見出し画像

モラハラという言葉には、感謝しています

夫からのモラハラが始まった頃(約18年前)にはモラハラという言葉がありませんでした。途中から「モラルハラスメント」「モラハラ」という言葉が出てきたと思います。

私は、「モラハラ」という言葉を知って、大いに助かりました。今日はそのことについて、書いてみようと思います。

なぜ「モラハラ」という言葉に助けられたかといえば、「自分は悪くないと思えた」からです。

それまでも、私のことを責めたてる夫の言葉のすべてを合っているとは思いませんでした。でも、語気の荒さ、勢いにのまれて「私が悪い部分もあるのだ」と感じていました。

夫は、料理の味、食材の質、家事の不備などをきっかけに怒り出すことが多かったので、私にとって「自分のせいだ」と思いやすい状況になっていました。

モラハラという言葉を知ったのは、10年以上前でしょうか? その時の感動などは記憶にありません。でも、自分の夫がモラハラ野郎なのだと気がついたことで、それまでと比べものにならないほど強気になれたような気がします。

noteにも何度か書いていますが、親に心配ををかけたくないという病的なまでの思い込みがあった私は、夫の横暴を親に隠しました。友人には話せる範囲で話したことはあります。でも、夫から虐げられている自分が恥ずかしくて、本当のことすべては言えませんでした。

親、友人に相談できないことから、モラハラしてくる夫と二人きりの世界にいるような感覚におちいります。そうなると、そんなの間違っていると思っていても、夫の意見に流されてしまう部分が出てきます。私の場合「夫の言い方、怒り方はひどいけど、私もミスを減らさなきゃ」と思っていたように記憶しています。

私がしたミスは、今思えば、誰もがしてしまうようなことばかりでした。

そんなときに「モラハラ」という言葉を聞くようになりました。夫からの怒りを私たち夫婦の内輪の問題ととらえていましたが、「これは社会的にも許されないモラハラなのだ」とわかったことは、大きな力になりました。

だから、私は「モラハラ」という言葉や概念に感謝しています。モラハラという概念を知ったことで、「うちは夫婦ゲンカがかなりひどい、私もその一員、恥ずかしい」という捉え方をしていたのが、大きく変わりました。

「モラハラがあってよかった」とは一生言うことはないと思いますが、「モラハラ」という言葉が出てきてくれたことは、ほんとうに良かった。「モラハラ」という言葉がなければ、私は夫のモラハラに今日も怯えていたかもしれません。

夫の言動は「許されないものだ」と知ったから、私は毅然とした態度を取ることができるようになりました。一方的な夫の怒りに押し流されずに済んだことが何度もありました。形勢を逆転させて、夫にその日のうちに謝ってもらうことが増えました。

次第に夫の怒りはその効力を失っていきました。
今では、夫が怒ったとしても、私や子どもたちの受け止め方は「おじさんがひとりでわめいている」でしかありません。もし、夫にモラハラ的な言動が見られたら、速攻で「謝って」と言い、たとえゴネても必ず謝ってもらいます。

誰も味方がいなかった私に、「モラハラ」という言葉が力をくれました。「モラハラ」というキーワードにより、経験談や対策の情報も検索しやすくなりました。

今は夫が怒っていなくても、かつてこんな人に震え上がっていたのか…という黒歴史に嫌な気持ちになり、夫に対して怒りが出てきそうになります。でも、ここで怒りに身を任せたら、私の方がモラハラ妻になるな、と一応我慢しています。
 嘘です。
我慢できずに、怒り散らしたことはあります。それでも、かつての夫よりはだいぶマシだったと思うのですが。

夫への怒りが出そうになると、以前スーパーで見かけた、40代に差しかかりそうな男性とその母親と思われる女性の様子を思い出します。すっかり大人の息子がおばあさんといってもいいぐらいの母親に「お前が‥だからだろ」といった話し方でいばっていたのです。お母さんは、ごまかすような薄笑いを浮かべていました。そのことが、何年経っても忘れられないぐらい印象に残っています。もしかしたら、あの男性は、かつてお母さんに何か嫌なことをされて復讐していたのかもしれない。

今の私は、気をつけないと、あの男性のようになりそうな状況です。私は、「モラハラ」という言葉に助けられ、状況を改善できました。次は、自分がモラハラ妻にならないように、注意していかないといけません。

最近では、有名なモラハラ、セクハラ、パワハラ以外にも、アカハラ、マタハラ、ドクハラ、アルハラ、スメハラ等々、多くのハラスメントを略した言葉が聞かれるようになりました。

「何でもハラスメントになる」という言い回しもよく聞きますが、それで当事者が苦しみから逃れやすくなるなら、大いにけっこうだと考えています。 私は救われた一人です。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?