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山田ゆうすけブログ 課題曲よもやま話

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「全日本こころの歌謡選手権大会」第1回の課題曲全てを制作プロデュース、自身でも「だって GIRI GIRI」「ひまわり海岸」「金色の蝶」の3曲の作曲を手掛けた作曲家 山田ゆうすけ…
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#音楽

ブレスでアクセントをつける!その6 『いま北国』

ブレスでアクセントをつける!その6 『いま北国』

『いま北国』は民謡ですか?ジャンルは何ですか?と良く聞かれる。

民謡歌手の伊藤多喜雄さんが歌っているから民謡なんでしょう。一方、ポップス系のアレンジジャー杉山直樹さんがアジアンテイスト、民族音楽をたっぷり入れて編曲したので、融合「フュージョンポップス」的な色濃さもある。

そんなことよりも「この不思議な世界を歌ってみてください!」と言いたくなるようなユニークな楽曲である。

楽譜協力:「月刊歌の

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ブレスでアクセントをつける!
その5 『Espelho 鏡』

ブレスでアクセントをつける! その5 『Espelho 鏡』

「日本生まれのファド」であるが、この曲も「大好きな歌だけど、歌うのが難しい!」と良く言われる。それは、「難しいけどチャレンジして歌いたい!」というファンが増えてきたことの裏返しでもあろう。

この曲についても「月刊歌の手帖2016年8月号」に掲載された楽譜と西山ひとみさんの歌唱をもとにポイントを紹介する。

楽譜協力:「月刊歌の手帖2016年8月号」

いわゆるシャンソンの語り調の曲ではあるが、言

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ブレスでアクセントをつける! 
その4 『ワイパーはまだ直さない』

ブレスでアクセントをつける! その4 『ワイパーはまだ直さない』

作詞の五木寛之先生もびっくりするような小気味良いボサノバロックのサウンドの楽曲であるので、どうしてもアバウトに荒っぽく歌われるケースが多く見られるが、このような歌にこそデリケートさが必要となる。

4小節目の「あなたを~」の直前に、「はっ!」と言うような思いで息を吸って、すぐに言葉を発する。この調節が切れのいい歌を誘発する。

この部分「あなたを~」と右肩あがりに駆けのぼるメロディを作った小田純平

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ブレスでアクセントをつける!
その3 『花』

ブレスでアクセントをつける! その3 『花』

バラードの特に優しい感じの曲こそブレスが大切でかつ難しい。

課題曲の13番目に入っているMILLEAの『花』を見てみよう。

楽譜協力:「月刊歌の手帖2016年8月号」



最初の4小節、「花は色づき」の導入部をいかにしっとりと歌うか、これは必ずしも優しく弱く歌うということではない。最初の「はなは」の「は」、そして「ひとは」の「ひ」にアクセントをつけて言葉の粒立ちを良くし、それでいてしっとり

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ブレスでアクセントをつける! 
その2 『ひまわり海岸』

ブレスでアクセントをつける! その2 『ひまわり海岸』

「月刊歌の手帖2016年7月号」に掲載されている『ひまわり海岸』の楽譜を見ながら、日野美歌さんの歌唱を聴いてみよう。

楽譜協力:「月刊歌の手帖2016年7月号」



この作品はいわゆる「サビ出だし型」の歌で、最初にメインテーマのメロディが2回繰り返す構成になっている。

最初の3 小節で日野さんはゆったりした感じで歌った後、次の4 小節の2回目ではややエネルギー感を持った歌い方をしていてこれ

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歌うまくなりたい!!(3)

歌うまくなりたい!!(3)

歌にもっと表情が欲しい!

 「なかなか上手に歌ってはいますが、もう少し歌に表情が欲しいですね…」。このコメントもすごくたくさんの人に書いた覚えがある。多くの場合「語り」の部分が全くない「歌いっぱなし」の人のことを評価したものだと思います。よく言われますよね。「歌は語るように。語りは歌うように」と。でも、これがなかなか難しい。しかしこれをマスターするにもやはり自分の「耳」を鍛えるしかないと思います

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ブレスでアクセントをつける!
その1 『花一花』

ブレスでアクセントをつける! その1 『花一花』

「今回の課題曲はどれも素晴らしい作品だけど、歌うとなるとなかなか難しい。」

最近このような話を良く耳にする。それはそうである。この大会の課題曲は、カラオケで歌いやすいような曲ではなく、心を伝える歌を書き下ろしで揃えたのだから。

「心を伝える歌を、歌手を発掘する」大会なので、課題曲に対して皆さんなりの解釈をして、オリジナリティの高い歌唱で挑戦していただくことを期待している立場ではあるが、具体的な

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