励ましの言葉が見つからない

義弟は先日、退院した。
入院は一週間足らずだった。
退院した日は、いつになく前向きで「よし、食べよう」と明るく振る舞い、しっかり食べていたそうだ。
それを見て、夫も義父も泣いたそう。
(夫は仕事の関係で週の半分を実家で暮らしている)

いい話なのに、そう簡単に喜べないように感じた。急ピッチすぎると直感的に思ったし、ドーパミンが一度にたくさん出ると、人の体にはそれを下げようとする働きがあるとどこかで聞いた。 もちろんうまくいくに越したことはないとは思っていたけれど、嫌な予感はあたってしまう。

義弟は数日後には、イライラして食卓で大声を出した。それがきっかけで、夫の両親は「離婚する」と言い出すようなケンカをしたそうだ。

その日も実家にいた夫は、私に「助けてくれ」とLINEをしてきた。

私は、とりあえず夫には静観するようにLINEした。夫の両親のケンカは翌日にはおさまったらしい。

私の正直な気持ちは…
「助けてと言われても困る」

夫に対して、
「あなたは私にモラハラしたよね」
という気持ちが出てきて、モヤモヤした。

義弟と夫は別の人なのに、関連させてしまった。

夫に対し、義弟が大声を出すぐらい、「何なの?」って思った。

夫はかつて、私に大声を出すだけでなく、つかみかかってきたし、私の顔にはひっかき傷ができたこともあったのだから(幸い、跡にはならなかった)。

私が心から気の毒に思うのは、義弟だけだ。

でも、義弟も本当に性格がむずかしくて、力になりたいけど、どうしたらいいかわからない。

今は義弟のことは好きだな、と感じているけど、もっと話したら、苦手なところもあるだろう。

義弟には、もうちょっとぐらい、自分で何とかしようとしてほしい、という気持ちがある。

これは、苦しんでいる人に対して、よくない考え方。でも、今はそんなことないけど、義弟が本当に頼ってきたら、私もバランスを保てるかわからない。だから、私は防御しているんだと思う、

こちらから自然な範囲でやれることはやりきったかな、と思う。
手紙、漢方薬、サプリ、お腹をあたためる小豆入りの腹巻き、お守りをあげた。話もした。
 
義弟とは入院前にそれまでとは比べものにならないぐらい話せるようになった。とはいえ、まだまだ他人行儀だ。

また私から何かしたら、お礼言わなきゃと思ったり、早く治さなきゃとプレッシャーになったり、疲れるんじゃないかな、と感じる。

でも、義弟は自然な範囲を超えて、誰か助けに来て、って思ってるかもしれない。

私は、15年ぐらい前、どこかの誰かが、通りすがりの人でもいいから、夫の横暴な態度を見とがめて、正してほしいと妄想していた。

もちろん、そんなことは起こらなかった。

義弟に対して、私は自分でがんばったんだよ、あんたも自分でやりなよ、という気持ちがあるのかもしれない。

深く傷ついた経験があるからこそ、私は義弟の助けてほしい気持ちが想像できる。

それなのに、急いで助けに行かない自分を卑怯だと感じる。同時に、当然の反応だとも思う。

まあ、想像が外れていて、助けなどいらないのかもしれない。本当にわからない。

義弟が気むずかしい性格じゃなければ、もっと気軽にメッセージも送れるのに。

でも、気むずかしいからこそ、義弟は今苦しんでいる。この2つは切り離せない。

気むずかしいけれど、私の気持ちは嫌がらずに受けとってくれることは、入院前に話したときにわかった。

でも、いい言葉が見つからない。
どんな言葉も義弟に負担になってしまうのでは、と心配になる。
あせらなくていい、と手紙にすでに書いたけど、また同じことを、書こうかな。

マーガレット・ハウエルが、よい生地がなければ昨年と同じ生地を使ってもいいのだ、と話したというエピソードを思い出した。

返信なしでいいから、と書いて、何かメッセージを送ろうかなと思う。


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