先に心のデトックスを ―暗闇の温泉―

(読了目安7分)

「身体の毒よりも心の毒をなくすことが先です」という話です。

世に言う「デトックス」というのは、「身体に溜まった毒を解毒しましょう・排出しましょう」という考え方ですが、「身体」のデトックスでは、心の毒である「ストレス」は解消しません。


心のデトックスをしてしまえば、ストレスはなくなり、それが身体のデトックスにつながっていきます。
心が正常なら、脳から正常な信号が出て、不要なものの排出がうまくできるようになるわけです。


では、ストレスをなくすにはどうしましょう?


まずは「人間の不完全さ」を理解し、自分の無知を認識することです。
そして社会の仕組みを知り、人の心の仕組みを知ることで、不安を娯楽へと変えていきます。
不安を抱えている限り、多くのトラブルから解放されません。


以前書いた「暗闇の温泉」の話をもう一度思い出してみましょう。


マスターが住む場所は、イノシシや猿が出てくるような自然の中です。
温泉はそんなところにぽつんとあります。


ある夜、マスターとスタッフは、近所にある露天温泉に行きました。
温泉に入ったスタッフの女性が、近くの物音を「大きな動物の鳴き声」だと思い、「マスター!すぐ近くで動物が鳴いているんじゃないですか?!」と不安になりました。
裸ですから、イノシシや猿に襲われたりしても機敏な身動きができないわけです。


暗闇で大型の動物に襲われたら・・・それはもう恐怖ですよね。


動物の鳴き声だと思っているときは、不安や恐怖に支配されていますから、心の中に毒が溜まっている状態です。
もしこの状態で一人だったら、なにをしても不安になり、動きもビクビクしますし、他の物音も全て動物だと思ってしまい、心配で胃が痛くなったりするかもしれません。
不安という「心の毒」が、彼女の思考を全てマイナス方向に追い込んでしまうわけです。


これが悪循環の始まりです。


マスターは、その音の原因を知っていました。
実は排水口から出る「お湯」の音なんです。
マスターは余裕ですが、そのことを彼女は知りませんから、まだ不安なままです。
さて、マスターは不安そうな彼女に対して、2つの対応をすることができます。


「2つの対応」とは、「知恵のある対応」と「悪知恵のある対応」です。
「愛のある対応」「愛のない対応」と言ってもいいかもしれません。
ではまずマスターの実際の対応からです。



<実際の対応>

マスターは、不安になっているスタッフに対して、「それは排水口からお湯が出ていく音だよ」と伝えました。


すると、彼女の不安はすぐに解消され、「不安」が「笑い」に変わりました。


彼女は、物事の本質を知ることによって、自分の無知から来るストレス、つまり「心の毒」を解毒したわけです。


これが「心のデトックス」の簡単な一例です。
「心のデトックス」とは、本質を知ることによって、不安などのストレスを心の中からなくすことです。


では、もうひとつの対応をしてみましょう。
言ってみれば「悪知恵のある大人」の対応です。



<悪知恵のある大人の対応の場合>


スタッフは、それ以前のマスターの行動を見て、年上のマスターのことをある程度信用してくれていました。
もしマスターが、不安をつのらせるスタッフに対してこう言ったらどうでしょうか。


「この辺りにはイノシシとか猿が出るんだ、イノシシは時々人間を襲うから怖いよね。
それから、人間の近くに住む猿は頭もいいし夜もけっこう行動するんだよ。それにしてもこの温泉にまで来るとは思ってなかったなあ、猿もエサを求めて必死なんだよきっと・・・」
「男性と女性がいる場合、猿は女性を襲うんだ、女性の方が力がないことを知ってるからね。もちろんなにかあったらオレが守るから安心していいよ。・・・あれ?! 気をつけて!いまなんか動いたかも!」


・・・これではさらに不安になりますよね。


そして、マスターが、「猿を追いはらうための特別な方法」なんて言って、ヘンな儀式をし、スタッフに気付かれないように排水口にタオルでも詰めて音を消し、「もうだいじょうぶだよ」なんて言ったら・・・マスターは儀式で動物を撃退した「物知りヒーロー」です。


