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〜出来ることを増やしていくことはよりよい生活へ繋がる〜

看護師 田村亜美

「家族のことを考えると辛くなって死にたくなってしまいます」

 Aさんは出会った当初から、こんな風に悲痛に訴えていました。お話をじっくり聞いていくとこれまでにAさんがご家族から病気の理解が得られず、病気のために仕事もできないことを責められていたことがあり、ご家族のことを考えると何度も死ぬことを考えていたことがあったそうです。

 Aさんが訪問看護を開始することになったきっかけは、一人暮らしをすることになったため、身近に相談相手がいなく、不安を感じている時に主治医から提案を受け、訪問看護ステーションこころいK を受けて下さることになりました。

 Aさんは長年ご家族から非難されたことに傷つき、不満をよく話してくれました。

 Aさんは自尊心が低く、何をするにも自信がなく、確認を求めることが多かったです。

 周りからの理解がないと、自尊心や自信を失っていくことがあります。辛いと思います。

 全て理解するのは難しいかもしれませんが、訪問看護師としてまずはAさんの理解者でありたいと考え、長年抱えてきた思いは溜め込まないことを伝え、じっくりお話を聞き、理解しようとする姿勢を続けました。

 今までご家族と暮らされていたAさんですが、一人暮らしで初めての体験に遭遇することも多くあり、時には辛い気持ちになってしまった時もありました。

 その時は一緒に考え、行動をしてきました。

 その内の第一歩として、Aさんから仕事をしてみたいとお話がありました。仕事の経験がないAさんは自信がありませんでした。

 私はまず作業所からどうかと提案し、興味を持たれました。ですが、自信がないため、どうしたらよいかと不安げな様子。

 そこで、一緒に手続きを進めたり、電車に乗って、作業所の場所を一緒に確認をとる行動をしてきました。

 一緒に行動を取っていく中で少しずつ慣れてきたり、できることも増えてきました。出来たことを認めて、自信をつけるように声かけしました。

 現在では一人で通所できるようになり、お仕事もコツコツ頑張ってられます。

 長年ご家族への不満を抱えてきたAさんですが、「ここからの人生は自分の力でやっていかなければ!」と決意され、気持ちを切り替えることができました。

 また経済的に余裕がなく、携帯電話をもてなかったのが、今ではスマホを持ち、楽しむことができています。スマホの使い方を教えながら、Aさんが初めて電話やLINEをくれた時は嬉しかったです。

 利用者さんを理解しようとする気持ちをもち、出来ることを増やしていけられるように関わることは、利用者さんのよりよい生活に繋がると信じて日々関わっています。

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