えた伝言ゲーム」で、一層神に近づいたというわけです。


仮に、トンボロ現象を利用したパフォーマンスが実際はなかったとしたら、「海割り」は、後世の記述者たちによる「作り話」だと言えます。


いずれにしても海が垂直に切り立つことはありませんし、モーセはただの人間で、現代なら、国を統率する「カリスマ・特殊能力者」だったと言えます。


マスターは、モーセの海割りを思うと、いつも人間の不完全さを思い知らされます。
それから、良くも悪くも「歴史上の独裁者」を連想します。
モーセは、自己顕示欲を満たすだけでなく、批判や暗殺される恐怖にさらされながらも、強い信念で、民衆をリードしたんだと思います。
「モーセの海割り」は、現代人に多くの教訓を示してくれます。
みなさんは「モーセの海割り」から、なにを学ぶことができるでしょうか。

次回はキリストやサヴァン症候群なども交えて書いてみます。
当時はそのカリスマ的能力の正体が不明で、便宜的に「神」と言われていたかもしれません。
歴史に残る偉人たちは、必ず「神」と呼ばれるに値する、「特別な能力」があった人だと思います。
変性意識状態を意図的にコントロールする力はその代表かもしれませんし、昔は「変わった人・天才」などと言われ、現代では脳障害の一種と認識されている「サヴァン症候群」や「アスペルガー症候群」の人もいたはずです。
たとえば、モーツアルトの時代には「サヴァン症候群」という考え方はありませんでしたが、彼にまつわる言い伝えを解析すると、現在はサヴァンかアスペルガー系の脳障害だったと言えるようです。
もちろんキリストの時代にも、「発達障害」という単語さえなく、不思議なことは「神」と結び付けられてきました。
現代の人類から見てその本質はどうなのか考えてみましょう。

・・・

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