19歳秋、東京-3
土日を挟んで月曜日が来た。
家を出て徒歩3分。
山手線のホームを横目に、三田線へ向かうエスカレーターにのる。薄暗い地下へ潜りさらに階段を降りて、改札をこえる。今日も変わらず、サラリーマンやOLが所狭しと並ぶホーム。売店で買った温かい紅茶を手に、私もその列へ仲間入りをする。
三田線に乗って21分。
三田駅を出るとビル風が吹き抜けていた。
三田キャンパスに来て初めての冬が来ようとしている。
月曜朝イチの講義は原典講読だった。
お昼を食べて、社会心理学(この教授はいつも何を言っているか聞き取れない)、国文学史。
退屈な講義の合間に、Twitterを開くと、どうやら先日の先輩はキャンパスにいるらしい。
LINEをしてみることにした。
「いまなにしてるんですかー?」「卒論の合間に友達とだべってるよ」
テンポよくLINEが続く。法学部の彼は学部のゼミには入らず、別の研究室に所属して論文を書いている。
「講義終わったなら少し話そうよ、いまどこ?」
ピカピカに新しい校舎とと薄暗くて古くてボロい校舎が入り混じっている三田キャンパス。
彼と2度目に顔を合わせたのは、中庭にのぞむ大学院校舎だった。どうやら彼はこの大学院校舎にある研究室で日々論文を書いているらしい。
なんとなく並んで座り、中庭の学生を眺めながらとりとめもない話をする。
小一時間も話していただろうか。あっという間だった。気づけばバイトの時間が迫っていた。
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