他にも、近くの石を投げて物音を立て、それを猿の仕業だと信じ込ませ、スタッフの不安をあおることもできるかもしれません。
入浴中はすぐに動けませんから、マスターが「勇気を出して偵察に行く」というフリをし、スタッフが見ていないところで彼女の財布を盗むこともできます。
わざとその場を荒らして、サルがイタズラしたことにすればいいんです。
帰りにマスターの上着を貸してあげれば、マスターは現金もゲットした上に信用も上がります。
悪知恵のある男性なら、彼女と肉体関係を持つところまで絡んでいくかもしれませんし、彼女もその気になる可能性は充分にあります。


また、後日、そのスタッフが友達に対して、「あのときマスターが助けてくれなかったら私はどうなっていたか・・・服と財布がなくなっただけですんだからまだマシよ」なんて言ったとしますよね。


友達が「それなんかおかしいじゃん、もしかして排水口から出るお湯の音じゃない?」と反論しても、極端に言えば、「絶対にあれは猿よ、私動物が動くのを見たもん!」なんていうことになるわけです。
そうなるともう友達の話を聞こうともせず、きっとマスターにこう言います。
「ねえマスター、友達があの夜のこと信じてくれないんです。マスターも見ましたよね、猿」・・・いいのか悪いのか、スタッフは完全にマスターを信じていますが、これが、「無知から来る不安が判断力を鈍らせ、悪知恵のある大人の言いなりになってしまう」という「商業的な受身のパターン」です。

これをちまたの健康情報を例にして極論すれば、


栄養が偏ると便秘になる・・・


規則的に食べないと元気が出ない・・・


健康のためにバランスよく30品目・・・


アーユルベーダ・ヨガ・マクロビで美貌と健康が手に入る・・・


宗教やセミナーで人生が大きく変わる・・・


資格を取って楽しみながら安定収入・・・


霊能力で未来が見える・・・


結婚するには料理の腕が大切・・・


寝る前に食べると太る・・・


などの経済社会から流れる情報を聞き、信じてしまうのと同じです。
これを「暗闇の温泉」の話で例えると、以下のセリフを信じているのと似たようなものです。
通常はありえないことですが、判断力が鈍ると人はなにを信じるかわかりません。


「怖い音だよね、あれは頭のいい猿だ。猿を追い払わないと襲われて服を持っていかれるんだ。でもぼくは猿を追い払うことができるよ、3万円必要だけどね。お金がないなら5回払いでもいいよ。よかったね、猿はいなくなったよ。もし追い払わないと大変なことになったね。また困ったことがあったら助けてあげるからね。ぼくは君の幸せを願っているんだ」


こんなパターンで、お金と時間、身体を使ってしまう女性が後を絶ちません。
世の中には、自分の目先の欲のために、人の不安や弱みにつけこむ大人がたくさんいます。
しかし社会の仕組みや人の心の仕組みを知ることで、これらに惑わされないようになります。
物事の本質を知らないと様々な情報に左右されてストレスが溜まりますから、まずは物事の本質を知り、ストレスをなくす「心のデトックス」が大切なんです。


話は「暗闇の温泉」に戻ります。
排水口からお湯が出る音を「大きな動物がいる!」と怯え、暗闇に石を投げてみたり、安心させてくれる誰かの言葉を妄信したりして、なんとかその場の不安を解消している女性がいるとします。
この女性の心の状態が、「毒が溜まってしまった状態」です。
マスターがこのnoteを書いているのは、そんな女性に対して、「動物なんかいないよ・本当はお湯が出る音だよ・安心してね」と伝えたいからです。
そして、心のデトックスをし、長く愛を発信できる人、つまり「長く愛される人」になってもらいたいからです。
このnoteは、読むほどに「現実的で夢がない」と思う人もいるはずですが、長く愛されるためには、本質を見極めた上で夢を語ることが必要です。
「本質を見極める」とは、ニセモノの神を排除し続け、本物の神に一歩でも近づくということです。
「心のデトックス」に必要なのは、妄信ではなく、探求なんです。


※「本物の神」については「宗教」マガジンをどうぞ

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