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田勢康弘「ここだけの話」just between us

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政治ジャーナリストの田勢康弘代表が今世界で起こっている事象を独自の視点で分析します! ここだけでしか読むことができない、まさに「ここだけの話」~just between us~ …
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2017年5月の記事一覧

権力との距離見失うメディア

 新聞やテレビなど報道機関とそこで報道に携わる者は、権力と一定の距離を置かねばならない。この当たり前のことが忘れられている。新聞が新聞であるために必要なことは「権力の監視」であって権力の弁護などではない。安倍首相と報道機関の関係で、その規範が崩れてしまっている。憲法改正に対する考え方を国会で問われた安倍首相は、自らのインタビュー記事を大きく載せた読売新聞を熟読してほしい、と答弁した。半世紀、政治を

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加計学園問題 安倍ー中曽根戦争か

 愛媛県今治市に新たに岡山理科大の獣医学部をつくるという加計学園問題は、思わぬ方向に発展しそうな気配である。「官邸のトップレベルのご意向」などと記された文部科学省内の文書が出回り、官邸サイドは「怪文書のようなもの」と一蹴してきたが、最近まで文科省のトップだった前川喜平前事務次官が「私の手元にあるものと同じで、文書は本物」とインタビューで断言した。官邸サイドや自民党内では、そもそもこの文書をリークし

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ロシアゲート トランプ氏窮地に

四国新聞掲載「愛しき日本」5月22日付けより

 就任してまだ4ヶ月のトランプ米大統領、いま中東・欧州を旅行中だが、ロシアとの不透明な関係をめぐる「ロシアゲート」問題で「終わりの始まり」などといわれている。北朝鮮危機や米国の保護主義をめぐる世界経済の混乱のさなか、特別検察官ロバート・モラー氏(前FBI長官)による捜査の結果次第では、全世界に大きな影響を及ぼす。唯一の大国のふがいなさに愕然とする一方

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ポピュリズム全盛の世界で日本だけ例外の理由

 世界の政治からイデオロギーが消えポピュリズム全盛時代となった。その中で日本だけはなぜポピュリズムではないのか。なぜ安倍一強なのか。そういう問い掛けにはこう答えることにしている。有権者がポピュリズムを志向する前に総理大臣自身がポピュリズムに走っているから。この答えは日本人よりも外国人に受ける。

 ポピュリズム総理は国会答弁をまるで寄席で落語でもやるように遊んでいる。憲法改正について聞かれて「私の

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憲法改正  国民巻き込む議論へ

四国新聞掲載「愛しき日本」5月9日付けより

 安倍首相が憲法改正について重大な発言をした。2020年に改正憲法を施行したいということと憲法9条に新たに第3項を加え、自衛隊の存在を明文化するという内容で、いずれもこれまでに議論さえなかったものである。なぜこの時期にこの内容なのかとさまざまな憶測が飛び交うが、3年後の施行と時期を明示したことから、国民的な議論が巻き起こることは確かだろう。



 

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