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辺りは暗く周りがよく見えない。
壁に手をやるとしっとりと湿っていた。
石で作られた階段にいた
そこがどこへ続く道か確かにわかっている
なのに不確かなんだ。
存在さえ知らない場所だった。
そして初めて行く場所だから。
でも、そこがどこに繋がるかはわかっている。
そんなわけわからないことを考えながら
迷わずに下へと降りていく
上に逃げる事だってできるのに
暗いはずなのに足元は見えていて、つまづく事も探る事もせずにトントンと下へ降りていく。
階段の行き止まりにあったのは
大きな石の扉。天界の扉のようなイメージの石バージョンだ。
何か模様が彫られていて、石のグレーの色でとても重厚な両開きの扉だ。
きっと見たら1人では開けることはできないと思うだろう。
でも、私は開く事ができると知っていた。
私だから。
ただ、両手を扉に添えて、そっと押す。
思い切り押す必要などないと知っている。
私が開きたいと思えば、いつだって開けるんだと。
とても重い石の扉のはずなのに、ちょっとの力でギギッと擦れた後をだしながら扉が開いていく。
気持ちは落ち着いていた。
もう、逃げるのは終わりだ。
だから会いに来たんだ。
小さな子供達に。
自分が余裕で通れる位に開いた扉の先の世界は
夜の世界。
大きな巨木が点々とあり、池も大きな石も小川もあり、比較的に拓けている場所だった。
地下だから月明かりなんてものはないが、蝋燭のような暖かいポワッとした灯りが大小、上下様々に灯していて、十分に見渡せていた。
綺麗。だが、ちょっと寂しげなこの世界。
幻想的な景色を楽しみながら歩を進める。
気配がした。
小さな気配。
よく周りを見てみたら池の周りに子供が見えた。巨木の上にも。草むらにも。石場にも。
沢山の子供達がいたのだ。
幼稚園児くらいだろうか、みんな同じ顔押していた。
近寄って話しかける。
その子は池の近くにうずくまっていた。
どうしたの?
その子はどうせ私なんてどうせ私なんてと言っていたんだ。気づいたら抱きしめてあげていた。
巨木に居る子は正義感の強い子だった。
石の近くに2人いた虐められてる子と虐めてる子、それを正義感の強い子が割って中に入ってやめさせようとしている。
気づけばあらゆる所に子供がいた。
天真爛漫に遊ぶ子も、興味津々に行動する子、泣いてる子、怖がりな子、ずっと考えてる子、無関心な子。
寂しがり屋さんも、甘えん坊さん、頑張り屋さん、、、
みんな同じ顔で同じ体型なのに性格だけが違う。
そうだ、この子たちは全部私。
もう、いいね。そう思ったんだ。
みんなおいでと声をかけると私の周りは子供達で溢れかえった。
私は1人ずつ抱きしめる。
ありがとう。
これからは一緒にいよう。
子供達はとっても喜んでいた。
嬉しそうに笑って私の中に入っていったんだ。
私が守るべき、愛すべき存在。
私自身だと。
その場を後にした。
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